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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

顧客に価値を提供したり、人様のお役に立とうとしたりして空回りする人が忘れていること

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ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。

今回は自戒をこめまくりなのですけど、「顧客に価値を提供しますっ!」とか「人様のお役に立ちたいんですっ!」とか気合いが入りまくっているんですけど、空回りしちゃう人っていませんか? 私はそんなに気合いは入ってはいなんですけど、ときどきちょっとだけ意気込むことがあり、その結果、空回りしちゃったなと思うことはよくあります。

たとえば、先日もやってしまったんですけど、伴侶さんが仕事の話を聞いてよと言うんです。私も若い頃は、そういうときにはアドバイスをしてあげないといけないと思っていたのですが、さすがに今はそんなことはありません。ただ聞くだけでいいとわかっています。

ただですねえ、聞くからには理解しないといけないと思ったりするんですよね。要するに傾聴すべきだと。で、ついつい取材がお仕事というところがありますもので、傾聴のテクニックを駆使して、根掘り葉掘り聞いてしまったりするんです。

もちろん私としては伴侶さんの役に立ちたい気持ちからなんですが、されるほうはたまらない。「何で話を聞いてもらいたいだけなのに、尋問されるのよっ!?」とお怒りになる。こっちはこっちで親切のつもりだから腹も立つ――なんてことになりがちなんですよね。ということで自戒をこめています。

さて価値提供や他者貢献をしたいと意気込んでいるのに空回りする人はこれに近いことをしちゃっているんですが、そうなる理由はたった1つの重要なことを知らないか、知っていても忘れてしまっているからなんです。

それは・・・

  価値があると思うのも役に立っていると思うのも受け取る相手次第であり、こちらがいくら一生懸命やってもコントロールすることはできない

ということです。何だかセクハラやパワハラが受け取る相手次第というのにそっくりですね。つらい思い出がある人はごめんなさい。でもこの「受け取る相手次第」というのが超重要ポイントでありつつ、忘れられがちなことでありまして、それで太字にしているんですね。

実は、「顧客価値をどうやって見出す」かというテーマの書籍制作をお手伝いしておりまして、その取材で「大前提ですが、企業側から顧客の価値を創造することはできません。それに価値があるかどうかは顧客が決めることで、提供企業が決めることではないからです」という話があったんですね。

私、昨年はブランディングの本をお手伝いしたんですけど、そのときも同じようなことを言われました。「ブランドは顧客の頭の中にあるものなので、企業側が作ることはできません」と。

だから提供側がどんなに意気込んでも価値など作れないんです。作るのは相手の脳みそだからです。私たちはひたすら相手が価値を感じてくれるのを待つしかないのです。

では、価値提供に成功している企業や他者貢献で人望を獲得している人はどうしているんでしょうか。

愚直に相手の反応を見ながら試行錯誤して、結果として喜んでもらっています。これに尽きると思います。

PDCAを回すということですが、こちらでコントロールできないと言ってもPの段階で熟慮することは大切なんです。何をどう熟慮するかという具体的なノウハウは、本の半分ぐらいの内容になってしまうのでここでは書き切れませんが、とにかく一生懸命考えましょう。

それだけだと不親切なので、考え方のヒントだけ書きますと、自分のできることが何かを洗い出すことです。その中には自分より能力の高い人と知り合いで紹介できる、なんてことも含まれます。とにかくあらゆるできることを洗い出すことです。

強みというよりは自分の持っている機能を洗い出す。そして相手の真のニーズを想像する。その想像と自分の持っている機能の重なる部分に、提供できる価値があったり、他者に貢献できることがあったりします。

真のニーズを想像しても外れることが多いですし、相手に聞いてもわからないことが多いんです。だから一生懸命データ分析をしたりするわけですが、まあ当たらないので、何度も繰り返すことになります。

何度か繰り返すと喜んでもらえる時が来ます。しかし人間って移り気なものですから、それで満足しちゃうとそのうち喜んでくれなくなるときが来ます。だからずっと何をしたら喜んでもらえるかを探し続けないといけないということになります。

大ヒット商品を出したのに、数年後に倒産する企業なんていくらでもあるでしょ? それは成功にあぐらをかいてしまい、探し続けるということを怠ったからなのです。

うわー。たいへーん!

だからビジネスに関していえば情熱がないとできませんし、他者貢献でしたら愛がないと続きません。

夫婦には愛が大切だとつくづく思います。


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