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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

« 2011年3月20日

2011年3月22日の投稿

2011年3月24日 »

震災の現場にいろんな形でいろんな役割をもった人たちが入っています。自衛隊や警察、消防といった組織から赤十字を始めとする各種の救援団体、米軍、そしてNPOなどの団体。物資の輸送や人的支援など様々です。もちろん被害の状況や担う役割の違いにより、現在どこまで行けるのか、どのような役割を果たせるのかなどそれぞれがそれぞれの状況で活動しています。

そう。状況はそれぞれ余りにも違います。ただ共通しているのは、何かしらを必要としている方がいらっしゃるということ。そしてそこにたどり着いて何とかしたいと思う人や組織の存在。もちろんそれぞれが全部円滑に動ける状態ではないのは皆さん御存知の通り。特に被害が大きくいまだ到達するのが困難な場所や状況が多く存在するというのが今現在。

 

ボランティアの先走りを諌める流れ

素人が気持ちだけで行っても邪魔になるだけという場所が多く存在しているのは事実です。それこそ完全自立で動ける自衛隊などの組織で無い限り、行ったは良いが何も出来ない、あるいは下手をすると救援物資から食事を貰ったり寝るところを借りたりといった訳の判らない状態にすらなる。しかし実際の復興活動というのは今後何年も続く話であり、助けたいという気概を思う存分発揮できる時期は早晩訪れる事になるわけで、だからこそ「早まるな!」という話がそれこそTwitterやFacebook、そしてメディアでの情報からも流れているわけです。

たとえば阪神大震災の時、私の実家自体は大きな被害を免れましたが、自宅の直ぐ前にあった市営の野球場や公園は見渡す限りその後数年に亘って仮設住宅が並び、被災した多くの方がそこで暮らし、それをサポートする市やNPOの団体などが長年に亘り活動をしていました。

そう。復興というのは足の長い話です。素人が先走って無理しても何も出来ない。ともすれば邪魔になる。むしろ、その後の永い年月をサポートする仕組みや組織をキチンと整備し、それらを支える形を作る事が今は必要なんじゃないかと思うんです。

 

それでも現地に行かなくてはいけない場合もある

企業であれ公的な立場であれ、そして親戚縁者が被災している個人であれ、どうしても早い段階でその場に行く必要があるケースというのはもちろんあります。私の場合には阪神淡路大震災当日に神戸の実家になんとか連絡が付いたとき、父親に「食料でも何でも背負っていくから何が必要?」と聞いたら「怪我してないし大丈夫だし、余計な食い扶持がこっちで増えると邪魔だから今は来るな」と一喝されたんですが(こちらの3月14日付けのエントリー備えよ常に(個人として)を御参照ください)、ココにひとつの大きなヒントがあると思っています。

余計な食い扶持となってしまってはいけないということ。

つまり、現地の状況が良くないところに丸腰で行っては行けない。行くならばそれなりの覚悟と装備と物資を全部自分で動かせる状態にしなくてはいけないというコトです。それこそ自衛隊のように。

そんなの普通じゃ無理でしょ。

そうです。だから駄目なんです。でもどうしても行くなら必要なロジスティックスのアレンジを全部できる体制を整え、物資の補給からスタッフのローテーション、そして当然それぞれの活動に必要な資材の管理までをキチンとできる状態にしない限り、現場に必要以上の負担を強いる事になり、ひいては効果的な活動が出来なくなってしまいます。たとえば10日間完全自立で何か活動できるだけの荷物を背負って行動できますか?っていう話。そんなの、自衛隊やどこかの国の軍隊経験者、山岳部出身、あるいはボーイスカウトで何かしら経験したことがある人くらいしか出来ないかもしれない。(ちょっと大袈裟?)

苦労するモンでしょ?そこでの頑張りが美談にもなるわけで・・・ だって?

必要な苦労は当然だと思います。だってそういう場に必要があって出かけるわけですから。でも、その役割をキチンと果たせる仕組みが作れないとすれば、それはその組織が悪い。そこをキチンと考えないスタッフが悪い。もちろんこれほどの規模の災害の中で全く問題なく対応できる体制を普段から維持することなど不可能だとは思います。正直それが出来るのは日本では自衛隊くらいでしょうから、当然何かしら無理が起きる。でも、そういう体制が必要であるというコトすら忘れて気合一発で現場に人を向かわせる事に専心してしまうケースが現実にあります。

 

普段から考えていないと間に合わないけれど、じゃぁ今から何が出来るのか

一刻を争うケースはあります。出来る限り早く何とかしたいというミッションを負っているケースもあります。すべてが不要不急とは言いません。ただ、それらの活動に向かう人たちや組織をキチンとサポートできる体制っていうのはどういうことなのか、何が必要なのかっていうのは普段から考えていないと機能しないものです。

たとえば道路事情が良くない場所まで補給線を延ばすには、その手前のどこにデポを作ればよいのか、そこで必要とされる物資は何で、それを供給するためにはどういうコトが必要なのか、スタッフのローテーションは出来るのか、それらのための輸送手段はどうするのか。全部をそろえることが出来ないなら、どこまでをどういう形で動くのか等々。普段から考える癖が無ければ、それらを考える事すら出来ない。

 

ロジスティックスとは本来軍隊用語での「兵站」

前線が必要とするありとあらゆる資材資源を遅滞無く送り届け、活動するべき最前線に最大のパフォーマンスを発揮させるための仕組みがロジスティックス。武器弾薬だけではなく食料から燃料から何から、そして全ての人員の輸送手段の提供から何から、ありとあらゆる資材の調達や運送手段の手配提供などなど、全てがそこにあります。因みに通常そういう組織においては正面兵力よりもそれをサポートする側の組織が人数的にも数倍以上の規模を持つのですが、それらはあまり知られていない事実だったりします。

で、因みにこのあたり、実は元々マーケティングという役割と同じじゃないかと思っていて、それを個人的にはマーケティングロジスティックスと称していたりします。つまり、最前線たる営業が必要とするありとあらゆる資源を提供し、営業はそれらをもってお客さまとの接点をキチンと保守し、必要な契約なり何なりと言った活動に専念するという(ちょっと乱暴ですが)概念です。ま、それはともかく・・・

 

事前に全部をアレンジする事は不可能です。それは当たり前。ただ、いろんな場においてそういう考え方やケーススタディとしてのシミュレーションは可能なはずです。特にこういう災害時に緊急に何か行動をしなくてはいけない立場であるなら、尚のことそういう訓練は必要だと思うんです。考え方がキチンと理解されていれば、動き方も変わってくるんですよね。そう思うんです。

 

うん。思うんです。

もちろん、それが無い状態で、丸腰のまま個人の頑張りだけで乗り切るしかないような場が存在する事も百も承知なんですけどね。

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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