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フランスの2番手ISP、Neuf Cegetelが4月25日、携帯電話サービス「Neuf Mobile」および「Neuf Talk Mobile」を発表、フランス初の“クアドラブルプレイ”と主張している。
「Neuf Mobile」は同社の加入者向けの携帯電話サービス。同じく2番手の携帯電話オペレータの仏SFRの回線をMVNO(仮想移動体通信事業者)として利用する(SFRは、Neuf Cegetelの出資会社でもある)。やはり料金の安さがウリで、端末は1ユーロから、利用料金は、たとえば月額21.9ユーロ(1時間30分通話)からとなっている。このほか、Neuf経由の自分の固定電話と携帯電話間は無料などの特典もあるようだ。このNeuf Mobileにより同社は、ブロードバンド、TV、固定電話に加え、携帯電話サービスも提供することになる。
これよりも気になるのは、「Neuf Talk Mobile」だ。同社は、PCにインストールすることで、どこでも固定電話を利用できる「Neuf Talk」というSkype似の専用アプリケーションを加入者に提供しており、「Neuf Talk Mobile」はこれのモバイル版となる。これをスマートフォンやPDAなどの携帯端末にダウンロードすれば、WiFiアクセスポイントのあるところで電話を受発信できる。ちなみに、電話がかかってきたときは、(もちろん)家の固定電話もなる。
以前のエントリに書いたように、フランスの多くのISPは固定電話からの国内固定電話向け通話(一部国際電話)を無料としており、この「Neuf Talk」および「Neuf Talk Mobile」も、この料金が適用されるようだ。つまり、仏国内の固定電話に電話をかける場合、ユーザーは利用する有線・無線インターネット回線にのみ料金を払うことになる。
WiFiアクセスポイントだが、もちろん街中のアクセスポイントで利用できるが、同社はコミュニティ活動として「Neuf WiFi」を展開、ユーザーが無料で利用できるアクセスポイントサービスを提供している。すでに、主要駅などで利用でき、今後は他のWiFiアクセスポイント事業者と提携し、数を増やすという。同日、スペイン発のWiFiローミング、FONとの提携も発表しており、6月よりFONのアクセスポイントも利用できるようだ。このように無償で利用できるアクセスポイントが増えれば、このようなサービスは使い勝手があるだろう。しかもFONは現時点で世界30カ国・約3万2000箇所のFONアクセスポイントを持つというから、うまくいけば、海外にいながら携帯端末を使って無料で電話できることになる。
わたしのISPはNeuf Cegetelではなく、実際にこれらのサービスを使ってみたわけではないが、なかなか興味深いサービスだと思う。料金、内容ともに似たり寄ったりのISPサービスだが、ここまでくると乗り換えようかな、という気にもなりそうだ。同社は、昨年競合同士が合体した会社で、当時描いていた戦略を着実に実行に移しているようだ。
このように、固定と携帯の両方で展開しようとすると、自分が持っていない方(固定のNeuf Cegetelの場合は携帯網プロバイダのSFR)と関係があるかどうかは重要な要素のようだ。ちなみに、仏最大手のFrance Telecomも、Wanadoo(ISP)、Orange(携帯電話オペレータ)を持っている。
ここからは余談となるが、Neuf Cegetelが提携したFONは、昨年秋よりスペインで立ち上がった“運動”だ。自分の無線LANルーターにインストールすることで、他のFONユーザー(“フォネラ”)とアクセスポイントを共有するもので、フランスでは、昨年末に正式にスタートした(ここを参照)。
ひさしぶりにFONのサイトを見てみると、日本語サイトも一部立ち上がっているようだ。FONそのものもユニークな活動だが、そのFONを立ち上げたMartin Varsavsky氏は、その経歴はもちろん、外見も非常にかっこいいおじさんだ。昨年12月にパリで開催されたイベントでインタビューをする機会があったのだが、話がおもしろい(かといって、多弁ではない)のに加え、スニーカーが実に似合う! 私は女性なので「おじさん」にはなれませんが、こういう「おばさん」になりたいと思いました。
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