経済危機以降、消費がぱっとしない状況が続いているなかで、飲食業でも大変な戦いを強いられていると思います。お客さんが来ない。客単価が下がり続けている。繁閑の差が激しくなった等々。

個人的に気づいたのは、数多くの飲食店さんがプラス2,000円程度で「飲み放題」を付けるようになったこと。飲み放題込みの宴会コースでもうんと安く上げようと思えば、以前では考えられなかった価格帯でできるようになりました。
先日は都心の某ハイグレードビルに入居する飲食店さん(夜の客単価が7,000円~15,000円上のお店)が、連名で作成した歓送迎会パッケージのクーポン冊子を配っていたのに出くわし、ややびっくりしました。以前であればそうしたクーポン冊子には絶対に名前を連ねないようなお店ばかりだったからです。

そういう中でTwitterの活用を始めた飲食店さんはなかなか元気です。
もっとも有名な事例は「豚組」(六本木店が毎日通っているミッドタウンのすぐそばにあるということに最近気が付きました。近々訪問予定)。
2009年10月刊行のコグレマサト+いしたにまさき著「ツイッター 140文字が世界を変える」で取り上げられているので、お読みになった方も多いかと思います。さわりを引用してみましょう。

 西麻布・六本木を中心に複数の豚肉料理店を構える「豚組」を経営する中村仁さんは、次のようにツイッター・ユーザーの特徴を指摘しています。
 「僕は、現時点でツイッター経由で獲得した顧客のすごいところは、『量』ではなく『質』にあると思っています」
 ツイッター経由で新しいメニューのヒントを得たり、改善点を指摘してもらったり、お店を育てていただいていると感じているそうです。さらに単なる「常連」というレベルを超えて「お店の応援団」的な人が多く、7割を超えていると推測されるリピーター率が高いのも特徴としています。
 中略
 「確かに、お店の中の人と直接気楽にコミュニケーションを取れる手段って、今まで全くなかったんですよね。電話どころか、メールでも心理的なハードルはかなり高いですし、SNSなどのオフィシャル掲示板でも、書き込むのは結構勇気のいる話です」
 「ですが、なぜかツイッターなら、それをヒョイっと超えることができる。これが、ツイッターのプロモーション・ツールとしてのすごさであり、結果としてこのようなさまざまなメリットをもたらしてくれている理由なのだと思っています」
 中略
 中村さんも決して常にPCの前にいるわけではなく、店舗を飛び回る毎日を送られています。そんな中、時間を見つけてはアイフォーンを使ってツイッターに現れ、つぶやきを続けています。
 ちなみに、ブログもSNSも長続きしなかった中村さんは、既に1年以上継続しているツイッターのことを「自分にとってはまさに奇跡のメディア」と、ある日のつぶやきで評しています。

この引用部分で飲食店のTwitter活用のキモが言い表されてますね。

  • Twitter経由で来店した顧客のリピート率は高い
  • 常連というレベルを超えてお店の応援団になってくれる
  • 顧客から気軽に声をかけてもらえる
  • 常にTwitterにへばりついている必要はなく、空き時間にモバイル端末からつぶやけばよい
  • ブログよりも負荷が軽く継続しやすい

これだけメリットがあってもコストはタダですから、Twitterを利用しない手はありません。そこに気づいた飲食店さんが続々と利用を始めています。
先日は、東京大井町のすし処さいしょがフォロワー数に応じたTwitter割引を行って大いに話題になりました。自分にフォロワーが1,000人いれば1,000円引き。10,000人いれば10,000円引きというTwitter割引です。

品川経済新聞:大井町のすし店が「ツイッター割引」-「ダダ漏れ女子」の中継も

この日、訪れたツイッターユーザー数は35人。フォロワー数が11万人を越える強者もいたが、すべて無料になったのは2人のみだった。平日の約4倍の利用客が入り、利益は「トントンくらい。若干のプラス」(税所さん)という結果に。

 

URAMAYU-裏まゆ:Twitter 1フォロワーにつき1円割引!すし処さいしょにお寿司食べに行ってきました

「Twitterですよね?」という会話からはじまり、並んでいるもの同士名刺交換したり、1円でも安くお寿司を食べるために Twitterをフォローしあったりするという、普通の飲食店では到底ありえない状況になりつつ、待ってる間も苦にならず、今か今かと順番を待ちます。
 中略
最終的にTwitter割引で来店した人は35人、人数でいうと7年間で歴代最高だそうです。

