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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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デジタルサイネージを凄く乱暴に一言で説明すると動画も音も出る電飾看板。ビルボードとしてビルの壁に張り付いていたり、ショッピングセンターや駅、あるいはスーパーの商品棚に乗っかってたりするわけです。

個人的に自分が日常利用する東京メトロの赤坂見附駅のホームの電飾看板から動画や音が出るようになって、疲れ果てて電車を待ってるときなどには正直「鬱陶しいなぁ」と思うこともあったりする訳ですが、とにかく人の集まるところ、人が流れてゆくところの電飾看板がデジタルサイネージ化してゆく流れは止まらないだろうということは理解できます。

ただ、基本的に現在蔓延ってるのはどちらかと言うと情報を垂れ流す媒体としてのデジタルサイネージ。最初に書いた、要は「動画も音も出る電飾看板」なわけですが、デジタルですから当然そこに色んな色気が出るわけです。元々デジタル化するメリットとして色んな人が最初から着目しているところ。それが、インタラクティブ性を持たそうという夢、ですね。

 

ところどころで実験が始まっているわけで

ケータイなどの媒体を認証のキーにして、その人が求めているであろう、あるいはその人が反応するであろう情報を提供しようという話は山のようにあります。非接触で、たとえば特定の人が前に立ったときにその人向けのコンテンツを流すみたいなアイデア自体は何十年も前からあるのですが、デバイス自体は技術の進展にともなって変化しているのは事実。そして用途のアイデアも変遷しています・・・が、基本は余り変わってないですね。情報を流して次の行動を誘うという基本原理は。

で、たとえばそれが駅のコンコースとかにあると人が通るたびにコンテンツが変わって鬱陶しいだけじゃんという笑い話や、その人の好みなどの情報がそのまま漏れまくりでどうするよ?という話があったりと、その置き場や目的、サイズなど色々と考えないと技術だけでは解決できない問題が山のようにあるわけです。

で、その辺りの検証も含めた実験が色々あるわけですよね。ま、それは良しとしてですね・・・

 

デジタルサイネージのシステムで触れた情報の詳細を取るために、そこに「接触」しないといけないとしたら、これは場所と内容をちゃんと考えないと駄目だよね?というシロウト発想

良くある効果測定。ある場所に、ある情報を、ある形で流したときの効果測定というのは当然やりたいわけです。その情報が期待する行動にどの程度結びついたのか、ということ。これがいわゆる伝統的な広告媒体であれば直接の行動が読み辛いわけですが、デジタルな媒体であればデータは取れるでしょ?というのは判ります。

でも、その行動を調べるためのデータは、そのサイネージ端末(あるいは機器)に直接なにかしら働きかけてもらわないと、個体としての効果を調べる事は非常に難しいわけです。

たとえばクーポンを出すとか考えたとき、そのクーポンというのはその後の行動を誘うための手段ですから、最終的にその端末(あるいは機器)からしか得られないものを取得し、その後の行動の際にそれを提示してもらうなどによって行動が把握できるわけです。

ただ、たとえば流通業でよくある「来店ポイント」などのように、少なくとも行動する可能性のある場所自体でそれをやるのであれば来店の動機のひとつになるし、来店機会のある割合で購買行動などに繋がるということで考えると、比較的わかりやすい。少なくともシロウトの私でもよくわかります。

 

あまり使われないスタンプラリーシステム化してしまう可能性に対する杞憂

ただ、これが街頭など、その行動を直接起こす場とは違う場所に設置されたものであれば、情報を取る動機がよく判らないんじゃないかなと思ったりするわけです。たとえば街全体としてのポイント制度みたいなのがあれば、そしてそこに来る人たちが有る一定のリテラシーを担保できる層であれば良いのですが、どうなんだろう?とか。

で、購買の前にその端末(あるいは機器)の前に行けば他では手に入らない情報や特典が手に入るとして、でもわざわざそこまで行く?というところが、どうにもよく判りません。

街に人が出る動機というのは人それぞれですから私ごときがどうよ?と言う筋合いのものではありませんが、個人的にはなんだかそういうのって面倒くさいよな、と思ったりしてしまいます。実際、色んなお店のクーポン券とか割引券を大抵期限が切れてから思い出すアホな私は、基本的に「特典」があるからそこに行くっていう行動を余りしない人のようです。せいぜい、事前に飲み屋を探し、その店のサイトなどで割引クーポン券があるかどうか位は探しますが、それは目の前のPCか手に持ってるケータイでの話。わざわざサイネージ端末(あるいは機器)の前で悩むってのはそれほど無いんです。動機と行動の順番がデジタルサイネージの目指すところには合致していない。

とういことで、サイネージ端末(あるいは機器)の前で悩むんじゃなくて、目的となるその場所での行動に対して直接何かしてくれるほうがありがたいと思ってしまう私。そんな私にとって、インタラクティブなサイネージというもののが描く未来ってのが一体どうなのかってのが、さっぱりわからないなぁ・・・と思ったりするわけです。

 

まぁ、私がわかったから何かが変わるというわけではないのですが (苦笑

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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