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後記:フォントサイズを中にしたいのですが、なかなか直りません。小さい文字で読みづらくてすみませんです。

414日にTwitter界の鬼才、坂田誠さん( @nyattta )が上京した際に、ループスコミュニケーションズの斉藤徹さん( @toru_saito  )、豚組の中村仁さん( @hitoshi )、パクチーハウスの佐谷さん( @paxi )の3氏を訪問して、Twitterについて激論を戦わせようという企画を、弊社セットアップで実施させていただきました。みなさん、ご協力ありがとうございました。

うち、豚組の中村さんとの対談、パクチーハウスの佐谷さんとの対談は、坂田さんが不定期で配信しているUstream対談企画「ツイトーーク」の一環として、Ustreamでライブ中継しました。以下は豚組の中村さんとの対談のさわりをテキスト化したものです。長いので前後編に分けます。

■先立って補足

Twitter事例の豚組については、先日上げてご好評をいただいた「飲食店のTwitter活用が非常におもしろい」でも言及させていただいています。日本の飲食店のTwitter活用事例としては、文句なくダントツの最高峰に位置する事例です。今回、生で @hitoshi さんのTwitter観をうかがったことで、ますます「豚組はやはり最高峰事例だった」という印象を深くしました。というより、@hitoshiさんのポテンシャルがものすごいのです。以下をお読みいただければわかりますが、@hitoshiさんがおもしろいことをやるから、結果として、豚組の新規来店、リピート来店が増えるという図式があります。ここ、Twitter活用的には非常に非常に重要です。(そのへん、弊ブログで今後もしつこく追っていきます。)

なお、中村仁社長は、外資系大手広告代理店で外資IT企業をクライアントとして活躍されていた時期があり、米国の主流のマーケティング手法を体得している方です。

■友だち的なアプローチで来店客が増えるメカニズム

坂田:Twitterをやってよかったか?

中村:Twitterがなかったら、今のウチはない。Twitterをやったおかげで、商売的な話だけでなく、人のつながりで得るものが多くあった。Twitterは、商売として始めたのではない。商売で始めていたら、こうはなっていない。今でも商売だと思っていない。

お店のアカウント(豚組公式アカウント)は20093月から。個人のアカウントは20073月、非常に早い時期に取得。以後塩漬け、積極的に使うようになったのは20087月から。1日あたりツイート数40数本。

個人アカウントは利用本格化以来、スタンスは変わっていない。ただ遊んでいるだけ。

坂田:Twitterの遊びとは?

中村:Twitterは基本的に大喜利をやる場所。いかにくだらないことで、おもしろがるか。真面目なことをたまに書くけど、変な方向から矢が飛んでくるので(笑)。

坂田:Twitter以前のネット活用は?

中村:お店公 式のホームページをやることはやっていた。自分の場合、ブログにしても、絶対に更新が続かないと分かっている。なので、更新しなくてよい立派な看板をネッ トに置くという感覚で、公式ホームページを位置づけている。メニューなどはスタッフが更新するが。ホームページは、基本的に興味を持ってもらえればよいと いう位置づけ。そこを起点にコミュニケーションをしようとは思っていない。

坂田:すると、お店としてお客様とコミュニケーションする場がTwitterであると?

中村:いや、ニュアンスがちょっと違う。お店として公式にTwitterをやっても楽しくない。公式にやっていれば、これだけお客様がいらっしゃらないと思う。

Twitterは、お店としてやっているパブリシティ、コミュニケーション、プロモーションの補完ではない。むしろまったく別物。

坂田:遊び場?

中村:入り口が違うんですよ。ホームページではお店の名前を掲げている。お店の入り口という位置づけ。そこから生じるのは、お店とお客様という関係。Twitterはあくまでもぼくのアカウント。フォロワー数でもぼくのアカウント( @hitoshi )の方が合計の8割。@hitoshi というぼくが入り口。お店ではない。ぼくと個人的に親しくなって、お店に来ていただく。豚組アカウントにしても、ホームページにしても、表玄関だとすると、ぼくは勝手口。

坂田:先日のセミナーでは、従来は「来店→常連→VIP」という流れだったが、Twitterを使うと「VIP→来店→常連」という流れになるとおっしゃっていた。これが興味深い。

