今どきのITエンジニアの市場価値を上げるには?
元SEでITに強いビジネスライターの森川滋之です。
先週ビジネスパートナーで友人でもあるAさんと打ち合わせをしていたら、今度人材紹介業(ついでに結婚相談所も)を始めるのだと言う。
何だかうさんくさいが、Aさんのミッションは人と人を繋げるということのようなのでブレはない。何よりも金銭欲よりも自由欲(今作った言葉)のほうが強い人なので、僕のような者は信用している。
Aさんも元々大手SI企業に勤めていた人なので、ITエンジニアの人材紹介を中心にやれればと考えているらしい。
それで聞かれたのが、タイトルにもある「今どきのITエンジニアの市場価値を上げるにはどうしたらいいか?」ということだったのだ。
DXに関われば単価は上がる
結論から言えば、DX(デジタルエクスチェンジ)に関わることができれば単価は上がる。
わかりやすい例で言えば、Pythonプログラマの単価が平均すると高いのは、この理由だ。しかしいくらPythonが書けても、DXが何かよく分かっていないのなら、渡された仕様通りにプログラムを作るタイプのプログラマと変わらない単価になってしまう。
そもそもPython自体、プログラミングスキルがそれほど高くないデータサイエンティストでもマスターしやすいということで人気になったわけだから、Pythonが書けるということにはあまり価値がないのである。
とはいうものの、DXって何?、デジタライゼーション(デジタル化)とどう違うの?という読者もいるかもしれない。
DXやデジタライゼーションを説明すると時間がかかるので、DXに期待されている領域を具体的に挙げてみよう。4つある。
- デジタルによるプロセス改革
- 具体的な業務効率化
- デジタルマーケティング
- 新規事業開発
この4つに関連するプロジェクトに参加できる知識、経験そしてスキルがあるITエンジニアがいま市場価値が高いということだ。
同じDXでもタイプが違う
もう少しだけ詳しく説明しよう。
1は、社内はもちろん取引先も含めて、デジタルデータをやり取りすることで、可能な限りの自動化を図っていくということだ。M2M(マシン・ツー・マシン)の実現と言い換えてもいいかもしれない。
2は、1がどちらかといえばシステム間の連携を図るのに対して、個別の業務をどうやって効率化するかが中心だ。RPAが代表的だが、その他でも音声認識や自然言語処理などAI機能を活用したアプリケーション作り(チャットボットなどをイメージしてほしい)を担う。AIを作れなくても、グーグルやマイクロソフト等が提供しているAPIを活用できればいい。
3は、究極的に言えば、デジタルデータを活用して企業の売上向上に貢献することだ。マーケティングについての広範な知識とマーケティングDBやマーケティングツールの知識が必要となる。
4は、データサイエンティスト等と連携しながら、デジタルを活用した新たなビジネスを創出することである。企業のイノベーションを担う仕事と言っていい。
ここで、気づくことはないだろうか?
そう。1、2と3、4では、かなりタイプが違うということだ。
これを今読んでいるのは、エンタープライズシステムに関わっているITエンジニアが多いと考えているのだが、だとしたら1、2はいけそうだが、3、4はちょっとハードルが高いと思われたのではないだろうか。
その感覚は正しい。
1、2のシステムは安定性が大切で、きっちりした仕様があり、確実に作り上げることが大切だが、3、4は見た目の良さと使いやすさが大切、何度も作り直すことが前提、とにかく確実性よりもスピード重視なのである。まるで違う。
登場する人も、1と2はきっちりスーツを着ているが、3と4はカジュアル。中にはレザーパンツにピアスなんて人も出てきて、名刺を見たら取締役なので二度びっくりしたという経験がある。
どちらを目指すべきか
エンタープライズ系のITエンジニアはどちらを目指すのがいいのか?
マインドセットの大幅な変更と、少なからぬ勉強に耐えられるのであれば、3または4を目指すのもいい。なぜなら日本にはあまりいない人材なので取り合いになっているからだ。年収数千万円というのはだいたいこちらのタイプだ。
1と2も勉強は必要だが、マインドセットの変更は必要なく、勉強自体も今の延長線上なのでやりやすい。その上、こちらも実は不足しているので、年収1千万円超えは可能だろう。
そこでまずは1または2を目指し、3や4の人材との接点を作る。そして自分もそうなりたいと思うのなら、3や4を目指すというのが、一番リスクが少ないのではないだろうか。実際、そのようなキャリアパスの人も多い。
DXもデジタライゼーションも、現在のビジネスの最先端に関わる話で、奥も深いし難易度も高い。このぐらいの説明で理解していただけるとは思わない。
だがキャリアアップを考えるITエンジニアであれば、この記事に出てきたキーワードを頭に入れておくだけでも役に立つのではないだろうか。
最新のIT動向やITのビジネスへの応用について、経営者などビジネスパーソンに分かりやすく伝えることができるライターです。
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※日本ディープラーニング協会認定ジェネラリストです
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