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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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バンコクに移動です。例の騒乱の最後に一週間ちょっと占拠されていたスワンナプーム国際空港から入って、バスでホテルに移動。事前に情報は入っていたのですが、今のバンコクは例年に無く気温が低くて、夕方になると半袖では鳥肌が立ちます。北部では凍死者も出たほど気温が下がっているとのこと。ちょっと異常です。

 

今回はIT Squireに行ってみました

去年の9月にバンコクに行ったときにはMBKに行ったのですが、今回はホテルのすぐ近くのIT Squireへ行ってみました。タクシーで5分くらい。で、行ってみての素直な感想は・・・

景気悪いんだなぁ

 

2割くらいのスペースが閉店

基本的にはショッピングモールみたいなものを想像してもらえればよいのですが、何しろ閉店してしまったスペースが目立ちます。2割りよりもっと多いかもしれません。元々MBKほど大規模ではなく、いわゆるケータイ屋はそれほど多くありません。ざっと見て30軒くらいでしょうか。それ以外にPC系のパーツ屋が結構居るのですが、なんだかどこも元気がありません。もちろん行ったのは平日の午後ですからお客さんが少ないのは仕方ないのですが、品揃えとかを見てもそうですし、なんだか寂れた感があります。

景気悪いんだなぁ

 

まぁそれでも行った目的は果たしました

元々今回はコンパクトフラッシュとUSBメモリーを買うのが目的でした。これだと世界中どこで買っても値段以外に違いはありませんし。ただコンパクトフラッシュを売っている店が少なく品揃えをちょっと辛かったのですが、タイ語しかわからない店のお姉さんと身振り手振りで微妙に交渉して・・・ (以下[TB]はタイバーツです。テラバイトではありませんので念のため)

表示価格: (8GB USB=540TB) + (8GB CF=1450TB) = 1990TB ≒5170円
購入価格: 1990TB x 交渉 = 1390TB ≒ 3600円

ということで、3割ディスカウント。タクシー代の割り勘分が50TB弱ですが、それを足しても自分的にはOKの値段。

まぁ、こんなもんでしょ

 

今日は純粋な移動日なので少し時間がありますが・・・

明日は同じホテルの会議場に缶詰です。それが目的で来ているので四の五の言う筋合いは無いのですが、それにしても余りにもギチギチなスケジュールの今回の出張。代役ですから大きなことは言えませんが、さすがに・・・ねぇ

 

(余談)ハノイの空港

写真は撮らなかったのですが、その雰囲気は多分こういうとわかる人にはわかると思います。って、どんな表現?いや・・・ 凄く乱暴に言うとこんな感じです。

「沖合い移転直前の羽田空港の国際線ターミナル。しかも照明が70%ほど暗い。」

チェックインのとき、列の私の前には5組ほど居たのですが、その状態からチェックインが終わるまで30分ほどかかったのはご愛嬌ですね。

 

bibendum_iwa

プレゼンテーションのやり方は目的によって当然変わります。元々不利な条件で自分の存在を確実に伝えなくてはいけないプレゼンテーションというのは非常にキツイもの。そういう時、個人的には一番危険だけれど一番効果的だと思っているのは相手が微妙に不安に思っているところを正面から突く事。リスクは大きいです。たかだか20分とか30分のプレゼンテーションで胃がキリキリ痛みます。真剣勝負。でも途中で聴衆の表情が変わったら勝ったも同然です。

 

既に進んでいる方法論に対する対案提示の恐ろしさ

あることをやろうとしているとき、どこの誰でも必ずそれが正しいのか調べます。結果に一応納得してから先に進むわけです。何かしようとするときにはお金もかかりますし、負うべき責任もあります。そもそもいろんな迷いがある。でもそうやって進み始めているプロジェクトに、いきなり冷や水を浴びせるようなプレゼンテーション。

「こんな他の選択肢があることを理解してますか?」

ある意味とてもキツイ言い方。でも、こっちもガチンコの真剣勝負です。ここで引くわけには行きません。
言っている方の胃はキリキリ痛みます。

 

問題点を整理し攻めるべきところを絞る

ディベートをする気はありません。最初から説得です。一歩も引く気はありません。不得手な英語では難しい部分もある。でも相手の状況は理解したうえで絶対に不安になる部分を徹底的に突く。もちろん基本的な方針は否定しない。する必要も無い。問題は方法論だから。だから対立点をはっきりさせつつ「ここがウチの肝なんですよ」「こんな選択肢があるんですよ」と話をすりかえる。いや、すりかえるというと不謹慎ですから、言い換えるといったほうが良いかもしれません。最初から確信犯で突っ込んでゆきますから、当然聞いている方は不安になる。

「私(たち)のやっていることは間違っているのか?」

もちろん間違っているわけではないので、そんなことは言いません。でも、不安になる。そうなればこっちのものです。こっちの話を聞いてくれる姿勢が出来上がっています。
多分その方(あるいは方々)の胃がキリキリ痛むはずです。

 

結論を相手に任せて放り出す無責任(笑

早晩こちらに話を聞きに来るのは、もう明白です。当然(私から言えば対立する)現在のパートナーにも相談するでしょう。でもそこでの結論に対する責任があることを明確に、しかも多くの関係者の前で示す。もちろんそういった判断をする責任の人でないと困りますが、もしそうであれば最後に私が言えることはひとつ。

