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事実上の一騎打ちとして日本中の注目を集めていた大阪市長選挙は、橋下徹氏が平松邦夫氏を下して幕を閉じました。投票率は60.92%で前回2007年の43.61%を17.31%上回ったということです。

両者の政策の違いは選挙ジャパンのサイトが端的にまとめていて詳しいです。

http://www.senkyojapan.net/sp_oosaka/hikakuhyou/

<一部引用>
【大阪都構想】
(橋下氏の考え)
大阪府・大阪市を廃止し「大阪都」を設置。大阪市などを「特別区」にして、財源を大阪都に委譲することで二重行政の解消を目指す

(平松氏の考え)
「大阪市・市民をバラバラにさせない」と反発。「特別自治市」構想を念頭に、府と政令市の広域連合で二重行政の解消を目指す

【公務員改革制度】
(橋下氏の考え)
区長公選や職員基本条例など、新たな制度作りを主張

(平松氏の考え)
区長準公選や職員倫理条例など、現行制度内で対応

【教育行政】
(橋下氏の考え)
ブロックごとに8〜9の教育委員会の分室を設置。学校選択制を導入

(平松氏の考え)
学校を地域の拠点とし、社会が子供を育てるとして、教育基本法案に反対

【エネルギー政策】
(橋下氏の考え)
市は関電の筆頭株主。権限を利用して「脱原発」を提案

(平松氏の考え)
「筆頭株主として多くの株主の利益を考えなければならない」と株主権の行使には否定的


主張が異なるものを中心にピックアップしましたが、他にも様々な点で、橋下氏は急進的/平松氏は漸進的なスタイルを貫いています。まさに、革新対保守の対決だったということです。

話は変わりますが、私が今回の大阪市長選挙で気になったのは投票率です。60%を超える投票率は40年ぶりの高水準であることはマスコミ各紙が報道していますが、最高値は1951年に記録した73%です。60年近く前の当時と投票率を比較することはナンセンスかもしれませんが、それにしても歴史的な選挙と考えられる今回の市長選で投票を行わない有権者が4割もいたということを、どのように捉えるべきでしょうか。

簡単に調べて見たところ、「#1 自分の意志で投票をしなかった人」、「#2 自身の都合で投票ができなかった人」、「#3 投票したかったけど、やり方がよく分からなかった人」の3種類に大別できるようです。

1つめについては情けない限りであり、特に今回のような現状維持派と改革派の戦いで自分の意思表明することをしなかった人は、今後の国政を争う選挙にも傍観を決め込む人が多いのではないかと危惧します。立候補者が全員気に食わないのなら、無記名投票をすることで意思表示をすべきでしょう。そうやって投票率を高めていき、できるだけ多くの人々が政治に参加している環境を作り上げることが望ましいのではないかと思う次第です。

2つめについては、期日前投票の仕組みをうまく活用することで対応できれば良いのですが、土日勤務や月単位の出張などで選挙の参加に個人的な無理を強いられるのであれば、その理由を個人単位で集計できるシステムを選挙を管轄する国の機関が一括して構築し、効果的な改善策を模索すべきと思います。有権者が政治に参加しやすい環境を構築することは、国の責務なのではないでしょうか。

3つめについては、実は私は今までその存在を知りませんでした。しかし、Web上で意見を拾っていくと、その数は無視出来るほど少なくないのではないかと感じています。たとえば、

・投票ハガキが現住所ではなく本籍地に送られており、選挙期日を迎えていた
・そもそも選挙の仕組みを理解しておらず、参加方法がよく分からない

前者は選挙システムの改善、後者は選挙参加方法を義務教育から教えていくカリキュラムを用意することで解消を狙ってはどうかと思います。


最後に、平成20年に埼玉県朝霞市の選挙管理委員会が行った「投票行動意識調査」を紹介しておきます。この報告書は、投票に関心のない理由を有権者からヒアリングした結果がまとめられています。

選挙に関する有権者の意見も200項目以上挙げられており、選挙自体への興味/投票システム/自治体の姿勢/管理委員会の姿勢/選挙教育の必要性/インセンティブやペナルティなどなど、こんな意見もあるのかというものも含まれており、興味深いです。

http://www.city.asaka.saitama.jp/guide/cityorg/senkyo/pdf/touhyoukoudou.pdf

NAKA

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