中村: 話は単純。飲食店業界ではよく「友だちに頼って商売してはダメだ」と言う。鉄則。けれどもぼくがTwitterで やっているのは、友だちに来てもらっている感覚。関係性が、あくまでもお店とお客様ではなく、ぼくと、個人的に親しくなって、来ていただいている感覚。も し友だちがお店に来たら、そういう方を相手にお金儲けをしようとは思わない。できる限りサービスしてあげようと思う。また、お店のスタッフにしても、社長 の友だちが来たら、多少は意識して丁寧に対応する。その感覚。

今までだと、リアルでは、友だちの数は限られていた。また、ぼくのやっているお店と価値観の合う人はさらに限られている。Twitterだと母数が違う。Twitterでぼくをフォローしてくれる人は、なんかぼくのことを面白いと思ってくれているか、共感してくれているか。なんかあるわけ。ぼくの考え方に近い方が多い。ぼくの考えに近いということは、ぼくのやってるお店を気に入ってくれる可能性が高い。

そういう意味 で、友だち的なアプローチ、関係性づくりが、結果的にお店を盛り上げる。その人たちからお金を儲けさせていただかなくても、そういう方がお店にいらっしゃ ると、「豚組なう」とツイートしてくれたり、写真をアップしてくれたり、後からブログに書いてくださる。すると、結果的にお店に新規でいらっしゃる方も増 える。

■表も裏もぜんぶさらけだして遊ぶ

坂田:Twitter経由で質問が来ている。「Twitterでは、パーソナリティを重視しているのですか?」

中村:パーソナリティしかない。Twitterのアカウントは勝手口。玄関は普通きれいにしている。しかし、玄関を見てもあまりおもしろくない。勝手口にまわると、生活の匂いがしたりして、その人のことがよくわかる。勝手口から上がると「お前こんな本読んでるのか?」「お前の部屋汚ったねーなー」などがわかってくる。

表も裏もぜんぶさらけ出すということができていないと、Twitterでおもしろいコミュニケーションはできない。パーソナリティは非常に重要。

たかが140字だけど、ツイートが1万とか積み重なっていくと、人となりが見えてくる。

坂田:下町のスナックの世界。常連さんがいて、だみ声のママさんがいて、非常に生活観のあふれる話が交わされている空間。コミュニティができあがっているお店。それをTwitterを使って実現している?

中村:その感 覚に近い。今、お店とお客様との人間関係は希薄になっている。お金をいただいて、こちらはサービスをして、という表面的な関係に留まっている。昔は、飲食 店って、坂田さんがおっしゃった下町のスナック的な、人と人のきずながあった。今の飲食店からはそれが失われている。それが、Twitterでは、温故知新でもないけれど、復活してきている。ただ、違うのは、場末のスナックは、人間関係が閉じている。けっこう排他的。その常連の輪に入ることが大変。まず入れない。一見で行くと、けっこう居心地が悪くて、さっさと帰っちゃう。Twitterでは、関係性が基本的にオープン。どんどん入ってこれる。そこが違う。人間性が大事だということは、下町のスナックと同じ。Twitterでやると、それが開かれてくる。一見さんでも入ってこれる。

坂田:評判になった「豚組なう」は、中村さんがお客様にやってもらえるようにお願いした?

中村:意図的なものにすると、おもしろくならなかった。ぼくらの「豚組なう」は、遊び半分。今でもそう。Twitter経由でお客様がいらっしゃると、ぼくたちはうれしい。単にフォローしているだけの方が、わざわざ会いに来てくれて、お金も使ってくださる。すごいこと。なので、こちらは、すごくうれしい。

お店の考え方次第だが、そういうTwitter経 由で来店してくださるお客様を特別扱いしない、ということも正しいと思う。けれども、ぼくはうれしいから、なんかサービスしちゃおう、となる。何が悪い の?となる。正々堂々と何か特別な一品をお出しする。その後で、席に伺って、「タイムラインではいつもお世話になっております」とごあいさつする(笑)。

その時に、お客さまの方からお礼を言われる。こちらは照れ隠しで、「豚組なう」とでも書いてツイートしてくださいと言う。何の深い意味もなく。

坂田:キャンペーン的なものだと思っていた。

中村:「豚組なう」をキャンペーン的にやると、まったくTwitterになじまない。

 

後編に続きます。

Hitoshinyattatalk

dimaizum

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プロフィール

今泉 大輔

今泉 大輔

株式会社インフラコモンズ代表取締役。
国内の太陽光、木質バイオ、石炭火力の発電案件。海外の天然ガスに関係した案件の上流部分のアレンジメントを行っている。その他、リサーチ分野として、スマートグリッド、代替的な都市交通、エネルギーの輸出入。電力関連の近著も。

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