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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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ネットワークにPCを繋いでとりあえず接続確認で多くの人が一度はたたいたことがあるコマンドの「ping」。さて、これを何と呼びます?ワタシは「ピン」と呼んでます。

 

ワタシがピンと呼ぶ理由

IT系の用語に限って言うと、結構いろんな読み方がある単語がありますが、例えばこのpingの場合、ワタシは「ピン」と呼んでいます。なぜ?いや、親父の勤めていた会社がレーダーとか魚群探知機を作っている会社だったですが、その中にソナーがありました。

その会社で作っていたのは漁労用および海上保安庁用なのですが、その流れでいわゆる軍用のソナーの話も小学生の頃から存在を知ってました。特に潜水艦では潜行中に相手の場所を確認するために探信音と呼ばれる一発の音を出して、その反射でソナー手が探索相手の方向と距離を確定するという作業をするわけです。で、その流れの中での呼び方として覚えていたのが「ピンを打つ」という言い方。本当に小学校に入った頃にはその呼び方を覚えていました。

さすがに別の言い方は出来ません。

 

ピング?

まぁ日本語的に読めばそれもアリだとは思います。でも、ワタシ的にはちょっと恥ずかしい。だって沈黙の艦隊でも「ピン」を打っていたわけで、やっぱりワタシにはピン。

いや、だからなんだという話ですけど (笑

 

 
 

bibendum_iwa

ICTと括られているモノのほぼ全てが何かしらの技術を使っています。そもそも”T”はTechnologyのTですから当たり前ですが、それらの技術で出来ることと、それを事業として立ち上げ、かつ継続してゆくこととは別の話である・・・という気が時々します。昔からずっとなんですけど。

 

良い技術だから、あるいは良い製品だから売れるという訳ではないという冷徹な事実

作り手側からすると、いろんな制約や条件の中で最良と思われるモノを世に送り出すという作業があるわけですが、それが市場に受け入れられるかは、作り手の想像をはるかに超えるいろんな制約や条件の中で決まってきます。結果的に「何でこれが売れちゃうの?」みたいなものもあるわけですが(あ、一般論です)、ビジネスという場において最終的な成功を収めることが出来るかどうかは作り手側が良いと思っていたものとまったく違うことがある訳です。

これは業種業態により事情が異なるとは思いますが、えてしてそういう状況が起きるものです。もちろん世の中に他に選択肢が無いものなど、そもそも強烈な競争力を持っているもの以外は何かしらの競争状態に置かれるわけで、そこに市場の原理が働くわけです。

 

売れた製品が企業を潤すと一概に言えないという冷徹な事実

米国市場に極度に依存したGMやクライスラーなどの例を見ても同じですが、少し強引に話をすると、世界の自動車業界の中で車体も排気量も大きなゆったりした車を求めたアメリカの顧客のニーズを満たすために正常進化したはずのビッグスリーの状況は皆さんご存知の通りです。ある意味、世界の自動車市場においてはガラパゴス状態といわれている日本の通信市場と同じ状況だったと言えるかもしれません。大きな景気変動はひとつの原因ですし、自動車を金融の力で売りまくってきたことが金融市場の崩壊によって根底から覆ってしまったという事情はありますが、少なくともアメリカ国民の多くが求めていた、作り手側も良いと思っていたモノを売り続けていたことが結果的に首を絞めたといえるんじゃないかと思ったりします。

前述の話の中で、たとえばGMは車の良さよりもファイナンスの部分での特異な方法で車を売りまくってきたという話については深堀すると結構大きな話になるのですが、少なくともニーズがあったが手にするのが難しかった巨大な層に対して車を売りまくってきた力があった訳です。

これらの車がアメリカ以外でどれほど競争力を持っていたかは各メーカーの米国製自動車の海外輸出比率を見れば一目瞭然ですが、少なくともデトロイトでグロスでのビジネスを見たときに、結果的に売れていた製品が企業を潤していた時期があったのかどうかすらすでに良くわからない状況な訳です。

 

