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マイクロソフト Surface タブレット、Windows RT 版は199ドル・10月26日発売?

Surfaceを199ドルで発売と噂が流れています。199ドルで発売されたらどうなるのでしょうか?

199ドルはマジックナンバーだと思います。Appleが昔iPodを199ドルで発売で非常に多く販売できたこともありました。現在iPod touchの一番安いモデルを199ドルで発売して売上を向上させています。

AmazonはKindle Fireを、GoogleはNexus 7を199ドルで販売しています。両者ともスタート時は好調でした。

高機能ガジェットとしては199ドルはひつとの目安です。Surfaceが199ドルで販売できれば相当な出荷数を見込めるでしょう。

ただ、どの程度赤字になるのでしょうか。

例えば、"新iPad初回製造原価はiPad2より9%割高~RetinaディスプレイはSamsung製"ではiPad 3rd genのWi-Fi版では16GBが販売価格499ドル/原価306.05ドルだそうです。

他にも"Amazonの「Kindle Fire」、推定製造原価は209.63ドル"(この後少し落ちる)や、"Googleの「Nexus 7」、原価は「Kindle Fire」より高く8Gバイトでは利益なし"で7インチデバイスとしては199ドルは製造コストこそ赤字ではなりませんが収益はほとんど見込めません。

Surfaceは10インチクラスの液晶を持ち、ストレージも32GB以上持ちます。このため、Nexus 7よりも高額になるでしょうし、iPad 3rd genの例からも製造コストで199ドルを超えると思われます。

このため、199ドルでSurfaceは赤字を垂れ流すことになるでしょう。

ですが、Microsoftは体力はありますし、Windows 8以降のオンラインストアを持つことでハードの赤字を回収できる可能性があります(ゲームコンソールと同じビジネスモデル)。

Windows PhoneでNokiaが50ドルと言うコストをほとんど回収出来ないような低価格にできるのもMicrosoftがバックにいるからです。同様なことをSurfaceでも行って市場を盛り上げたいのでしょう。

ですが、Surface自体はいいのですが、他のWindows RTメーカは199ドルでは困ります。

"「Surface発売は考え直して」 “共生関係”に懸念のAcer会長、MSに要請l"と味方であるハードメーカも困惑しています。199ドルで発売されればハードメーカのWindows RTはほぼ売れないことを意味しています。また、"東芝、Windows RT端末開発を中止"と部品調達(TIのOMAP 5かな?)の遅れからスタート時は販売しないようです。これは部品調達だけではないのではないかと思えてなりません。

ハードメーカもラインナップ的には揃えるけど、Surfaceが199ドルで販売されればスタート時からレッドオーシャンかよと考えていることでしょう。

Windowsが成功した理由は採用メーカが多いことによる数で押し切るビジネスもでるでした。Windows RTは過去のソフト資産がない状態からスタートするため、スタートダッシュが必須です。ですが、Surface一択ではどの程度数が出るでしょうか。

私は、Windows RTは成功すると考えていますし、PCの次はWindow RTかAndroidだと考えています(iOSは...)。なぜならば、ほとんどのユーザは非常に少ないキー入力しかせず、メインはコンテンツビューアーだからです。PCは企業と一部のユーザ(それでも年間4億台前後は維持されると思う)のガジェットになると思うのです。

このため、Surfaceは重要な製品です。199ドルで市場を揺さぶるのはMicrosoftの戦略としては正しいと思います。"追いかけるもの"がどうして大きな賭けをしないでいられるでしょうか。大きな賭けをしなければ、"追いかけるもの"にさえなれないのですから。

とは言え、協力的なハードメーカもいることですし、Nokiaの様にサポートするという感じなのでしょうかね。けどそれだとWindows OSの今までのルールが壊れますし、Microsoftとしては苦しい選択に見えます。

ですが、やっぱりiPadやAndroidを追うため好スタートを切る必要があるため、Surfaceは199ドルで販売しないといけないと思います。ハードメーカを気にしてはいてはAppleを追いかけることはもう不可能なのですから。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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