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前回、「日本企業の軸足は共同体集団が自然!」と題して、会社全体として共同体マネジメントを行い、方や部署ごとやビジネスユニットの組織単位では目的志向の合理性追求の機能集団マネジメントの「二刀流」運営がいいのではという話をした。

では軸足となる共同体マネジメントのない組織は最悪どうなるのだろうか?ということに、今回触れたい。もちろん最悪であって、最悪の組織や企業が死屍累々と山手線の窓から見えるわけではない。そんな組織や企業になりたくないなと思って読んでいただきたい。

昨今の機能集団マネジメント志向

日本育ちの企業は無意識的に共同体的マネジメントをしていると言って間違いない。1970年代から80年代にかけて日本型マネジメントトして一世を風靡し、アメリカ企業が日本型マネジメントの研究にいそしんだ時代があった。これはアメリカ企業が日本企業の競争力の強さの秘訣をそのマネジメントにあるとして日本の産業界にそのスタイルを知らしめてくれたという逆輸入効果もあった。何も日本人は意識的に日本型マネジメントを企図し産学あげて研究し導入したものではなかった。そのためか、ビジネススピードがネットワーク時代を迎えて、変化への対応速度がビジネスの本質となってからは、長所が欠点となってしまった感がある。いまや欠点と言われるようになったのは、コンセンサスによる意志決定マネジメント、終身雇用、長期戦略とか言われ、理想形はあうんの呼吸だなどと言われるものである。濃密な人間関係が重荷になって特に若い人たちから敬遠され、さらには女性機会均等法にあるように、男性だけのマネジメントになりがちがなどと言われてきた。

そこで、男も女もない能力主義で成果主義型人事制度が1990年代後半から導入されてきた。

当然のことながら終身雇用的慣行、つまり年功序列賃金制度は否定され、もしくは是正され、個人の自律とか個の確立だと叫ばれるようになった。

似非個人主義の出現

 そして、成果主義人事制度の下、個人個人が上司と相談しながら自己申告により目標を掲げ、どれだけ達成したかで評価されることになった。かく言う私自身も年に2回面接で自己主張し、一方部下を面接指導し年棒査定をしていた。

しかし、純粋に個人に帰せられる業績がどれほどあるのだろうか?特にオフィスワーカーのスタッフの仕事やアウトソーシングされた機能をマネジメントするミッションに果たすべき責任はどれほどあるのだろうか?個人としてどれだけ任されているのか?それを実現するために、いかほどの権限が付与・委譲されているのか?

あまりにも、達成できなかったときの逃げ道がたくさん用意されすぎていないだろうか?

はたまた、他人のことをどれだけ正確に評価できるのか?

自分自身を最も正確に評価できるのは、自分自身しかいないと思ったし、部下にも君の自己評価が一番大切だと、それを強く求めた。

ここで真剣勝負しないと、とどのつまり取りまとめのうまいやつが「僕がやりました」と言って自分の手柄にすることができる。実は何もしていないのにである。こういう輩が、部長や課長から重宝がられるのはよく見かける光景だった。

こんなことが何年も続けば、最悪、組織の縁の下メンバーたちが貧乏くじを引いてると感じ、正しい評価とは縁遠い不誠実な評価制度の下、組織が崩壊していく。

こんな状況となって、社員の声を汲もう「社員ブログ」や「社内SNS」でガス抜きしようとしても永遠に抜き終わらない。ガスの発生を根本的に止めることが先決である。

日本型組織のアノミーという病

 アノミーとは組織や社会において無規範または規範が崩壊した状態をいう。組織や集団に共通する価値観が希薄となって、個人個人が別々のような状態では、自分がどう評価されているのか、まったくもって見えなくなる。つまり、大方の人間が「仕事のやりがい」「働きがい」を感じられなくなってしまう。自分の存在をどう位置づけていったらいいのか、途方に暮れていると言ったらいいだろうか。

これからの話は実話である。僕自身が社内報ブログの構築を支援した、さる企業の事業本部の女性係長が社内報ブログで呼びかけていたのだが、それは「誉めあう文化」の実践普及だった。誉める効用が縷々紹介されていたと聞く。内容は実にもっとも至極であろう。

その女性担当者の物事を見る目は曇りなく、しかも問題意識の高い、好人物だった。もうすでに、管理職に登用されて活躍しているハズである。

しかし、この社内報における話題は一回限りのトピックスで終わった。

何故だろうか?

それは、読み手側に自分たちの組織やメンバーに対する「現状認識」がその時点でなかったからに違いない。

他人を誉めることが必要な組織とは、実は自分たちのアイデアや努力や商談などのアウトプットを正当に評価できないでいるということに他ならない。従って、誉めるべき「人物」も見い出すことができないでいる。例え、眼の前にいたとしても。

自分たちの自己分析がされていない状態で、行動を変えましょうと言っても、人はそれを受け入れることはしないし、できない。

このような「共感」のできない組織状態を、「アノミー」と呼びたい。

 どんな会社がこのような事態に陥るのかというと、規模には関係なく業績低迷時期に起こる可能性が高い。逆にいえば、事業成長や拡大というのが共通規範の代わりとなって七難を隠してくれるので、ライフサイクルでいう導入期や成長期には見られない。

 アノミーがどんなものか理解したところで、そんな事態に陥らないようにするには、何をどのようにしたらいいのだろうか。現実には、これを読む読者のみなさんはなにがしかの組織や集団に身を置く方が多いだろう。大きな組織でも、小さな組織でも、「組織の体を為してない!」と感じたら、何をおいても、組織や企業の現実にあった共有規範を補強・再構築することが最優先事項のはずだ。

 次回は、「組織の普遍的規範構築という新しいマネジメント機能」についてお話したい。

Patina

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