技術を売りにすることと事業が継続できることの違い

話をITの世界に戻すと、先日のオラクルのサンマイクロシステムズ買収というのはひとつの象徴じゃないかと思います。技術的にはJavaやマイクロプロセッサー技術など、サンマイクロシステムズ自身が持っている優れた技術というのはいっぱいある訳です。でも結局一人で生きてゆくことが出来なくなったのは事実です。これは良い悪いではなく、事実です。

元々栄枯盛衰の激しいIT業界です。かつて80年代ころまではBUNCHといわれた有力コンピューターメーカーのグループがあったのですが、殆ど元の形では残っていません。厳密に言うとひとつだけ残ったわけですが、後は全部カタチを変えたか、あるいはどこかに買収されて消えてゆきました。でも当時はそんなことになるなんで誰も思えないくらい真剣に切磋琢磨していたわけです。

ちなみに・・・
B = Burroughs。今のUNISYSの母体ですね。
U = UNIVAC (社名はSperry Randでしたが)。Burroughsに買収されてしまいました。
N = NCR。紆余曲折ありましたが、現在もちゃんとしてます。
C = Control Data Corporation (CDC)。今は木端微塵です。
H = Honeywell。コンピューター事業はフランスのBullに1991年に売却してしまいました。

それらと対抗していたIBMも、かつてとは大きく業容を変えているわけですが、技術が売りだとしても、それだけでは事業として継続できるわけではないという、ひとつのたとえ話ですね。

 

ほんでもって、今後ってどうなるんだろう?

海外の有力企業と呼ばれる所、しかも経営的に(紆余曲折はありつつ)市場から良い評価を受けているところというのは、何かしら中長期のプランを持っているものです。会計年度内という短期から、向こう5年とか10年、状況によっては30年くらい先までのビジョンを持って居たりします。もちろんそれがそのまま形になるのではなく適宜見直す訳ですが、そういったレンジの中でモノゴトを考えているわけです。

もちろん日本にもそういう企業はあると思います。いわゆる装置産業と呼ばれる電気やガス、水道、通信(本来はここに分類されるべきなのですが)はある意味社会のインフラを荷になうという社会的責任があるので、短期的にどう立ち回るかはさておき、中長期でのビジョンを持っていないと事業として立ち行かなくなることになりかねません。

と、ふと振り返ってICTの世界ということでもう一度見てみると、短期的な技術論で市場に打って出るところはもちろんあるのですが、そう見えて実は裏側で非常に遠大なビジョンに基づいて活動し、それを実現するための研究開発投資を行い、その時点その時点で製品やサービスを提供してゆくという動きをするのがひとつの大きな考え方であると言えるんじゃないかと思います。

もちろん、ビジネスの状況、そもそも業種業態の違いなどから、中長期のプランをガッチリと作ることの向き不向きはありますし、良い悪いという議論もあると思います。正直、そんなの無理だよとか、不要だよという部分もあるかもしれません。

 

技術のための技術ではないものの存在と、市場に出てきたものの裏側の経緯

ここに注目すると、モノゴトの見え方が少し違って見えることがあります。なぜあの時、あの企業はこんな発表をしたのかとか、なぜあそこで大きな方向変更をした(と見えた)のか、なんでそんな無理を言われても困るよといわれたのか、そもそも氏素性は何なのか、なぜあの技術はああいったグループの後押しで出てきたのかとか・・・ とかとか。

もちろん、市場は生ものです。状況によりいくらでも変化します。行政が絡んでもっと面倒くさいことになることもあります。あ、もちろん行政も行政として良い悪い、あるいは正しい間違っているは別として中長期でものを考えているわけですが、そこに如何に対応できるか、順応できるかも大事なことです。市場にあわせて進化してゆく姿勢を忘れると存在がいつしか化石になってしまうわけですが、余りに特定の市場に対して適切に進化してしまうと「ガラパゴスだ」と言われたりする訳で、ここは微妙なものです。

最新技術って言われたものは、別に目立つようになったのが最近で、実はそれぞれちゃんと経緯を持っているということを見ると、結構面白いものだと思います。

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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