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7月28日、台湾のBenQが独Siemensのモバイル事業部に関して、正式に株主の承認を得たと発表しました(2社は6月初めにこの取引を発表しています)。これにより、BenQは携帯電話におけるSiemensブランドの利用権利、同社の技術などを取得し、SiemensはBenQに2億5000万ユーロを現金と資産の形で支払います。BenQは最大で7500万ユーロ相当の株式にかわる証書(GDR)を発行、大部分はSiemensが買い取ると見込まれています。契約は10月1日より有効となり、BenQはドイツに新たな携帯電話部門の本部を設置、Siemensの社員(約6000人)はここに移管することになるそうです。BenQによると、第4四半期にはBenQブランドとSiemensブランドの端末を合計14~15台発表する計画で、このうちの約10台がSiemensブランドとのこと。

09032005_051_sSiemensは同日、今年度第3四半期の決算を発表していますが、売上高は前年同期比7%増の187億5000万ユーロとなったものの、純利益は前年同期比52%減の3億8900万ユーロ。携帯事業の売却が大きく影響したようです。

Siemensの携帯電話事業ですが、シェアが目に見えて下がっていたことから、以前から撤退がうわさされていました。そのため、欧州関係者にとって6月初めのニュースは驚きではなかったのですが、同社がBenQに支払う金額を見ると、やはり時期が遅すぎたといえそうです(3月時のSiemensの携帯電話事業部の赤字は5億ユーロに達していたそうです)。そのBenQのトップはこの取引について、「100%自信があるとはいえないが、野心はある」的なコメントをしたそうです。

今年の「CeBIT 2005」では例年通り、巨大な携帯電話を会場入り口に設置してアピールしていたSiemens。技術力には定評がある会社で、他社がここにきて積極的なファッション端末も、“XELIBRI”ブランドでいちはやく開始(し、いちはやく撤退)するなど、先を見る力もあったと思うのですが、全体として見たときに中途半端なイメージがありました。

Siemensは、医療(日本では補聴器が知られていますね)、発電、自動制御など、さまざまな事業を持つ巨大企業です。このところ足を引っ張っているのは、ビジネスサービスと通信の情報通信分野。さらなるコスト削減なしには、根本的な体制の立て直しは難しいといわれています。もちろん、コストの多くを占めるのは人件費。この問題は、欧州企業の多くが共通して抱えている問題です。企業が従業員を手厚く保護することは、欧州人が百年以上かかって勝ち取ってきた権利ですが、見直しの時期に入っているということでしょう。これは国レベルでもいえます。一度味わった生活のレベル(所得にせよ、有給休暇の日数にせよ、医療負担の割合にせよ)はなかなか落とせません。欧州の企業や国がこの問題をどう解決するのか、個人的に興味を持って見ています。

*写真は、今年3月のCeBITでSiemensが展示していたDVB-H(欧州の携帯電話向けデジタル放送規格)サポート携帯電話のプロトタイプ。

sueoka

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末岡 洋子

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欧州在住、フリーランスのライター兼ジャーナリスト。

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