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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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商用ネットワークと言うものを乗っ取るというのは簡単ではありません。たとえば携帯電話のネットワークの場合無線通信区間と固定通信区間に分かれるのですが、その何れも専用の機器なり暗号化なりプロトコルなりが使われている部分が多くありますから、たとえば傍受できてもその内容を掴むのはそれほど簡単な話ではありませんし、そもそもネットワーク自体を乗っ取ることはホボ不可能です。

ただ、あくまでも普通の状態であれば、ですけれどね。

 

それが出来てしまったリビアの情勢

元々政府側と反政府側に分かれて事実上の内戦状態になっているリビアですが、たとえば欧米の幾つかの企業などがスポンサーになって独自の携帯電話サービスをゲリラ的に提供してしまおうかというような話も随分前から出てきていました。ただ、この動きはあくまでも現在政府側に抑えられたネットワークとは別にサービスのために電波を吹いちゃえという話。もちろん電波の干渉とかは起きるはずですが、ローミングみたく使えるようにしちゃうのはそれほど難しい話ではありません。ちょっと乱暴に説明すると、通信のためのプロトコル、たとえばW-CDMAやCDMA2000、あるいはGSMなどといった部分が同じものを用意できればサービスすることは可能です。

ただ、普通の場合であれば通信サービスはそれぞれの国家の許認可事情ですので、勝手にそれらを設置してサービスする事は出来ません。が、それをやっちゃおうぜという、まぁある意味乱暴なプロジェクトなわけです。それが国際法を含めて何かに抵触するかどうかはココでは触れません。

それに対して今回THE WALL STREET JOURNALで報道されたのは、無線区間ではなく固定通信区間自体を切り離して奪い取ってしまい、既存の設備を使って独自に・・・というか勝手にサービスを開始してしまったという、つたない私の知識を持っても聞いたことも無い荒業です。

確かにやろうと思えば出来なくはないってのは判ります。なにしろUAE政府とUAEの通信会社が裏で必要な機材などの援助を行ったとのことですから、多分あんな機材とかこんなサーバーとかを突っ込んだんだろうなってのは想像できます。そしてこんな風に基地局の設定とか変えて稼動させてるんだろうなってのも想像できます。因みに多分それは間違っていないのですが、公には言えません(笑

しかし、この、THE WALL STREET JOURNAL日本版に出たリビアの反政府勢力、電話網を「ハイジャック」という記事を見たときには流石に「判るけどさ、でもそれを本気でやっちゃったの?」という感想。

 

平時であればサイバーテロのひとつですし、インフラの乗っ取りっていうのはまぁあっちゃいけない話なんですが

お互いにどちらが領土支配を行うかという部分を争っている事実上の内戦状態ですから、たとえばこういうのもあるだなという事で一応理解はできます。

因みに過去のこのような地域紛争や内戦などの場合、放送局を真っ先に抑えたり通信事業者全体を奪いあうといった行動は何十年も前からあるわけです。でも今回は全体を奪うというのではなく、物理ネットワークの一部を奪って、その部分を独自のネットワークとして稼動させてしまうというのは・・・

流石にこれは極端な例ですけれど、通信の世界というのは色々だし、それを取り巻く各国各地域の情勢も色々だよなと思うものです。

bibendum_iwa

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岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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