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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

自分の中だけで考えていてもわからないものです

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ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。

フリーランスライター(以下フリーライター)というのはとても不安定な職業でして、数カ月先も見えません。営業的にできることは、自分のWebサイトを定期的にマメに更新することと、機会があれば無料か有料かなど関係なくメディアに寄稿するぐらいです。そして常に感謝を忘れないことが意外と大切です。『夢をかなえる象』の受け売りですが、マジです。

そんな感じなので、心も不安定です。お金があれば幸せというわけではないのですが(フリーライターになる前にお金に困らない時期が一瞬あったのですが、ぜんぜん幸せではありませんでした)、お金がないと不安になります。3カ月も仕事がないともう預金残高がなくなるのですが、そういう経験を3回ぐらいしていて、その恐怖たるや経験のない人には説明不能です。

などとフリーライターになりたいと考えている人が挫けるような話をしていますが、けっしてライバルを減らしたいわけではなく、本当のことなので仕方ありません。

いやむしろフリーライターや他のフリーランスの方々が不安になったときにどうすればいいかを書きたかったのです。前置きが長い上に、本題に入る前に離脱されてしまいそうなことばかり書いていますが、まあいい話というものは、すぐに見切りをつけない人で我慢強く話を聞く人にのみ訪れるもので、いきなりいい話というのはだいたい詐欺です。

ということで本題に入りますと、私は経済的に不安定なものですから、メンタルも不安定になりがちです。では不安になったり落ち込んだりしたときにどうしているのかと言えば、禅の本を読むのです。

コロナ禍前は参禅もしていたのですが、控え室が男女別だったりするので、今はちょっと行きづらくなっています。事情を説明すれば、トランスジェンダー部屋ぐらい用意してくれると思うのですけど、私だけのためにお手数をおかけするのも心苦しいです。なので今はひたすら本を読み、瞑想をして禅の真似事みたいなことをしております。

それで悟れないかというとそういうこともないらしく、そもそも誰にでも仏性が宿っているというのが禅の大前提ですから、自己流でも大本を間違えていなければ悟りを得ることはあるはずだ――と信じてやっております。

そうすると悟りかどうかはわかりませんが、ふと心が開けたような感覚が訪れることがあります。禅の悟りというものは、自分が仏であることに気づくことなのですが、何となくそういう感覚です。頓悟と言いまして、その感覚は突然訪れます。ただすぐに消えていきます。なので一生悟り直し続けないといけない――というのが、禅の主流となっているようです。

そもそも私の感覚が悟りかどうかはわからないのですが、それはそれでまた禅っぽい感じがします。あくまで真似事であることは強調しておきますが、それでも不安と向き合え、心の平穏を取り戻せるのですから、それでいいのではと思っています。

スティーブ・ジョブズを初めとして、シリコンバレーで禅が盛んなのは有名と思いますが、きっと私と同じようなノリだと勝手に思っています。

「悟り」を得ようとすると、まず思い浮かぶのは坐禅でしょうが、これの本質は瞑想であり、自分の心の奥深くに入っていくことです。「只管打坐」、すなわち「ひたすら坐れ」ということで、禅では瞑想が重要視されています。しかしもう1つ禅ならではの特徴があって、それは生活のすべてが修行ということです。

食事の支度をしていたりするときに頓悟することもあるのです。

そのようなことが起きる根拠として重要な思想が「無情」と呼ばれるものです。「無常」の書き間違えではありません。情とは心のことで、無情とは心を持たない物、つまり石ころとか道具とか山とか川とか、そういうものたちを指します。

心を持たないものが語りかけてくる言葉を目で聞くことで悟りが開ける――まさに「禅問答」ですが、そういうことによって心が開けて、自分は仏だと気づくことがあると言うのですね。

ここから先は自分で体験するしかありませんし、私の体験が悟りかどうかはさっきからずっと言っているようにわからないので私の経験を聞いてもあまり意味がないのですが、とにかく自分の心の探求に囚われるのでなく、ふと風鈴の音を聞いたり、鏡の中の自分を見たりすることで、「声」が聞こえてくることがあるのです。

何か悩んだ挙げ句にヤバい人になっちゃったみたいにも聞こえますが、そうではなく、自分の使命だったり、存在理由だったり、やりたいことだったり、そういったことが思い浮かんできて、人生に張りができるという感覚でしょうか。

ですので瞑想という内省も大切なのですが、無情の声を聞く、すなわち外部に心を開くことも同じぐらい、あるいはそれ以上に大切なんですね。

で、最後に申し訳程度にDXなんかの話に結びつけちゃいますと、DXなんていうのもそういうところがありまして、頭の中だけで考えていてもよくわかりません。データという、まさに「無情」の声を聞くことが大切です。

またDXの推進リーダーをやっていると、ある日突然わかった気になることがありますが、また数日するとわからなくなります。しかしそれもいろんな声を聞くことでまたわかるときがきます。ずっとその繰り返しです。

DX推進リーダーだけでなく、フリーランスも同じです(そしてもちろん他の職業の方々も)。今はもしかしたらどん底にブルーになっているかもしれませんが、また踊り出したくなるような瞬間がやってきます。それを信じて生きていきましょう。大切なのは、内省しつつ外部にも心を開くこと、そして最初にも言いましたが感謝です。

「精神論を言うより、金(もしくは仕事)をくれ」と言われるかもしれませんが、そういう人にはなかなかお金もお仕事もやってこないものだと、これは私の経験から申し上げます。


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