マーケティングとブランディングの違いは何でしょうか?
デジタルとマーケティングに強いビジネスライター森川ミユキです。
マーケティングとブランディングの違いなどと言うと、怪訝な顔をする人も多いかもしれません。そういう方はたぶん、ブランディングはマーケティングの一部だと考えているのでしょう。
実際、マーケティングの一部門としてブランド戦略というのがあるのも事実です。ですが、そう考えちゃうと今日は「以上、終わり!」となってしまうので、まあ違うとしたら何が違うのでしょうということにしましょうよ。
では、そもそもブランドって何でしょう?
これもググってみたらわかりますが、論者ごとに定義がある感じです。つまり定義などないのですが(笑)、私の好きな説明は、「ある商品カテゴリを考えるときに、ユーザーの頭の中で想起されるイメージ」というものです。
定義というほど厳密ではありませんが、説明としてはわかりやすいです。「スニーカー」と聞いたら「ナイキ」、「缶コーヒー」と聞いたら「ジョージア」というのがブランドですね。もちろん「ニューバランス」や「BOSS」と答える人もいて、それはそれで構わないのです。
ちなみに商品カテゴリを言われたときに、自社のブランド名が挙がる率を「ブランド想起率」といい、ブランディングがうまく言っているかどうかの最大の指標の1つになっています。
となると、テレビCMをガンガン打てばブランディングになると思うでしょうが、それはある意味正しいです。それが正しいからこそ、ブランディングはマーケティングの一部という話になるわけです。
なるわけですが、別々の言葉であるからには、やっぱり違いがあるわけで、それは何でしょう?というのが今日の問題だったのでした。
考えてくださいと言ってもすぐに答えを見たがるでしょう。「つづく」としたいところですが、続きを読む人もいないどころか、ケチと言われるに決まっていますから答えを書いちゃうことにします。
マーケティングは価値を訴求していいが、ブランディングは価値を訴求してはいけない。
だからブランド名を連呼するのはブランディングになり得ます。しかし価値を訴求するとブランディングとしてはダメなのです。
厳密に言うと直接的な言葉で訴求してはダメということで、美しい写真や動画で訴求するのは構わない――というかそれがむしろブランディングということです。
あるいは企業理念とかで遠回りに訴求するのもブランディングになり得ます。なり得ますが、その企業理念も言葉だけ(理屈だけ)で語ってはダメで、社長が自ら熱く語るとか、そういう感情に訴えかける演出が必要になります。あるいは理念を体現するような実際の行動、たとえば靴が1足売れたら、売上の10分の1を環境団体に寄付しているとか、そういうのが必要です。
遠回りという意味では、顧客の声や有識者(あるいはインフルエンサー)の推薦もブランディングの有力な手法でしたが、やらせが多いことがすでに発覚していますから、上品なブランドと思われたかったら、やめたほうがいいかもしれません。でもベタなブランドというのも、私は嫌いではありませんが。
要するに、言葉で説得するのではなく、いろいろな手段を駆使して、ユーザーが頭の中で良いイメージを自発的に作ってもらうようにするというのがブランディングってことです。
そういう目でテレビCMを見ていると、ブランディングの下手な会社が多いなあと思います。さすがにアパレルやコスメは上手ですが、金融と建設はひどいなあと思いますね。自動車は微妙です。
作っているのは電通や博報堂などのクリエイターだと思うのですが、スポンサーの意向をひっくり返すのは難しいということなのでしょうか。
最新のIT動向やITのビジネスへの応用について、経営者などビジネスパーソンに分かりやすく伝えることができるライターです。経営レベルでのIT活用について書ける数少ないライターとお客様から評価されています。
最近注力しているテーマは、下記の通りです。
- データ活用(データドリブン、DX等)
※JDLA Deep Learning for GENERAL 2019#2取得しました - マーケティング全般(ブランディング含む)
また得意な分野は、クラウド、データ活用基盤などITインフラ関連です。
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▼トランスジェンダーとしてエッセイを書いています。