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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

社長のセリフにしびれました~今日本企業にもっとも取り戻して貰いたい言葉です

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デジタルとマーケティングに強いビジネスライターの森川ミユキです。

「マーケットイン、プロダクトアウト」なんて言葉を初めて聞いたのはいつだったかしら???

たしか1990年頃だったと思います。喫煙室で役員の方から聞いたのです。当時の私は、入社4年目ぐらいでまだまだ技術を追い求めていたSEでした。

「森川君、マーケットインってわかるか?」(大阪弁です)

「何ですか? それ。抗議活動みたいなやつですか?」(ジョン・レノンとオノ・ヨーコのダイ・インやベッド・インを思い浮かべました)

「あかんで。SEもちゃんとビジネスに関心を持たな」

で、マーケットインとプロダクトアウトの説明を受けたのでした。そうかユーザーのニーズに答えないとモノは売れないんだな、と半分は納得したのですが、当時からちょっとうさんくさいなとも思っていました。

だって、爆発的に売れている商品って、ほとんどが過去存在しなかったものではないですか。それが市場に出たら、急に欲しくなるのです。これってまさにプロダクトアウトじゃないの?と。

たぶんこの役員さんの中では、マーケットインとユーザー志向/顧客志向がごっちゃになっていたんだと思います(当時の役員さんより年上になってしまったので、偉そうに言っています)。

その後、マーケットインを追求するあまり、どこも同じような商品を作るようになり、気づいたら軒並みボロボロになってしまった某国の家電メーカーの末路を考えると、そう思わざるを得ません。

何でこんなことを今さら書いているのかというと、昨日、お仕事に必要だったので、SHIROというD2Cのコスメブランドについて調べていたのでした。

そうしたら、こんな記事がありまして・・・

炎上で学んだブランドの在り方 化粧品のSHIRO、新社長が語る

このメーカー、コロナ禍でも前年対比150%の売上増を続けているという優良企業です。厳選された成分だけを使って、余計なものは入れないことで消費者の信頼を得ています。D2Cですが、いちおうAmazonでも売っています。それは価格が適正かどうかを知るためなんだそうです。

上の記事から引用させてもらいますが、社長の言葉がホントしびれるんです。

福永 自分たちが毎日使いたいものを作ることはブランドポリシーであり、プロダクトアウトであることは変えていません。あくまでも、出来上がったものに対して伝える方法や、SHIROの製品を日常的に購入していない人も視野に入れるという意味においての「みんなの」ですね。

──100年、200年続く会社をと考えたときも、ずっとプロダクトアウトでいくと。

福永 逆にそれしかないんですよね。自分たちがアンテナを張って、高感度を保ちながら、これが欲しいのではないかという、自分たちよりほんの半歩進んだくらいの目線でプロダクトを世に送り出していく。それをなくすと、他企業やOEM企業と変わらなくなってしまうと思います。ものを売るためのマーケティングはしても、ものを作るためのマーケティングはしません。(太字は筆者)

特に後の太字、「ものを売るためのマーケティングはしても、ものを作るためのマーケティングはしません」――「きゃあ、かっこいい!」と思いました。

かっこいいので、もう1回。

「ものを売るためのマーケティングはしても、ものを作るためのマーケティングはしません」

これですよ。ジョブズがこんなことを言っていたのを思い出します(要出典)。「市場調査をしても売れる商品は作れない

ジョブズも徹底的にプロダクトアウトにこだわる人でした。GAFAMは、みんなそうじゃないですか?

ただGAFAMはみんなユーザー志向でもあるんです。自分がユーザーだと想定して、じゃあそのユーザーである自分が欲しいものは何?というところから発想しているわけです。

Facebookなんか、まさにザッカーバーグの邪(よこしま)な気持ちから生まれたけど、世の中には邪な人が多かったんで、一気に普及したわけですよ。その点、mixiはいろんな人の言うことを聞きすぎて、なんかコンセプトが甘くなっちゃいましたねという感じがします(招待制を辞めて一気に魅力がなくなりました。あと変なゲームも要らなかったなあ)。

その点はSHIROもまったく同じですよね。

プロダクトアウト――私の好きな言葉です。じゃなくて、日本企業に取り戻して貰いたい言葉です。


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