THE SHOW MUST GO ON:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) THE SHOW MUST GO ON

通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

« 2011年2月10日

2011年2月11日の投稿

2011年2月12日 »

週末の日経新聞に、かつて自分が住んでいた神戸と明石にまたがる「明舞団地」の話が出ています。昭和30年代には開発が始まっていた、関西でも有数の大規模団地です。私がその団地に住んでいたのは中学から高校にかけて、年で言うと1976年くらいから1981年の約5年。その頃は子供が多く住み、団地の中心にあったショッピングセンターも結構いつでも人がいた記憶があります。

ただ、他の団地にも共通する問題として、そこで育った子供たちが巣立って行ったあと、居住者の入れ替わりが少ない場合に間違いなく直面する急速な高齢化や、地域コミュニティが成立しづらくなるという状況などがあるわけです。

自分自身が就職して一人暮らしを始めるまでは基本的に団地で育った人。だからこそ見える部分というのがあります。同じような話はたとえば千里ニュータウンでも多摩ニュータウンでも聞かれる話。実際のところどこにでもある話です。もちろんそれは団地だけではなく、地域自体がそういう状況であることが多く存在するのはその通り。

で、それらをITの力を使って云々という話があったりしますが、それに深入りすると面倒くさいことが起きるのであえて触れずにおきますが。

 

建物は長持ちする。でも、住む人が減ってしまうとどうなる?

マンションでも一戸建てでも良いのですが、建物自体は今や100年とかもつ程の品質を持つところまで来てるわけです。そんな建物(だけでは無いかもしれませんが)が立ち並ぶ住宅地ってのは既にあるわけです。でも、そこに住み続ける人が果たしているのだろうかとか、地域として人口が減ってしまった後に残されたそれらの建物も(これは当然ですが)誰も済まなくなるとあっと言う間に傷んでしまう。

ちなみに、そんな住宅なんだからもっと中古として流通すればよいのだよ論もあるかと思いますが、たとえば今の私のキモチで言うと、よほど理由が無い限り築何十年なんて物件を買ったり借りたりすることは無いんじゃないかなと思うんです。しかも人口が減って物件が余る状態であればなおさら。もちろんそこでも新築物件の供給は当然あるでしょうから、それと直接比較したときに勝負できる土壌が存在するのか。

人口問題、都市問題、あるいは住宅や建築の専門家ではありませんから訳の判らん心配を勝手にしているだけなのですが、それでも自分の子供の将来を少しでも考えると、それなりに自分の問題として心配にはなります。

 

コミュニティの活性化をITで、という幻想

不肖岩永、芸歴でいうと20年以上ITの世界に居ましたし、いまの通信事業者という立場からも、たとえばデジタルデバイド解消云々の思想自体は理解しています。地域の活性化にITで貢献するぞという流れの考え方も一応理解しています。

ただ、現実にはそこに人がいないとコミュニティ自体が成立しないわけです。地域社会自体が成立しなくなるわけです。

これは現実。場所によっては既に。そしてたとえ「都会」と呼ばれるような場所であっても局所的にはそういう状況は起きつつありますし、それらが一種の空き地のように日本の地図を埋めてゆく流れすらあるわけです。そう。ひょっとしたら日本のあちらこちらにゴーストタウンのようなエリアがどんどん出来上がってゆくかも知れない。

 

単なる杞憂かもしれません。ただ、流れとしては現実に、しかも確実に人口は減って行くし、人口比率の中での高齢者比率は確実に高くなる。老老介護の問題なんてのはどこにでもある現実で問題にすらならなくなってしまうのも目に見えている。

じゃ、それに対して何を準備しなくてはいけないのか。その状況に備えるだけではなく、たとえば50年とか100年後にどんな風になっているべきであって、でも実際の可能性というか現実的なところはこんな風になってしまうのだよというコンセンサスも必要かもしれないし…

私もさすがにちょっと色々と考える年齢になりました。

bibendum_iwa

« 2011年2月10日

2011年2月11日の投稿

2011年2月12日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
showbiz
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