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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

そりゃあサイクルとループなんだから違うに決まっているけれど、そもそも何でOODAはループなの?

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ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。

ベンダーのオウンドメディアなんかで「PDCAサイクルとOODAループの違い」なんて記事がよくございます。

今さら説明の必要もないとは思いますが、

  • PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)
  • OODAは、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(行動)

のそれぞれ頭文字を取った言葉です。

細かいツッコミを入れると、PDCAのAは本来はActと思われます(PDCが動詞ゆえに)。だとすると同じActなのに、PDCAでは改善(する)、OODAでは行動(する)と訳していることになり、ご都合主義のにおいがプンプンしますね。

それはさておき、「PDCAは古くて、OODAは新しい」とか、「PDCAとOODAは紛らわしいから気をつけよう」みたいな言説が飛び交っております。

というか、ビジネスライターなのでこの手の言葉を使うことが多いんです。するとFacebookさんがご親切に、「ここに説明があるよ」と頻繁に紹介してくれるわけです。「知っとるがな」と広告を削除しても、雨後の筍のように出てきます(゚´Д`゚)゚。

ZAZYじゃないけど、見るたびに「なんそれ?」と言いたくなります。

だってサイクルとループですよ。そもそも違うに決まってるじゃないですか。それを古いとか新しいとか、紛らわしいとか・・・。大丈夫か?と心配になります。

サイクルというのは、周期的な感じがしますよね。「月次でPDCAサイクルを回す」とかそんなイメージがあります。

英英辞典を引いてみましょう。

cy‧cle1 /ˈsaɪkəl/ noun [countable]
1 a number of related events that happen again and again in the same order → cyclic
(出典:オンライン版ロングマン現代英英辞典)

「さいかる」と発音するんですね( ̄□ ̄;!! 知らんかった。いや曖昧母音というやつなので「か」ではないんでしょうけど、そもそも母音が挟まっていたとは! でも発音ボタンを何度クリックしても「さいこぉ」としか聞こえません。

発音はさておき、「同じ順序で何度も何度も繰り返される一連の関連する事象→周期的」とでも訳したらいいでしょうか。何となく私のイメージは正しかったようです。

サイクルと比べるとループは、周期的な感じがあまりしません。「週次でOODAループを回す」なんてそもそも変です。

だって戦場で緊急事態の際に素早く意志決定するために生まれた思考法なんでしょ? だったら日次でも遅いです。瞬時に回さないといけません。

またPDCAがルーチン的であるのに対して、OODAは緊急事態への対応ですからアドホックです。問題が解決したならば1回限りで構いませんし、解決しないなら解決するまで素早く回し続けないといけません。言い換えると、終了条件があるということですね。

あれにそっくりですよ。そうコンピュータープログラムのループです。

こっちも英英辞典を引いてみましょう。

loop1 /luːp/ noun [countable]
1 SHAPE OR LINE a shape like a curve or a circle made by a line curving back towards itself, or a piece of wire, string etc that has this shape
loop of wire/rope/string etc
A loop of wire held the gate shut.
belt loop (=a loop of material for holding a belt on trousers etc)
2 COMPUTER a set of operations in a computer program that are continuously repeated
3 FILM/MUSIC a film or music loop contains images or sounds that are continuously repeated
(出典:オンライン版ロングマン現代英英辞典)

若干意訳しますが、「ぐるっと自分自身に向かって曲がって戻る形状」がループなんですね。それだけです。ぐるぐる回るという意味は本来ありません。それを少し抽象化すると、コンピュータープログラムや映画・音楽のループになって、ぐるぐる回り出すみたいです。なぜそうなるかは英語ネイティブの感性なのでしょうか、私にはちょっとわかりません。

ただハッキリ言えるのは、サイクルは必ずぐるぐる回りますが、ループはぐるぐる回ることは二の次で、円環状になっているかどうか、つまり形が本質的だということです。だから1回で終わってもいいし、繰り返しても差し支えないわけです。

こうして見ると、まるっきり違うものだとわかります。それを古いの新しいのだの、紛らわしいだの、頼みますよという感じですわ。というか、Facebookは要らん広告出さないで!

※ただ実際にはCyclicなOODAループもあります。健康診断とかストレスチェックなんかそんな感じです。定期的に検査する(観察)→検査結果を分析する(状況判断)→異常があれば対策を決める(意志決定)→対策を実行する(行動)――まさしくOODAです。とはいえこれも異常がなくなればいったん終わるので、サイクルではなくループでいいように思います。


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