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12月7日に“.eu”ドメインの登録がスタートしました。EUにしてみると、やっとスタートという感じでしょうか。詳しくはここここを。

.euがここまで時間がかかった最大の理由はEUの決議プロセスにあると思われますが、ICANNにも一部原因があるようです。EUは現在、米商務省が関与している現在のICANNの運営に反対の姿勢を示していますが、チュニジアで開かれた先の世界情報社会サミットで具体的な進展は見られなかったようですね。

.eu立ち上げの目的の一つとして、サイバー空間におけるEUのプレゼンスがあります。現在、EU諸国の18~31歳の人のうち、約3分の1が、自分のアイデンティティとして、国籍よりもまず「自分は欧州人」と感じているそうです。国の枠を超えた共同体を構築しようというEUの野心的な取り組みは、少しずつ成果を見せているようです。

sueoka

「Les Blogs 2.0」で最も時間が割かれたテーマが企業とブログだった。2つ開かれたパネルでは、Microsoft(Robert Scoble氏)、L'Oreal(Gerorge-Eduard Dias氏)、IBM(Philippe Borremans氏)、Skype(Jaanus Kase氏)、Fon(Martin Varsavsky氏)などの企業、それにPRのプロ(Shel Israel氏)、コンサルタント(Adriana Cronin-Lukas氏)がそれぞれの見解を述べた。

05122005_012_sL'Orealは、化粧品のVichyブランドで仮想のキャラクターを立てたブログを行ったところ失敗したという苦い過去がある。単なるマーケティング文句を羅列しただけのブログに対し、ターゲットである女性顧客は不信感をあらわに。マーケティングのはずが逆に怒りを買ってしまった。そこで、同社は顧客に謝罪し、このブログをいったん取り下げた。その際に相談に乗ったというIsrael氏は、「うそはぜったいにつかないこと」と釘を刺す。「失敗から学んだ」と言うL'OrealのDias氏は、「(ブログは)これまでとはまったく違う、顧客の声を聞くことができるチャネルだ」とコメント。

IBMとSkype、規模の差はあるが、ともに社内と社外でブログを活用している。中でも社員約400人が世界に散在しているSkypeでは、ブログを社内のコミュニケーションとして大いに活用しているのだそうだ。自社ソフトも口コミベースで広がったSkype、社外ではユーザーとの接点としてのブログの重要性を認識しており、「ユーザーがSkypeに何を期待しているのかを探る場所」とKase氏。公式リリースの前に新しい機能に関する情報を提供して反応を見る、などのことを行っているという。もちろん、次期バージョンに反映させることもある。同様のコメントは、約4000の社外ブログを持つというIBMのBorremans氏からも聞かれた(同氏が「いまでもLotusというソフトがあるが、スタッフ間のコミュニケーションツールとしてブログを利用している」というと、会場からは笑いが)。

Skypeのブログは英語のみ。だが、Skypeユーザーの半分は非英語圏であることから、同社では残り50%に対応するため、他の言語でのブログも考えているという。一方でKase氏は「ブログはあくまでもアーリーアダプタ段階。ブログのコメントがすべての顧客の声とは思わないようにしている」とも述べた(Skypeのヘビーユーザーは50才以上なのだそうです)。

口コミ・マーケティングのツールとして、いままさに活用しているのがFonだ。約90日前に無線LANアクセスポイントのフリーローミングツールを提供し始めた同社、「広告費はいっさいかけずに、2000件ダウンロードがあった」という(同社は初日のランチのスポンサーだったが。。。)。「広告はターゲットを混乱させるが、人は口コミ情報は信頼する」とスペインでおそらく最も有名な起業家Varsavsky氏。

会場からはROIに関する質問が出たが、これに対して、「これまでなかったものに対して測定することは難しい。でも、コストといえばブロガーだけでは?」とコメントしたのは、コンサルタントのCronin-Lukas氏。広告の場合、数百万ユーロの広告費をかけてもきちんとリーチするかどうか分からないが、ブログは「(顧客に)メッセージを伝え、(顧客から)メッセージを受け取ることができる」とも。L'Orealの例でいえるように、企業のブログはまだ試行錯誤の段階だ。アドバイスとしては、「社内でやってみること。長期プロセスとなることを覚悟するように」。Cronin-Lukas氏は、「ブログブームが到来していない」英国のヘビーブロガーでもある。

MicrosoftのScoble氏は、ブログのポイントとして「情熱を持ち、かつ権威も持つこと」。TechCrunchの例を挙げながら、「アプリケーションに興味を持っている人の心を掴んだ(から開始後数カ月であっという間に広がった)。これは、化粧品、バイク、なににでも応用できる」。ちなみに、Microsoftは今週末にVirtual Earth関連で発表を行うらしい。ブログが最初の発表の場となるかもしれない。

長年シリコンバレーのベンチャー企業のPRを手がけてきたIsrael氏は、「とにかくはじめてみること。そのうちに範囲がわかってくる」と述べる。「話すだけではなく、他の人を取り込み、自分も参加する。行き過ぎた場合は、コメントが引き戻してくれる。引き過ぎた場合は、コメントがプッシュしてくれる」というIsreal氏のコメントが、マーケッターではない初心者ブロガーの私の心には最も響いた。

*写真はパネルの様子。ちなみに“Les Blogs”はフランス語で、英語にすると「The Blogs」という感じでしょうか。

sueoka

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末岡 洋子

末岡 洋子

欧州在住、フリーランスのライター兼ジャーナリスト。

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