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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

ケイパビリティって何よ? イタリアンサラダとかに入れるやつ? それはケイパー、と言いたくなるほど一部でケイパビリティが流行っています

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デジタルとマーケティングに強いビジネスライター森川ミユキです。

仕事がら昔から(元も含めて)外資系コンサルタントと話をする機会が多いです。

頭が良く、でも性格はちょっと悪く、ただ話は楽しい、総合すると好きな人が多いです。意外と熱い人も多いですね。

だから気が合うと言えば合うのですが、辟易するのは「コンサル横文字」(コンサルタントとそれを真似するIT屋しか使わないような横文字のことで、私も記事等を書くときに仕方なく使います)の多さです。

コミットとかスキームとかその辺はまだしも、アグリーは日本語で言えよと思います。ただ「エビデンス」に関しては、人を小馬鹿にしている感じがよく伝わるので、そのようなニュアンスを伝えたときに「エビデンス出せよ」と言うのは憚りません。

そういう便利な言葉もあるにはありますが、たいがいは意味がわかりません。私はそもそも英語ができないのです(ITエンジニアをやっていたときは横文字も日本語と思って覚えました)。それなのに、外資系コンサルタントに馬鹿にされていないのが、マジ自慢です。彼らは英語ができないのは人間でないと思っている節があるので(私の偏見でいいです)、これは本当にすごいことだと自画自賛させてください。お願いです。

さて、ここ数年、外資系コンサルタント業界で流行っているのが、「ケイパビリティ」という言葉です。まあ「組織の能力や強み」ぐらいの言葉ですね。

あ、でも、そう思い込んでいるのは日本人だけかもしれません。こういうときは英英辞典です。

1 機械、人、または組織が何か、特に困難なことをできるようにする生まれつきの能力、スキル、または力
2 国が特定の種類の軍事行動を取る能力
(出典:https://www.ldoceonline.com/jp/dictionary/capabilityをGoogle翻訳で日本語化)

英語が苦手なので、ロングマン英英辞典(オンライン)で調べて、Googleさんに日本語にしてもらいました。いつもありがとう!

うわ。やっぱり戦争用語なんですね。外資系コンサルタント業界は戦略とかロジスティックスとか戦争用語が大好きです。血の気が多いなあ。ウクライナのために志願兵になればいいのに。

で、組織の能力とは限らないんですね。英英辞典を引いてよかったです。ただ私が聞く限り、ケイパビリティは組織の能力という意味で使われていると思います。

私が初めてケイパビリティという言葉を聞いたのは、2005年ぐらいでした。そのときはプロジェクトマネジメント関連のツールを売る会社にいて、その関係でPMI日本支部のとあるプロジェクトに参加していたのです。PMPも持っていなかったんですけど、その辺は少しでも戦力が欲しかったのでしょう、とてもいい加減でした。

そのプロジェクトは、プロジェクトマネジメントの組織成熟度(OPM3というのですが、いまだに流行らないですね)に関する文献を日本語化するというものでした。英語が苦手なのに(>﹏<)、社長命令だったので仕方なく、参加していたのです。その文献にやたらcapabilityという単語が出てきたのを思い出します(でも記憶違いかもしれません。参加していたI○Mのコンサルさんが、やたらとcapabilityを連呼していただけかもしれません)。

組織成熟度ですからレベルがあるわけで、あるレベルと認定されるためには、これだけのcapabilityが必要だと書いてあったと思います。それでこれは「組織の能力」と訳せばいいんだなと思った次第だったのでした。まあなにぶん昔のことなので、記憶違いがあればご容赦ください。

そのケイパビリティが、最近やたらと流行っているのは、VUCA(おお、これもなかなかの4文字英略語です!)時代となって、チームマネジメントとや組織マネジメントの重要性が喧伝されるようになったからだと思います。VUCAも昔からある言葉ですが、ビジネスの世界で流行り始めたのが5年前ぐらいで、ケイパビリティーが流行り始めた時期と一致しています。

ちなみに例のOODA(ウーダ)が流行り始めたのも同じ頃で、これもVUCAの影響ですね。

OODAについては、すばらしい解説記事があるので、リンクしておきますね(*^_^*)

そりゃあサイクルとループなんだから違うに決まっているけれど、そもそも何でOODAはループなの?

さてケイパビリティですが、英語だと「組織の能力」とは限らないと先ほど暴露されました。であれば「組織力」とか日本語で言えばいいのにねと思います。

よくマスコミだったか文科省だったかが、横文字の認識率を調査していますが、ケイパビリティなんか2%もぐらいの人しか正しい意味を知らないんじゃないでしょうか。だって使われないから。

私も「えー? ケイパビリティも知らないの?」という用例でしか、普段使うことはありません。嘆かわしいことですね。


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