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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

« 2008年3月12日

2008年3月13日の投稿

2008年3月17日 »

新しい製品やサービス、特にコンセプトの段階から新しいものはとかく美しく素晴らしく素敵に語られます。それが形を見せるまでは。さて、問題はどんな形なのか。


コンセプト

コンセプトの段階で先行して発表し、市場を作ってゆくという手法は、海外の企業でよく行われます。ベンチャーを起業する段階でビジネスの青写真を投資家にプレゼンテーションして出資を募るなどはその際たるものですが、一定のビジネスを既に遂行している起業でも、今までの製品やサービスとは異なる新しいコンセプトに基づくものを計画する場合、(もちろんタイミングを見てですが)事前にコンセプト自体をアナウンスするケースがあります。大抵、美しく、素晴らしく、素敵です。もちろん形になるスケジュールの概要も発表される訳で、その時期が近づくと当然言われます。

形を見せろ


実体の実態

早まるか、遅くなるか、ある時期になるとその製品なりサービスは形を見せます。プロトタイプやベータ版のような形で製品に先行して姿を現すものがありますし、実物が初めて人前に出ることもあります。その時点での評価というのは事前のプロモーションやパブリシティーの結果、盛り上がったとします。期待感に満ちたプレスやお客様、ビジネスパートナーの前に姿を現します。

これぇ?


というのは最悪のシナリオですが

一応マーケティングの専門家の端くれを名乗っている以上、そういう事態は避けなくてはいけません。そもそも発表するもの自体の問題は事前に解決しておく必要がありますし、パブリシティ活動も適切に行って正しい情報を事前事後に伝える役割をきちんと果たす必要があります。プロモーションの場でも、必要以上に期待感を煽らず、しかしながら十分な期待感は煽りつつ・・・という活動全体が同期して進行する必要があります。

もちろんそれぞれのケース、役割、状況について有るべき姿と最悪のシナリオまでの間のあらゆるケースを想定し、可能な限り最良の結果をもたらす。この意識はとても大事だと思います。

備えよ常に


イベント屋が遭遇する悲惨な目とは?

持論として、「イベントは企業が企業の看板を背負ってお客様と対峙できる最大のメディアである」というのがあります。新しい製品やサービスに初めて触れることが出来る場所です!とイベント自体の目玉として設定することは当たり前のことのようにやります。でも、得てして初お披露目というのは大抵想定の範囲を容易に超えるありとあらゆるトラブルに見舞われます。

  • モノが(充分に)無い
  • 直前に致命的なトラブルが発覚する
  • 配布資料に修正したはずのプロトタイプ時点での情報が残っている

これらは、ある意味想定できます。もちろんタイミングによっては非常に慌てますが、まぁ想定できる範囲と言えるかもしれません。

  • 翻訳して印刷して納品された日本語のパンフレット・・・が全部英語版だった
  • プレスの目の前でシステムがクラッシュしてコアダンプを吐き散らした
  • 写真を撮ろうとしたプレスのカメラマンがその場で数少ない稼動実機の一つを壊した

そろそろ怖い経験です。

  • 稼動させるはずの製品が全部モックアップだった
  • 致命的なトラブルがすぐには直せないので、そのブツの出展がいきなり取り止めになった
  • 製品版として本番一ヶ月前に輸入した機材のパーツの8割が到着時点で既に壊れていた
  • 代替機をオーダーしたら二ヶ月かかると言われた

もうなすすべがありません。でも、これ、全部私の実体験です。

それぞれが何なのかについては口が避けても言えませんが、特に最後の二つは、IBMに居た当時にある製品を作っていた欧州のある国の工場がやらかしてくれました。本気で飛行機で乗り込んで工場のラインからひったくって帰ってこようかと思ったのですが、最終的にはぎりぎりで間に合いました。


イベント屋の保身

そんな苦難の道を乗り越えつつ、新しいコンセプトの新しい製品やサービスをお客様の前で披露する、その場を作るわけです。正直、胃に穴が空きそうなほど苦しむこともありますが、お客様の前では終始ニコニコ。説明を担当する人達やお客様の間を縫うように駆け回って場を仕切るわけです。

一番美味しいところをどうやって形にして見せるか。

嘘は決していけません。誇張は微妙。演出ですと言い切って納得してもらえる範囲までならセーフ。そもそも製品やサービス自体が充分に魅力的でないと演出の化けの皮はすぐにはがれます。

一番美味しいところをどうやって素敵にみせるか。

本当はこうなんでしょうね。素材の良さを引き出せるようにがんばる。そうです。最後はがんばる。

もっとも、やはり自分がココロから良いと信じれることが大事ですけど・・・

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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