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東京電力の計画停電が発表されてから一夜明けました。突然の計画停電(輪番停電)のスケジュール発表により、国民生活だけでなく、産業界も大きな衝撃を受けており、いまだ状況は流動的です。

(参考:計画停止に関するエントリー)
http://blogs.itmedia.co.jp/infra/2011/03/314-a69f.html

鉄道を始めとする交通インフラは各所でニュースになっていることもあり、比較的情報を得やすいのです。しかし、意外な盲点となるのが、ITを利用した各種サービスの停止。特に、産業界を下支えする基幹系システムについては、その継続的な稼働に大問題が生じています。

東京電力によれば、東京電力管内の5つのグループとも3時間、長い地域では6時間の計画停電が本日14日に実施されます。一応、データセンターが集中している臨海地区や23区のバイタルエリアは対象除外になっていますが、それでもこの計画停電地域には企業のデータセンターが多数含まれます。

通常、データセンターには自家発電用の設備(無停電装置ではなく発電エンジン)があり、これを稼働させることで長時間の停電下でも電力をサーバに供給し、ITサービスが継続提供されます。エンジンを稼働させるためにはジェット燃料や重油を用いることが多く、この燃料を確保できることが大前提となるため、データセンターは石油販売元業者と優先供給契約を結び、非常時には十分な燃料を確保してもらうのです。

しかし、今回の東日本大震災(東日本大地震)では、あまりにも大規模な電力供給不足が生じ、石油備蓄基地も大炎上によって重油・ガソリン供給の首都圏供給が少なくなっていることから、データセンターが重油を確保できないという事態に直面しつつあります。

現在の備蓄燃料でどれだけの連続稼働ができるかはデータセンターによってまちまちでしょうが、私の過去の肌感覚では、多くのデータセンターが24時間~48時間程度しか確保できていないはず。1日3時間停止が8日~16日続き、かつその間で燃料確保ができないという状況になると、データセンター業務自体も日々の計画停止が必須になることでしょう。

このような事態を想定したBCP(業務継続計画)を立案している企業はほとんどないはず。多くの企業では週末から、今回向けの超大規模災害対策計画を検討しているものと推察します。

外部向けデータセンター(IDC)のサービス提供状況は、まだ公式声明が発表されているところは多くありません。この一両日中は彼らの動向を見逃さず、自社へのサービスインパクトの影響分析を怠らないようにしましょう。

NAKA

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中 寛之

中 寛之

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