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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

« 2010年2月25日

2010年3月1日の投稿

2010年3月2日 »

バンクーバーオリンピックもそろそろ閉幕。日本のメダル数云々とかの議論の裏側でフィギュアスケートのエキシビジョンの放送に津波警報の映像が重なって「しゃあないなぁ」と諦めるしか無かったところまで含めて、色々と話題満載でした。時差の関係で現地の夜開催の競技の場合中継が日本時間の午前から午後くらいにかけてになった事もあり、自分で中継を見るよりはTwitterでのTLを眺めている事で状況を知るというコトが多かったのが個人的に感慨深いところでしたが、以前から言われていたとても重要なコトが改めて浮き彫りになった大会でもあった気がしています。

いや・・・ これはある意味暴言かもしれませんが、でも敢えて思ったことを素直に書くと・・・

 

「趣味の延長で勝てるものと、勝つために準備して勝つものは全く別である」という厳然たる事実

実はオリンピックだけではなく、色んな競技の色んな大会の歴史の中でルールが不変なのモノというのは殆ど無いんじゃないかと思います。これはスポーツだけではなく、ありとあらゆる「競うもの」に共通だと思います。

たとえば有る一定のルールで誰かが圧倒的に強い状況が生まれてしまった場合、ルール自体を改正し、その誰かが圧倒的に強くなってしまう部分を禁止してしまう、あるいは制限をつけてそれが極端な強みにならなくしてしまうというコトは普通にあるわけです。

たとえば今回のような冬のオリンピックで言うと、かつて長野である意味圧倒的に強かったジャンプ競技で、勝つための飛び方として日本人選手が編み出した極端な前傾姿勢は、当時のルールではOKだったけれどその後にルール改正されて駄目になってしまいました。

たとえばフィギュアスケートで、芸術点と技術点の配分が変わったり、どういう部分が高い得点を与えられるのかについては微妙に変わるわけですが、そんな中で前回のトリノ大会の際に敢えて全く得点にならない「イナバウアー」を意地で突っ込みながらも金を取れた荒川静香さんは、それ以外の部分でキチンと点が取れる状態をつくっていたからこそ、意地の「オカズ」を入れることが出来たわけです。

あるいは・・・これは私がかつて中学生の頃に水泳部をやっていた時の話でよく覚えている件で言うと、メキシコオリンピックで平泳ぎの田口信教さんは準決勝で世界記録を出しながらも、ルールギリギリで編み出した「田口キック」がバタフライのドルフィンキックであると認定されて失格し、その後ミュンヘンでその時点でのルールの中で最大のパフォーマンスを出して世界記録で金を取り直したわけです。

ルールは一定ではなく、誰かが何かの意図を持って変える訳です。
しかも、大抵は圧倒的に誰かが点を取ってしまうと、それが起きないようにルールを変える訳です。しかも、変わった内容にあわてて合わせる動きの前に、誰かに有利なように誰かが準備し、そういう風に変わるのを待っている人が居たりするわけです。色んな理由で。

誰が何と言おうが、それは事実。

 

勝ちに行く事が求められる場は精神論だけで勝てる場所ではないと思うんです

もちろん大事です。精神的な強さって。
でも、何だってそうですけれど、アマチュアの意識の延長にプロって無いと思うんです。そもそも最初から、あるいは途中から全く違う考え方を持たないと、それで喰えるわけもないし、喰えないならそれをやめるしかない。

じゃぁオリンピックの選手って(基本的には)みんなアマチュアでしょ?という話もありますが、現在の日本でも一部の競技ではプロの参加が認められていますし、そもそも海外で勝ちに来るプレイヤーの全員を日本で言う厳密なアマチュア規定に当て嵌める事ができるわけもありません。そもそもナショナルアマと呼ばれる人たちが普通にいるわけです。日本でも一部の競技では純粋培養に近い状況での選手育成プログラムがあるようですが・・・

因みに本気で勝ちに来るためには、勝てるためのルールが必要なわけです。ここがとても重要だと思うのですが、ルールはみんなが公平にプレイする為の一定の決まり、というだけではなく、極端に誰かが強くなる事を抑止するためのモノという側面があるということですね。しかも、コレを決めるのは、たとえばある特定の競技の国際団体です。この国際団体は、その競技人口が多寡、参加国の多寡に関わらず、誰かがそれを仕切るわけです。完全に価値観から何から違う人たちをまとめるために共通の目的以外のものを設定するのは無理というのが私の信念なのですが、それがモロに出るのが、このルール決めだと思っています。

ちなみにそれを完全にフラットな状態でモノゴトを決めようとした挙句に空中分解しかかったのが、昨年コペンハーゲンで開催された世界環境会議COP15ですが、日本的尺度における良い悪いの基準とはまったく別の所でモノゴトが動き、その枠組みの中で何かするのであれば、それ相応の動きをこちらもしないと駄目、というコトじゃないかと。

 

もちろん、単純に一人の個人として色んなスポーツやら何やらを楽しむのは大好きですし、私ごときが否定するものでもありません。

でもモノゴトは何であれ、いわゆる他流試合をする=勝つためにやるわけで、趣味の延長で楽しみながらやるのとは全然違う種類のもの、じゃないかと思います。そこには個人の努力だけではどうしようもない部分がある。しかも、それはスポーツに限った話ではない。更には国を跨いだ話だけでもない。

それをロビー活動と言ってしまうとそれだけで嫌悪感をもたれる可能性もあるわけですが、現実そういう部分はあるわけです。それが嫌なら「鎖国」するしかない。これは経済活動などの上での状況とも似ているわけですが、「経済活動であればOKだけど、こっちはNO」とか、「自分たちに有利な方法を探るぞ」と言いつつ「自分たちに有利なのを変える連中は許さん」とか、あるいは「国(あるいは何らかの団体)が関与すると変になっちゃうから止めてくれ」といいつつ「国(あるいは何らかの団体)が何もやってくれないから駄目なんだよ」などといったような話っていうのは、なんだかダブルスタンダードだよね?と思えます。

どうなんでしょうね?

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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