« 2011年12月14日

2013年4月14日の投稿

「TechOps(テックオプス)」という言葉を知っていますか?

おそらく、耳馴染みがない言葉じゃないかと思います。開発と運用の融合を目指したDevOps(デブオプス)なら知っている、という人はいるでしょう。

(参考:エンタープライズの世界にも「DevOps」は浸透するのか)
「DevOpsは、開発と運用を密に連携させるための手法や概念などを総称したもの。例えば、ソフトウェアの新機能や改修などの開発からリリースまでの期間を大幅に短縮し、サイクルを早く回すことで、ソフトウェア品質を向上させる、あるいは、エンドユーザーに対するサービスを強化するといった効果が挙げられる。」
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1304/11/news012.html

TechOpsとはTechnical Operationsを省略した用語であり、日本語で表現するなら、技術運用と表現できるでしょう。これはIT部門の主要業務であって、ユーザーの依頼を受けて、システムリソースの割り当て変更や業務サポート、加えて業務システム自体の維持管理を含みます。ITILでいうなら、Service Operation(サービスオペレーション)中に行うアプリ・インフラ管理に係るプロセス群のあたりの話です。

TechOpsがうまくできていない組織は、トラブル発生時の損失が大きくなります。たとえば、ブラックベリーで有名なRIM社(現ブラックベリー社)は2011年10月にコアスイッチ障害によって世界中のユーザのメッセージングサービスが数日間使えなくなりました。その数週間後、バンクオブアメリカのウェブサイトは、世界的なDDoS攻撃を受けて全面ダウンしました。

一般論として、業種・業界に依らず、多くの組織でイベント管理と問題管理に改善の余地があります。特段の管理ルールも定められず、アドホックで属人的な対応に留まっているところが多数を占めているのが現状であり、昨今のITのトレンドを踏まえると、以下に挙げる観点は特に気を付けなければなりません。

  1. 仮想化拡大(Virtualization Expansion)
    ・仮想化の乱用による仮想サーバの無秩序な増大
    ・ライセンスやコンプライアンスへの注意不足によるトラブル
  2. パッチ管理(Patch Management)
    ・ネットワーク環境の複雑性増大によってHW、OS、アプリに対するパッチ適用頻度も増大
  3. クラウドコンピューティング(Cloud Computing)
    ・情報セキュリティとコンプライアンスへの取り組み
    ・キャパシティとエンドユーザーにフォーカスしたイベント管理に対する新しい取り組み
    ・リソース使用率の監視と課金ルールの構築
  4. データセンター内の密度(Datacenter Density)
    ・IT担当者とファシリティ担当者の十分ではないやりとり
    ・電力消費の増大と発熱量管理に係る手間の増大
    ・CPU利用増にともなうキャパシティ管理の重要性増大
  5. ビッグデータ
    ・IT環境の拡散によるデバイスや構成アイテム増加に対する効果的な管理
    ・業務側の要求に見合ったサポートを実現するインフラの構築
  6. パターン&アナリティクス
    ・アクション可能な情報やパターンを運用データから抽出・特定を行える分析が必要
    ・セルフラーニングのサポート、入手可能な情報の拡大のためにビッグデータの概念が必要
  7. IT要員体系の構築
    ・これまでの役割や運用スキルに置き換わるコモディティ化したITサービスが増加中
    ・TechOps、トレーニング/リクルーティングリソースのための新しいスキルセット定義

こういった重要点に対する有効手法は、端的に述べるなら、「ITシステムが抱えるデータの爆発的な増大に対して、IT組織が比例した形で工数・費用増大を招かないよう、運用保守業務の品質と効率を高めるプロセスやツールの導入に向けて考えなければいけないこと」という話です。今後のIT運用管理、保守管理において、以下に挙げる6点への取り組みを具体化することで、現在のIT運用保守のレベルが自然低下していくことを防ぐものになります。

  • DevOps
    →DevOps(デブオプス)は、開発組織と運用組織の間におけるコミュニケーション・コラボレーション・インテグレーションの規則・方法論・実践法のこと。
    →DevOpsは、減少するスコープ変更、増大する調整と自動化を通して、無駄が少なく責任感の強いチームを育てる。
  • IT Automation
    →自動化は、仮想化・クラウド環境の管理方法を変え、複雑な業務要求をサポートできる。
    →自動化は、データ統合とビッグデータ管理における重要な役割を果たす。
  • Capacity Optimization
    →キャパシティ最適化はROIとサービス品質の改善に向けた余地を識別する。
    →不必要なサービス、保守切れサーバ、SWの旧ライセンス、ストレージ不足の解消によるコスト抑制。
  • Monitoring Solutions
    →モニタリング アズ ア サービスとしてリモート監視を提供し、現地付帯業務としての監視を不要とする。
    →モニタリングサービスを提供するベンダーには社内の様々なコンポーネントにアクセスさせることもできるため、注意深くベンダーを選定する必要がある。
  • Predictive Analytics
    →データを統計的に分析し、将来のトレンド予測と傾向対策を行う。
    →大規模データ活用はモニタリングツールの今後に関する重要要素になる。
  • Vendor Optimization
    →サービスおよび提供ベンダーにおける統合によって、コスト抑制・ビジネスアジリティ向上、サービス品質の改善を促す。
    →複雑性と重要性に基づくサービスとアプリケーションの分類整理は、サービス要件の適切な定義を実現する。

文章で表現するとさらっと述べることができますが、これを具体的にどうやって取り組んでいけばいいのか、イメージすることは簡単ではありません。そこで、このエントリーでは、そのヒントとなるTechOpsを構成する技術要素ぐらいまでは触れておきます。(1)ITサービスを調達すること、(2)ITサービスの品質を保証すること、(3)ITサービスを運用すること、という3つの領域に分類した上で個々の施策に取り組むことになります。

●サービスフルフィルメント(Service Fulfillment)
・コネクティビティ・サービス(Connectivity Services)
・プロビジョニング(Provisioning)

▲サービスアシュアランス Service Assurance
・機器管理(Element Management)
・性能・可用性管理(Performance and Availability Mgmt)

■ITオペレーション IT Operations
・システム管理サービス(System Management Services)
・ストレージ管理サービス(Storage Management Services)
・アプリ技術サービス(Application Technical Services)
・バッチスケジュール管理(Batch Scheduling & Management)
・災害復旧(Disaster Recovery)
・ホストベース侵入検知・保護(Host based Intrusion Detection & Prevention)
・設備運用(Facilities Operations)

●&▲:
・クラウド管理(Cloud Management)

全共通:

・サービス導入(Service Introduction)
・自動化管理(Automation Management)
・ガバナンス(Governance)

それぞれを具体化するためのベンダー製品の組み合わせについては、まず自分がWeb上で情報を集めるところから始めてみることをお勧めします。人から与えられたものをそのまま鵜呑みするのではなく、情報を集める過程で、自組織の問題点・解決を急がなくても構わない点が見えてくるようになります。こういった領域はやりはじめると際限がありません。ベンダーやコンサルの活用範囲が最適になるよう、まずは自分自身が解決の方向性をイメージできるようになってから、外部にソリューションを求めるようにしましょう。

NAKA

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中 寛之

中 寛之

アクセンチュアに勤務。
ITIL Managerとして、システムインフラのコンサルティングを中心に、業務領域まで幅広く担当しています。

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