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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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Web上で色んな出来事を追いかけることが出来るのはとても便利なのは、もう体が覚えています。これでも一応30年近くもITを軸にしたネットワークの世界に身をおいているので、歴史的な経緯も含めてカナリ体で覚えているところがあります。

確かに「あの事件の関連記事は?」とか、
「あの情報ってどこかに無いかな?」とか、
「あの人ってあの頃どんな記事書いてたっけ?」とか、
「あの本ってまだ手に入るのかな?」とか・・・ 

そんなの枚挙の暇が無いのはわかっています。でも、根本的に出来ない事があります。それって、何?

 

今を切り取って、流れてゆくのがネット上の表現

TwitterやTumblrなんてのはその際たるものですが、いわゆるニュースサイトでも実は同じことが出来ません。それってなに?

「その日の一番衝撃的だと誰かが判断したことをカタチに残せない」

ということ。確かにいわゆる魚拓系のサイトなどで、その瞬間を切り取ることが出来ます。でも、それすら、その瞬間ではないわけです。続報が入って見出しも内容もドンドン更新され、そのうち次の話が来て流されてゆく。

でも、一体何を言ってるのかって?

 

紙のメディアにある、「あの時のあの出来事」を追想できるという特性

たとえば新聞だと、一面トップ、という表現があります。媒体としての一世一代のスクープかもしれませんし、各社が一斉に報じる事件かもしれません。ただ、同じ事象であっても各社の切り取り方が違うのは当たり前で、その差が見えるところが面白いわけです。

でもWebって、けっきょく流れちゃうわけです。

紙面あるいは誌面上での割り付け、見出しとのバランス、写真の入れ方などなど、その記事をどのように伝えるかというのが、記者、編集者、カメラマンなどなど多くの人の仕事の結果として表現されるわけです。

でもWebって、決まったレイアウトに文字と写真を流し込むことで(乱暴な言い方ですが)成立しちゃうわけです。

それらの要素が全部集まって、その日を切り取ることにより、あとからその紙面や誌面を見るだけで「あ~、あの時はこうだったよね」というのが思い出されるわけです。その記事や内容が好きか嫌いか、良いか悪いか、正しいか間違っているか等の評価もすべて含めてその時代、その時間、その瞬間が思い出せるわけです。

でもWebって、そんな風に時間を切り取ることはできないわけです。そんな特性は持っていないから。

 

紙媒体が苦しむのは判ります。でも、残ってほしい。生き残ってほしい。

何らかの別の媒体を通さずに直接読める、あるいは直接見ることができる媒体というのは何世紀にもわたって存在してきているわけです。それらは色んな人の意図を反映しつつ、その時代、その瞬間を切り取るという形でその時代を代表しているわけです。それらが歴史を記してきた証人としての役割を持って生き残ってきたわけです。

残念ながら、そういう意味での記録媒体としての特性をWebの世界、インターネットの世界は持っていないと思うんですね。

いや、たとえば何らかの媒体の編集者がそのような意図をもって毎日の状況を切り取って形にするということ、つまり情報として固定するようなものもあるかも知れません。でも、デザインまで含めてその日を切り取るなんてのはとても無理なこと。

逆に、CSSか何かで綺麗に整理されたレイアウトの中に文字や写真を流し込むことによって見栄えが成立し、それにつけられた見出しと、物によっては抄録や冒頭の部分が切り取られてトップのページか何かに掲載されて参照される。でも、次の何かが来るとそのまま流されて見出しのところからは消え、本体は運用サイドが消すと判断するまでは生き残って・・・

その日を切り取るということを特性として持てないWebと紙媒体はそもそも立ち位置が違うんだからさぁ・・・と思うことが最近多くなりました。

 

ただ、これを突き詰めると紙媒体はなんだか単なる記録媒体になってしまいそうな勢いですが

いや、決してそんなことではないんですけどね。

とりあえずWeb系の話、インターネット系の話自体はキライではないし、今現在もこうやってブログのエントリーをかいていたりするわけですからそれなりに取り組む意識は持っています。

でも、紙の特性、紙への意識、紙の使いやすさ。このあたりはやっぱり捨てられません。布団に入ってから寝るまでの間にめくる雑誌や文庫本、あるいはカタログの類が電子ブックか何かに置き換わるのはワタシは嫌ですね。

だって、翌朝、自分の顔の下でキレイにひび割れた液晶なんて見たくないですし(笑

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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