2006年ドイツ大会の記憶を僕は封印していた
何だか、この感じ、前にも・・・
2014年6月25日、つまり今朝の日本vsコロンビアを見ながら、僕は嫌な動悸を感じていた。
絶対、このような体験をしたことがある。これはデジャブだ。
だけど思い出せない。どうやら記憶の奥のほうに封印されているらしい。
こういうのをトラウマと言う。「トラウマ」という言葉は、過去のつらい経験のように捉えられているようだが、本来はあまりにも嫌な経験なので心の奥に封じ込まれて出てこないものを言う。このようなものが神経症の原因になっているというのがフロイトの偉大な発見だ。
神経症はトラウマを表に出すことで癒えるらしい。これは是が非でも思い出して、いやな動悸が二度と起きないようにしたい。
●1対4の惨敗の悪夢
思い出すきっかけとなったのは、スコアだ。
日本は、今回も含めて1998年以来5大会連続でワールドカップに出場している。
決定力不足が常に言われるように点が取れないのだが、守備はけっこう固く、4点も取られたことなんてなかった、はずだ・・・。
しかし、サッカー評論家でもない僕のことなので記憶違いもあるかも知れない。そこで、念のため調べてみたら、あった。
2006年ドイツ大会。ジーコ監督のときだ。1次リーグ最終戦のブラジル戦。
奇しくも同じ1対4の惨敗。
ん? なんだか心の検閲を逃れて、表に出てこようとする記憶がある。
●あのときも「奇跡」に期待していたのだった
2006年、何か引っかかるぞ。ジーコ監督。言うまでもなくブラジルの元エース。それがブラジルと因縁の対決。うー、だけどそれだけじゃない。何だったっけ?
もう一度、2006年の戦績を見なおしてみる。
第1戦。オーストラリアに1対3で負ける。
第2戦。クロアチアとスコアレスドロー。
最終戦。ブラジルに1対4で惨敗。
そっくりじゃん!
これは、絶対に今朝と同じような「奇跡」への期待が日本中に満ち満ちていたはずだ。
そこで、さらに突っ込んで調べたら、Wikipediaにその記事があった。
グループ最下位の日本が決勝トーナメントへ進出するためには、ブラジル戦で最低でも「2点差以上の勝利」が必要となった。(2006 FIFAワールドカップ日本代表)
順位等微妙に違うが、酷似した状況。
そして、結果も似ている。
このときのブラジル戦では、日本は先制点を取って、日本中が「奇跡」を大いに期待したのだが、結局バタバタバタと点を入れられ惨敗した。
今朝は、前半終了間際に、日本の同点ゴールがあり、日本中が「奇跡」を大いに期待したのだが、結局バタバタバタと点を入れられ惨敗した。
そっくりだ(そういえば、監督批判が多かったのも似ている)。
●自己カウンセリングを体験
あまりにも辛すぎる体験だったので、すっかり忘れていたということだ。
ドーハの悲劇も辛かったが、しかし、日本があと一歩でワールドカップに届くという手応えを得たのも確かだ。それに、あれは引き分けで惨敗ではない。
今日以外、唯一の3点差以上の惨敗を僕は記憶の奥底に封じ込めていて、それが嫌な動悸のような神経症的な症状につながっていたのだが、同じような惨敗を目の当たりにして思い出し、今はすっかり克服した。
まさに、自己カウンセリングを今朝体験したのだった。
●日本は弱くないが、強くもなっていない
ところで、はじめて日本がワールドカップに出たときを覚えておられるだろうか?
僕は、日本が世界で恥をかかなければいいとだけ思っていた。何しろ、ワールドカップなんて長い間見果てぬ夢だった。
メキシコオリンピック(1968年)に銅メダルを取ったあたりで、一度届きそうになったが、あの銅メダルメンバーでもいけなかった大会だ。僕が生きている間に出られるなんて思ってもみなかった。
世界の強豪を相手に、しかもワールドカップという大舞台だ。0対5とか、ヘタすれば0対10なんて負け方をするんじゃないか。そういうネガティブなことばかり考えていた。
よかったら、この記事を見て欲しい。
http://members.jcom.home.ne.jp/wcp/WCjapan.htm
1998年のフランス大会の1次リーグは確かに全敗したが、決して恥ずかしい戦績ではない。惜敗ばかりだ。ゴンの日本人初のワールドカップでのシュートはいまだに憶えている。
その後も、先のブラジル戦を除くと、決定力はないのは明らかだが、世界の強豪相手に僅差(その差が大きいのだとサッカーを良く知る人はいうのかもしれないが)で戦っている。
今大会の日本代表は「過去最強」というが、戦績だけ見ていたらそんなことは言えないのではなかろうか?
僕は1998年以来、つまりワールドカップに出るようになって以来、強くも弱くもなっていないと思う。確かに中盤の層は厚くなり世界で戦える選手も増えたが、守備はむしろ弱くなり(秋田とか井原とか宮本とかを考えると)、ストライカーは相変わらずいないということではないだろうか。
●欲しいのは日向小次郎
そういえば、今の日本代表は、『キャプテン翼』(僕が高校生のときに連載が始まった!)の影響でサッカーを始め、世界を志した選手が多いと聞く。
攻撃的ミッドフィルダーに名選手が多いのは、そのせいだろうか?
今日、松木安太郎氏の解説(ほとんどが飲み屋でくだまくオヤジみたいだったが)を聞いていて納得したのは、ドリブルでペナルティエリア内に突っ込んでいかないとチャンスは生まれないという話だった。
だけど、それができる選手がいないんですよ(せいぜい岡崎か香川?)。
日本に欲しいのは、大空翼(だけ)ではなく、日向小次郎なんだろうなあ、と思った。
それこそ日本の見果てぬ夢だが、今日の試合を見て悔しい思いをしたサッカー少年から今後大型ストライカーが出てくるだろう。それに期待したい。