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正当な印税税率とは?電子書籍化で印税が半分に減る人達も居る!

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これまで自分のアナログ時代の活動を振り返りつつ、インターネット時代、ソーシャルネットワーク時代におけるアーティスト、クリエーターと呼ばれる仕事領域においてこれからの稼ぎ方、食べていく形はどうなるのだろう?という視点でエントリを書かせてもらってますが

一番直近ですと

↑こちらのエントリを書かせていただいたところ、読者の方々から元々の英語記事で「戦々恐々」という表現はされていないとか、翻訳記事のニュアンスの違いなど、有り難いご指摘、アドバイスをいただきました。

自分はこのエントリの中(これまでの一連のエントリを含む)でリンゴ・スターのインタビュー記事の中身を交えて、現在の日本の著作物における印税比率がアップすること自体は歓迎ではあるが、その税率が上がるだけで創作物の質が向上するする訳ではないし、そこに税率がアップしたから…という理由で参入したとしてもそれほど簡単に創作者としての生活が出来る訳ではないのでは?という基本的スタンスで書き進めさせてもらってます。

一瞬余談ですが、当ブログは最近BLOGOSさんのほうでも記事転載されておりまして、そこに掲載されているメディア(ブログ)を拝見し、自分の知識の足りなさを痛感する事となってしまいました。

英国(米国も?)は著者取り分が50%だそうである。これを聞いて、私は非常に驚いた。例えば日本語と英語で本を書いた場合、日本語では本当にせっせと大量に売らないと、なかなかまとまった収入は期待できない。英語だと半分なのだから、非常に効率が良い稼ぎ方になるだろうーあくまでも仮定の話だが。

ところが、電子書籍の場合、これが25%に下がるのがザラなようだ。そこで、著者(そして作家のエージェントたち)が、これを何とか50%にあげようと、戦いが起きている。

オルタナティブブログでは、斉藤さんの

こちらのエントリは870ものブックマークを獲得する人気エントリで、その注目度の高さを表している訳ですが、少なくとも英国においては、日本の状況とはまったく別世界が広がっているのですね(驚)

小林さんのブログではもうひとつ注目すべき事が書かれて、そのポイントはここ

出版エージェントのアンドリュー・ワイリーという人が、アマゾンを通して、直接電子書籍を売ることにしたらしい。同氏が手がけた作家はフィリップ・ロス、サルマン・ラシュディー、ジョン・アップダイクなど著名な人がたくさんいる。ワイリー氏は、通常の出版社を通して売ると、電子書籍での著者の取り分が少なくなるので、電子出版専門の出版社を自分で立ち上げ、アマゾンと2年間の契約をした。これに対し、大手出版社ランダムハウスは、もうワイリー氏とは仕事をしない(問題が片付くまで)と言っている。

当ブログにおいて

↑このエントリを書いたすぐあとに、作家発・出版社なしのiPad/iPhone電子書籍「AiR」が発売され、谷川さん松尾さんが即座に反応、そしてわたしもこのようなエントリで追随させてもらいました。

この「AiR」については松尾さんのエントリに注目すべきコメントが付けられていて、その中身はこういうモノ

「出版社を通さずに」スタートしたプロジェクトだそうですが、発起人も編集もデザイナーも講◯社の昨年終了した電子書籍サイト関係者だとか。

すくなくとも出版社サイドがボツにした企画(プロジェクト)を出版社無しで企画実現する分には問題起きないようですが、英国の例を見てもいきなり出版社の頭越しで仕事をやってしまうと「問題が片付くまで」仕事が出来なくなるリスクは考慮すべき…という事例と言えるのではないでしょうか。

そして、冒頭紹介したエントリ

ここに話は戻るのですが、村上氏は今回の企画を実現させるため出版社に「先進的な会社であれば理解してもらえる」という趣旨の話をしたという事を先日とある打合せ現場でお聞きしたのですが(伝聞ですので細かな表現において違いがあるかもしれません)、作家という立場において世界標準を達成するためには、印税税率の話が日本においてはまだ必要であるということを今日紹介した小林さんのブログで気づかせていただきました。

そう考えると、村上氏が「作家として出版の未来の姿を示したい」ということで示した「歌うクジラ」の電子化については、長期的な産業(業界)構造や関係者の利益配分の再構築という観点において、(作家稼業にしても音楽家稼業にしても印税税率が高くなったから急に食べていける人が増える業界とは違うだろう…というわたしの基本的スタンスに変化はありませんが)今後もいろいろな取り組みがされていくことが必要であり、その試行錯誤のなかで現代における「正当な印税」が規定されていくのだろうな…と感じたのでした。

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