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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

« 2009年12月25日

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2009年12月31日 »

時々触れる通信ネタ。正直業務に繋がるところがあって、しかもここには色んな意味での守秘義務が巻きついていたりするので歯にモノが挟まったような言い方になることが多いのですが、それでも時々一言言いたくなることもあるわけです。

もちろん議論はあるべきですし、自分と異なる意見についてもキチンと接することから色んなモノの見方を学ぶことができる訳で、それ自体は良い悪いという次元の話ではありません。

とはいえ・・・

 

なんだか議論がかみ合ってないぞ、という事を考え始めたのがこのころ

クラウドの議論やらなんやらが活発になり始めた、2009年の夏ごろ。それまで色々と鬱積していたのをとりあえずまとめたのがこのエントリー。

無線は有限なんだって!無いのは限度ではなくケーブルだけ! 2009/8/18

この時点での一番の思いは、とにかく間をつなぐものを無限だと思わないで欲しいという事。もちろん通信のための資源であれ何であれ世の中に存在するあらゆるものには基本的に有限な訳ですが、この議論にあるのは無線の帯域という資源。有線でも当然資源の限界は存在しているのですが、無線より有線は圧倒的に安定している。そして資源の量を物理的に増やすことも実は比較的容易です。それに対して余りに無線というものをみんな空気のように考えている。それは誤解だし、理解不足だし、それが前提だと色んなものを拡大解釈したり過大に期待して、物事を違う方向に持って行ってしまう。

でもITだけしか知らないと、それを意識することは無いし、それを教えてくれる人もいない。
幸か不幸か私はIT系企業に長くいましたし、現在は通信事業者に居る。両方を知ってる。だったら、ちゃんと言える範囲で言い始めよう、としたのがこのエントリーであり、それをキチンと伝えようという主旨で色んな人に話を始めたのもこの時期。

まぁ、私ごときがそんなことを始めたからと言って、大した影響力があるわけではないのですけれど。

 

その後ワイヤレスとモバイルの立ち位置というモノを考え始めたのが次の変化

IT業界の人として通信のどういった部分の限界を知っておく必要があるのかといった話をし始めながら気がついたのが、「ワイヤレス」と「モバイル」ってのを分けて考えないとだめだな、という部分。

区別をすること自体がまだ少数派ですから概念的なところを話さないとなかなか判っていただけないのですが、それでも大抵の場合、その立ち位置の違いとかそもそも単語が表しているモノが違うということは話せばわかる。実はその違いの部分がなんとなく自分ではっきりし始めたころに書いたのがこのエントリー。

ワイヤレスとモバイルというのは違う概念じゃないのか論 2009/11/11

実は絶対に概念として立ち位置が違う事を意識しないと自分で納得できないなと思い始めたのは9月くらい。いや、そもそもWireless Japanで説明員をやっていたころから今まで感じていた妙な違和感がどんどん大きくなってきていたんです。で、その後色んな場で色んな方に疑問を持ちながら業界環境やらなんやらのプレゼンテーションをひたすらやっていたんですが、10月も半ばには「これ、分けて考えないと絶対に破たんするぜ」と思い至ったんです。

実際のところ、色んな記事やブログのエントリーなどで、今年の動向から来年以降の「モバイル」市場の動向を占う的な話が一杯出ているんですが、その多くが「モバイル」と「ワイヤレス」を混同してて、正直何を言っているのか良く判らない。ワイヤレスの中のある部分をモバイルと呼ばないと、一部だけを見て全体を評価している状態になるんです。順番が逆だからおかしい。

たとえて言うと・・・ 

極論その1 「自動車業界の今年の動向として乗用車からトラックまで全部を並べて紹介し、そのなかからハイブリッドの乗用車の動向を取り上げ分析するとさ、減税もあるし少子化のなか車人口も減るんだし、だったらみんなこれからの自動車業界は「ハイブリッドの乗用車」が全てだし、ハイブリッド乗用車がこれからクルんだから、みんなそれに注目だぜ」みたいな分析。

この極論で何が変? => 総論から一部を取り上げて全体を総括してしまう傾向

 

極論その2 「世の中のモバイルっていうかケータイ端末はiPhoneでキマリ。PCを持ち歩くなんてもう不要だし、たとえばChoromeOSとかアンドロイドが来ても俺たちゃ何にも怖くないぜ。だってこれが一番ススんでるし、一番イカしてるんだから。他のケータイ端末?それはiPhoneを引き立てるわき役ってことだな。たとえばガラケーなんて最高にイカした脇役だね。その流れの延長が今後のワイヤレスの動向だを左右するんだよ」みたいな論調。

この極論で何が変? => 狭い範囲の評論をもって、それが含まれる概念の全体を総括してしまう傾向

 

これらは極論ですし、誰かの発言について云々しているモノでもありません。ただあくまでも一般論としての話。ここには実は 本当にブログのネタにしたいと思うものほど、実は書きづらかったりする件 2009/12/18 といったエントリーに書いた問題もあっていわゆる中の人が殆ど何も話せないという状況がありますから、一概に誤解だとか何だとか言うのも酷だし、
言わないやつが悪いんだと言われてもねぇという部分もあったりします。

 

大事なのは、自分が何を知ってるかを冷静に考えることじゃないのかな?

誰も物事のすべてを知ってるわけではなく、当然その人の立場、その人の役割という範囲のなかで知りえる情報の内容や深さが変わるわけです。それは当然。

ただ、同じように自分が参考にしている資料や論文を作成している人、記事を書いている人も、それぞれの立場において情報を仕入れ、それぞれの立場で情報を分析し、そして文字にしたり喋ったりしているわけです。

あらゆる物事に対してニュートラルに話をすることができる人はいないのは厳然たる事実。

なのであれば、その人がどういう立場で何を言ってるのかということをキチンと考えなくてはいけないんですよね。ただ、自分がどういう立場で何を話しているかをキチンと理解していただけるかどうかはその場のその状況によりますし、相手に自分の立場を理解してもらえるかどうかは私だけの問題でもなかったりするので、難しいんですけどね。

 

と、そんな難しいことを考えつつ、今年も暮れつつあります。
でも時間がある時しかこんなことをゆっくり考えられないんですけどね。

 

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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