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"MSの未来がかかる「Windows 8」 元幹部のレイ・オジー氏「PCの時代は終わった」"でGartnerのデータをまとめた数字が出ています。PC、スマートフォン、タブレットのそれぞれの年間出荷台数とシェアが記載したデータが出ています。その数字だけ見てもスマートフォンがPCよりも多いのねっとしか分かりません。

そこで、各プラットフォーム毎の出荷台数を計算してみました。プラットフォームとは、Windows系、Android系、Mac+iOSです。もっと簡単に言えば、Microsoft、Google、Appleの競争を出荷台数と言う分かりやすい指標で比較してみました。数字は億台です。

Year Windows Android Mac+iOS
2010 3.43 0.70 0.75
2011 3.45 2.07 1.52
2012 4.13 3.40 2.11
2013 5.26 4.77 2.70

この数字を見るとやっぱりスマートフォンでどれだけシェアをとってもWindows強いなと。Androidは出荷台数の指標では逆転は難しいのかと思わなくもありません。

ですが、上記のGartnerの数字に4つ疑問があります。

1つ目は、PCのWindowsのシェアです。

PCに関しては2012年のWindowsシェアは94%とあります。この数字は少し高いのではないかと思っています。Macの2011年出荷台数は前年比23%増で1,780万台でした。2012年はどの程度かは難しいですが、同じ程度伸びだとすると2,200万台となります。

Gartnerは2012年のPC出荷台数予測を発表しています。3.68億台です(最新予測は少なくなっている)。このため、Macのシェアは6.0%となります。資料では4.6%でした。シェアは全てWindows側から引いたとすると92.6%と低下します(Linuxからシェアを奪うとも考えられなくもないですが)。

このため2012年のWindosのPCの出荷台数は3.41億台程度かと思われます。

2つ目がスマートフォンの出荷台数です。

2011年のスマートフォン出荷台数は4.72億台でした。使われている数値は4.61億台でしたので、少ない数値が使われています。この影響は2012年にもあります。

ここでスマートフォン出荷台数を予想してみます。スマートフォンの年間出荷台数比は、2010/2009で72%増、2011/2010で59%増です。同じペースで成長率が鈍化すると2012/2011で46%増となります。この数字を使うと2012年の出荷台数は6.89億台となります。ちょっと大目かなと思いますが、この数字を使用します。

3つ目がWindows Phoneのシェアです。

資料では2012年のシェアは9.6%とあります。2011年の年間シェアで2.1%、4Q'11で1.85%、1%台のシェアを3四半期も続いていて2012年に9.6%まで到達するでしょうか?とてもそうは思えません。

"ノキアのWindows Phone端末、米アナリストが販売台数予測を引き下げ"を読む限りは苦戦しているようです。

"ノキアのWindows Phone端末、今年の販売台数は3700万台にも(米投資銀行予想)"に2012年には0.43億台と予想されています。この数字をシェアに変換すると6.2%です。9.6%よりも妥当な数字に見えますので、こちらの数字を採用します(それでも私は大きい数字だと考えています)。

4つ目がスマートフォンのAndroidのシェアです。

Androidのシェアは2011年で46.4%でした。使用されている数字は42.4%のため予想よりも現実は多くなっています。予想の数字は2012年のAndroidのシェアは49.1%とありますが、もっと上でしょう。先ほどのWindows Phoneが9.6%→6.2%に減らしましたので、その分をAndroidの予想値に全て流れたとします(52.5%)。

またSymbianは2011年に18.7%でしたが、予測値は20.8%でした。予想よりも早く低下しています。Symbianは1四半期に5%前後低下しています。4Q'11で11.7%でしたので、2Q'12で1%近くまで落ちる計算になります。1%に落ちた後はそのまま推移するとします。四半期毎の出荷台数比から2012年にはSymbianのシェアは3%まで落ちると思われます。

2012年のSymbianの予想値は6.4%です。差分は全てAndroidに流れたとします。これで55.9%です(ちょっとAndroidに上乗せしすぎたかな?)。

4つの疑問で数字を変更した結果2012年のAndroidとWindows(Windows PhoneとWindows 8 on ARMとかも含む)の各プラットフォームの出荷台数は以下になります。数字は億台です。

プラットフォーム Total Windows Android
PC 3.68 3.41
(92.6%)
0
(0.0%)
スマートフォン 6.89 0.43
(6.2%)
3.85
(55.9%)
タブレット 1.03 0.04
(4.2%)
0.23
(22.1%)
合計 3.88 4.08

若干、スマートフォンのAndroidを贔屓にしすぎている感じもしなくもありませんが、AndroidがWindowsプラットフォームの数では2012年に逆転する目もあると思われます。

またタブレットに関してはWindows 8 on ARMは年内に発売されるようですが、現時点ではTIのOMAPを搭載した製品の開発版が出てこないことを考えると2012年にはロケットスタートするほど揃わない可能性があります。このため、Windowsのタブレットは下降修正がある可能性があります。

細かい数値としては、AndroidはThinkPad X1 Hybridの様な製品もあるため、もう少し上乗せされると思いますし、現在のMacはWindowsも搭載できるためMac分を減らす必要性は無いとも言えなくもありません。このあたりは誤差の範囲内とします。

もし、AndroidがWindows系端末の出荷台数を逆転すればかなり大きなニュースではないかと思いますが、数値ほど影響度は大きく無い可能性があります。

"「Androidはもうからない」――人気ゲームメーカーが開発終了を発表"にもあるとおりプラットフォームの魅力は出荷台数だけではありません(以前に"Androidはモバイルゲームコンソールとして成功するのか"と書いたのに...外れたかも)。

収益の観点ではプラットフォーム数に比例しない事例が増えてきています。iOSアプリの方が収益が高い報告もいくつかされています。Androidが数が多くても効率が悪いままではアプリの充実度が低下して、プラットフォームの魅力が減る可能性があります。

いくつかの数値に関しては贔屓しすぎている箇所もなくもありません。タブレットに関してはあまり取り上げていませんが、AmazonやAppleの2012年のラインナップ次第ではもっと大きく動く可能性があります。

出荷台数と言う見えやすい数字に関しては、2012年に大きなターニングポイントを向かえる可能性があると考えていますが、それがどの程度それぞれのエコシステムに影響を与えるのかちょっと分かりません。この結果は2013年3月頃にはわかるのではないかと思います。

そういえば、2012年でPC対スマートフォン・タブレットの出荷台数はダブルスコアになる可能性もあるんですね。そっちの方がより重要なことかも知れません。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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