改めて引用部分を選んでいても非常に興味深い。うーむ、という感じです。ものすごいメディアですね、Twitterは!
私も実は第二回目が行われた3月1日月曜日に行ってみました。実にうまかった!(その証拠写真が下に)フォロワー1,500人分1,500円を負けてもらいました。カウンターのお寿司屋さんは最近あまり行く機会に恵まれませんが、最高のお店だと思います。某インフォテリアの社長の方も激賞しておられました。ほんとその通り。
結局、知る人ぞ知る名店だったすし処さいしょがこの一工夫だけで全国的に有名になった訳です。また実際に行った人がファンになって帰って行くという現象が多数見られています。例えばここで百式の田口さんが書いておられます

Twitter割引だけに関して言えば、一過性のものと見ることもできるし、大多数の店舗が実施し始めた時には効果がなくなるという推測も成り立つでしょう。しかし、飲食店におけるTwitter活用はTwitter割引に限らない訳で、ある時、「あ!」と思い付いたプロモーションをぺぺっとTwitterに流し、それがぶあーっとRTされて、見た人が大挙して店になだれ込んでくる…ということが大いにあり得ます。

また、短期的に来客を見込むプロモーションではなく、中長期にわたってじわじわと新規顧客の来訪を促し、そのうちの何割かを固定客化していくという方法論もあるでしょう。最近の弊ブログで言及しているパーソナルブランディングエンゲージメントの考え方を使って、そのお店のファンのコミュニティを作っていくことができると思います。

また、実際に色んなプロモーションを試しながらわかってきた高度なノウハウの共有も始まっています。上述の豚組オーナー中村仁氏によるセミナーの採録が下にあります。

NETAFULL:「豚組」が培ったツイッターの飲食店向けノウハウを@hitoshiが惜しげもなく公開してた!

中のスライドを見ると非常に深い知見が散りばめられています。

弊社ピーポーズとしては、ユニークな方の「売りをお手伝いする」スタンスから、飲食店経営者の方々のTwitter活用を何らかの形で支援して行きたいと思っております。
自分のTwitterアカウントのページに飲食店さんのアカウントを集めたリストを作りました。飲食店関係者の方々のツイートはノリがすごくよくて、非常に楽しいタイムラインになっています。

Saisho01

Saisho02

Saisho03

dimaizum

Special

- PR -
コメント

コメントを投稿する
メールアドレス(必須):
URL:
コメント:
トラックバック

http://app.blogs.itmedia.co.jp/t/trackback/77444/23521749

トラックバック・ポリシー

  • Twitterの活用は、まだ質の獲得の段階であり、広くマスまでには及んでいない。(MRI.Inc)
    Twitter国内利用率は8%とあるように、まだまだ新しい物好きの少数派層での利用に留まっている。単純な話、今ならばまだ「Twitterをしている」といえば、新しいとか、早いとか、先端的と世間一般的には思ってもらえるわけだ。だからTwitter でのコミュニケーションは繋がったもの同士の特別感のようなものがあるわけだ。 フォロワー同士、さらにその先のフォロワー同士でも同じ特別感があるので、情報の拡大速度が早く精度も保たれるわけだ。そしてフォロワーを数多くもつユーザーの情報発信力と誘導力は大きい。この...

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

今泉 大輔

今泉 大輔

インフラ投資ジャーナリスト。インフラビジネスリサーチャー。
銀行系シンクタンク、外資系コンサルティングファームからのリサーチ受託を経て、米最大手ネットワーク機器会社に7年間あまりリサーチャーとして勤務。金融、製造業、電力業などを担当。現在はインフラ関連のリサーチサービスを運営。

詳しいプロフィール

カレンダー
2012年1月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 富士通元社長の山本卓眞氏が残した次代へのメッセージ
富士通の社長、会長を務めた山本卓眞氏が亡くなった。哀悼の意を込めて、日本のIT産業界の大御所が残した次代へのメッセージを紹介しておきたい。(2/6)

news094.gif Facebook就活はもう古い?
約260人のブロガーが、ITにまつわる時事情報などを日々発信しているビジネス・ブログメディア「ITmedia オルタナティブ・ブログ」。その中から今回は「就活」「都心の雪」「ソーシャルメディア」などを紹介しよう。(2/4)

news094.gif 東北をコットンの生産地としてブランディングしたい──リー・ジャパン・細川取締役
塩害に強い綿の生産で東北に新たな産業を作りたい。オーガニックコットンの採用など、環境負荷を下げるジーンズ生産に取り組んできたリー・ジャパンの新たなチャレンジとは──。(1/30)

news094.gif 東北から始まるイノベーション
企業のICTを活用と若手IT技術者による東北発のイノベーションが、中長期的な震災復興の鍵となる。(1/27)

news094.gif 貧困国の雇用を創出する印刷屋、丸吉日新堂印刷の挑戦
全国から約2万7000件の名刺制作を受注をする札幌の小さな印刷会社の成功の秘密は、地道な社会貢献にあった。(1/16)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。

Special

- PR -

サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