« 2009年12月6日

2009年12月9日の投稿

2010年1月19日 »

みなさんは覚えていますか? 2009年10月、ネット上を騒がせたイトーヨーカドー・ネット通販の価格誤記事件を。

飲料や食品の一部で、箱単位の商品なのに誤って1個当たりの金額で購入できるような状態が4時間以上も続いていたがため、大量の注文が発生してしまったのですが、これに対してイトーヨーカドーは錯誤による無効を主張することなく、なんと全ての注文に対応したため、総額数千万円以上の損失を被ったと言われています。

これが原因なのかは分かりませんが、上記のネット通販はリニューアルされることになり、12月8日にセブンネットショッピングとして新装開店しました。

http://www.7netshopping.jp/all/

しかし、歴史は繰り返します。

またもや商品価格の誤記、しかも今回は食品以外も含む大量の誤記が発生してしまいました。このため、単純計算した被害総額は前回を大幅に上回ることになりそうです。

例えば・・・

・オリオンビール小瓶×30本セット=300円
 →300円x30本(本来)-300円=8700円損失

・紅茶花伝470ml×24本セット=178円
 →178円×24本(本来)-178円≒4000円損失

・グラフレットぺんてる×2000本セット=418円
 →418円×2000本(本来)-418円≒83.5万円損失

・インクカートリッジ×50本セット=2080円
 →2080円×50本(本来)-2080円≒10万円損失

・トルクケージ東日製作所×1箱(20000本入)=51300円
 →51300円×2万本(本来)-51300円≒10.2億円損失

 ※痛いニュース参考

これはもうひどい誤記です。商品によってはケース価格を誤って単品にしたものもあるでしょうし、トルクケージなどはそれに加えて1箱当たりの個数も誤ってしまっているのでしょう。

普通なら、これらの価格誤記に関する集中注文は錯誤であるとみなして「ゴメンナサイ」をするものですが、セブンネットショッピングの対応は異なりました。

『上記注文につきしてはご注文を承っております。一時的に価格表示に誤りがございました。既に修正はさせて頂いておりますが、当ご注文については購入金額で販売いたします。』

なんと注文を表記金額で受けるそうです。おそらく、あまりにも高額な商品はこの限りではないと思いますが、生活雑貨や飲食品の類であれば、概ねこれと同じ応対をするのでしょう。

この対応で本当に良かったのか、ネット上では賛否が渦巻いています。販売者としての責任を果たしたことを評価する人もいれば、明らかな誤記にも関わらず消費者に迎合して対応するのはおかしい、そう主張する人もいるようです。

たしかに、10億円を超えるような価格設定のものへの注文には応じないとしても、おそらく総額で何億円もの損失が発生することでしょうから、これをそのまま受けるというのは営利企業として適切な対応ではないと考えるのは当たり前です。

どちらの意見も一理あると思いますが、私自身は、この対応はセブンアンドワイのカルチャーによってもたらされた結果であり、ひとつの企業文化としてアリだと思っています。

実際に何度もセブンアンドワイのオンラインショッピングを使ってみると分かるのですが、注文した商品が欠品しているときには、スタッフの方が別の商品をオススメしてくれるんですね。

例えば、100円のホウレンソウを注文したけれども欠品だった場合、

「もしかして夕食の食材で使う予定でしたか? 小松菜ならホウレンソウの代わり使える料理も多いですけどいかがですか? 本来は150円ですけどホウレンソウと同じ100円でご提供しますよ?」

こういったことを当たり前にやってくれるんですよね。お客様の視点に立ってサービスを提供しているなぁと強く実感します。だからこそ、今回の価格誤記に対する対応は決して大衆への迎合ではなく、あくまでもセブンアンドワイの精神に基づいた対応なのだろうと私は理解しています。

最後に、価格情報をご入力してしまった担当の方やシステム開発者の方々は、これを機に、異常値入力のバリデーション処理実装を検討してはいかがでしょうか?

NAKA

« 2009年12月6日

2009年12月9日の投稿

2010年1月19日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

中 寛之

中 寛之

アクセンチュアに勤務。
ITIL Managerとして、システムインフラのコンサルティングを中心に、業務領域まで幅広く担当しています。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
infra
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