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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

« 2010年4月24日

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2010年4月28日 »

イスラエルが一時的に禁止していたiPhoneの持込規制を解除したそうです。たとえばComputer Worldの記事はこちら。

で、記事の中で

イスラエルは今月上旬、ヨーロッパのWi-Fi規格に適合しないとの理由からiPadの持ち込みを禁止したが、イスラエルの某議員によると、これはiPadが軍の無線周波数に干渉することを恐れての判断だったという。

とあります。でも、冷静に考えて米国内で普通にWiFiで使える機器が使用する周波数帯で、あるいはその影響を受ける周波数帯で軍用の無線を運用するなんていう話をするということは、「アメリカのWiFiの帯域を受信できる機器を持ち込んだら盗聴できちゃうから止めてね」あるいは「軍用の無線に影響が出るからそのあたりの周波数は使わないでね」というコトに近い事を言っているわけで、普通に考えるとありえない話なんじゃないかなぁと、微妙に穿ったモノの見方をしてしまいます。

まぁいずれにせよ、これでアメリカからiPadを持って中東に旅行に出かける人が、空港でトラブルに巻き込まれる事態が回避されるようになったということですね。

 

bibendum_iwa

なんとなく「デジタル教科書を普及させようよ」論が持ち上がっています。元々いわゆる情報技術全般を教育の場で活用しようよと言う話自体はそれこそ何十年も前からあるわけで、CAIと呼ばれた1980年代後半あたりには当時のPCをベースに色んな取組がされてきたような歴史があるわけです。

そういう機器自体を教えるという話はもちろん当時からありましたが、それらを教育に生かすという話も当然そのころからあったわけで、何かしらの補助教材的なアプローチから始まっていたような記憶があります。

 

ただ、そのころ色んな人の頭の中にあった疑問・・・というか、少なくとも1980年代半ばから現在のIT業界といわれるところに身をおいてきた私自身がよく思った疑問の数々がですね、例えば・・・

格好良いからPCを入れたいの?それとも何かをするために本当にPCがどうしても必要なの?必要なら、十分な数とそれを運用保守できる体制を作ろうよ。それを何かが阻害するのなら、それを排除しようよ・・・ とか。

現場の当事者じゃないから好きな事を考えているわけですが、少なくとも「個人として」そんな印象を持っていたのは事実です。

 

鶏と卵の関係が常にある、技術が先か必要性が先かという話

ちょっと強引ですが、実は結構昔からこういったことを考えています。これは教育に限らない話ではあるのですが、たとえばある技術が形になりかけたとき、「こんなことができるようになるんですよ」という議論が先行するものって大体それを凌駕する技術が出てくるとあっという間に陳腐化するんですね。これは仕方が無い。

方や、こんな事をしたいからこんな技術が必要なんだよというのがはっきりしているものは、目的が先にあって手段としての技術はどちらかと言うと後付だったりするケースがあったりしますから、この場合は目的にあったモノ(技術であったりデバイスであったり何でも良いのですが)にドンドン置き換わるわけです。

あ、誤解の無いように言っておくと、要素技術であれ基礎技術であれ製品開発であれ、それ自体を極める事、そしてその研究や開発という活動自体を否定するものではありません。私の信条として絶対にそれはしません。常に技術の可能性というのは信じています。でも、たとえばそれを利用の場に落とし込んで、具体的に誰かに何かを提供するとなった場合、時々技術が書いた夢というのがあっと言う間に陳腐化してしまうことってのがそれなりにあったりする気がするわけです。

技術とニーズというのは常に鶏と卵の関係をどこかに持っていたりすると思っています。技術があるからアイデアが広がる事もあるし、目的を実現するために開発される技術もあるし。これは良し悪しの話ではない。

 

どちらが先か論に結論は無いわけですが

そんな中、そんなモヤモヤを抱えている私が「デジタル教科書」議論を見たとき、そしてそれが例えば小学校あたりまで普及させようとしたとき、小学生の親としての自分の中に色んな疑問が出てきます。

それで何を教えるのだろう?
それで何が変わるのだろう?
人間としての教員をアシストするデバイスに必要な機能や役割って何なんだろ?
そもそもそれは何をするために必要なのだろう?
落としたりしてスグにぶっ壊しそうだぞ
まぁテストの採点とかはよいけれど、でも書き込みできないぞ
教科書に落書きするなは正しいのだけれど、それを忠実に守れる小学生を俺は知らないんだ
文字の表示を考えると印刷物の方が余程正しい文字を表示できると思うんだけどな

などなど。

きっとどこかで、これらを必要とする議論がなされ、そのなかでこのようなデバイスを活用することが教育の目的を達成するために必要なのだという話になっているのだろうと、それとなく想像はしています。少なくとも目的と必要性、そして達成されるであろうゴールがキチンと定義されているものだと、それとなく想像はしています。

ただ、これは私自身の不勉強と不徳のいたす限りというか、そのあたりの議論がよく見えないまま、なんとなく「最先端の技術を活用するぞ~」「それが日本の教育のレベルを上げるのだ~」「海外の各国に遅れを取るぞ~」などなど、なんだか技術寄りというか、デバイス寄りというか、形から入ってるように見えてるんですね。

もちろん、たとえば文科省を中心に(きっと)総務省や経産省あたりも含めてでそれぞれコレからの学校教育、その中でもたとえば義務教育課程のなかで何をどう教え、何を達成するのかといった議論があるのでしょうし、それを担保するためのデバイスとして、あるいは技術としてこのようなものと言う話が成されているとは思うのですが・・・

 

駄目ですね。判らん判らんとばかり言っていては。
不肖岩永、これでも小学生の子供が2人もいます。他人事じゃない。自分の事でもあります。やっぱりちゃんと自分で調べてみなきゃ駄目ですね。ちょっと出直します。

 

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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