「ご連絡ください。いつでも相談に乗ります」 そして笑顔で握手。

最後まで胃がキリキリします。

 

こんな仕事の仕方はあまり褒められた事ではないと思います。でも、やらなきゃいけないほど真剣勝負の場もある、というかあったという話ですね。

あぁ、思い出すだけで胃がキリキリします。

bibendum_iwa

今回、マレーシア、ベトナム、タイと回っているわけですが、改めてASEANとして括って考えることの難しさを思い知った次第です。あまりにも各国の状況が違いすぎる。夫々の国が持っている危機感や方向感は大方同じなのですが、抱えている状況と度合いが違いすぎる。そりゃそうなんですけど。

 

ASEANのなかの温度差

今回訪れている中でもマレーシアやタイは比較的通信インフラの普及と利用が進んでいる国だといえます。有線も無線も。それに対してベトナムは政治体制や歴史的経緯もあって、完全に周回遅れと言えます。しかしながら、国として成り立ってゆくために、取り残されないために通信インフラの整備、ICTに関する国内のレベルの向上、そして産業として世界に伍してゆきたいという明確な意思があります。

ベトナムに到着したときに最初に視察に行ったのは、日本で言うと筑波や京阪名の学究都市に当たるエリアです。実際には開発のグランドデザインがJICAの協力によって出来上って国の承認を得たところで、実際の開発はこれからある程度の年月を掛けて進めてゆくものです。人材の育成も本格的にはこれから。

ただ気になったのは・・・これは同行したほかの方が質問したことなのですが、「周回遅れで同じことをしてもどうしようもない。ベトナムとして特色が出るエリアへの集中が必要ではないか?」ということ。この部分、実は日本国内での地方における同様のプロジェクトにも共通する問題ではないかと思います。解が簡単に見つかるものではありません。たとえばベトナムの場合、農業人口が全人口の7割を占めるかなで、いわゆるバイオテクノロジーの部分に大きな力を注ぎ、農業として世界に十分な競争力を持つようにするべきで、そのためにICT技術を使うというのがありきたりですがひとつの方向だとは思います。もちろんそれを決めるのはベトナムの方ですから日本から来た事情をよく理解していないアホが四の五の言う話ではないのですが、事実そういうディスカッションがありました。

 

同じ道を行くことの危険性

そもそも、一般的に考えられることが多い「自分のところにシリコンバレーを作りたい」という話。もちろん地方行政の流れで産業を興すのは全然OKだと思いますが、それを世界に対して喧伝するとなった場合、たとえばアジアであればインドや中国、そして台湾あたりと正面から戦うことになります。でも彼らは明らかに数周先を既に走っています。同じことをやっても多分追いつけない。もっと違う道を探らないと、戦えない。でも、彼らに伍して世界に出てゆきたいという思い。難しい問題です。

 

人材の重要性

いくつもの部分から構成される非常に大規模な、しかも全く新しい仕組みを作るときに、全体を一気に進めることは無謀なのは当然です。相互依存関係、資金、人材などのリソースを考えると、当然優先順位をつけるべきです。周回遅れの一番弱いところは、やはり人材ではないか、というのが今回も肌で感じたことです。もちろん、インドや台湾、中国でも同じ問題があるのですが、国内での教育体制整備と並行して人材をどんどん海外に留学させてしまう。ひょっとしたらそのまま帰ってこないかもしれないけれど、必要なノウハウや経験を持って帰ってきてくれることもある。実際各国でそういう起業家が山のように居るわけです。人材のレベルでは十分戦える状態がそこにある。それらの人が戦う場を国として作る。そんなシステムが既にそこにあるからどんどん先に行けるわけです。
もちろんいろんな経緯で現在があるわけで、今が駄目だと言うわけでもなくて、でも自国内に十分な人材が居ないのも事実。

多くの周回遅れの国が同じような状況があるわけです。でも、やはり、人材は大事。

 

誰がパートナーになれるのか

通信インフラの話なのでどうしても国家レベルでの政策にかかわってくる話なのですが、たとえば中国も、韓国も、インドも、もちろん欧米の各国も動くわけです。今回行ったベトナムの”シリコンバレー計画”のグランドデザイン作成にあたっては日本のJICAがサポートしていますが、実際にそれをつくり、そこに事業や教育という立場でどうやって関与していくのかといったことはとても重要な話です。

周回遅れであることは百も承知。でも何とかしたい。
同じことをしても追いつけないというか、勝負できないのはわかっている。
そもそも開発途上国という立場では必要な場でも発言が制限されてしまうし、イニシアチブを取るのは非常に難しい。

じゃ、どうするのか?

たとえばシリコンバレーを作るだけでは何も生まれない。そんなことは既に百も承知。単なる箱物行政の流れではいけないのは判っている。そんな状況に触れても、残念ながら私は行政サイドの人間でもありませんし、ましてや夫々の国の人間でも在りません。

でも、何のためにそれを作るのか、どこに向かって発展してゆくのかということをアジアの仲間として、それを自分の立場で一緒に考えることというのはとても重要なのだと言うことをヒシヒシと感じます。

そして、日本にという立場から何を一緒にできるのか、何を一緒にするべきなのか。そんなことが頭を駆け巡ります。

 

さて、これからバンコクに移動です

バンコクは昨年の9月にITU TELECOM ASIAに出展したときに訪れて以来。彼の地で私は何を考えるんだろう?

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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