【自分軸ブランディング】ブランド評価と自分軸
前回は、ブランド・マネジメントと自分軸というテーマで話をした。
今回は、ブランド評価と自分軸というテーマでお話しする(再掲下図参照)。
●ブランド評価と自分軸
ブランディング活動チェックリスト(以下、チェックリスト)を見ると、ブランド評価の項目は13個ある。
その13個と自分軸の関係を示したのが、下図である。
項目はすべて、ブランドの現状を把握する指標となっている。
●ブランド評価を考える手順
ブランド評価を考える手順は以下の通りだ。いつものとおりだが、念のために書いておく。
- 大前提として、自分軸を考える
- チェックリストの№11~23の順に、自分軸の当該項目と突き合わせながら、(図では省略しているが)チェックリストの「現状評価と改善策」の欄を埋めていく
- 全く埋まらない欄があれば、ブランディング活動が行われていないということのなので、方針を決め、行動計画を立てる(評価においては、「行わない」という判断もあり得る)
- 埋めることはできたが不満足な欄があれば、同様に方針を決め、行動計画を立てる
- 行動して結果が出れば、チェックリストに反映し、自分軸にフィードバックすべきことがあればする
●評価基準と目標は衆知を集めて決定する
評価指標が存在している場合、重要な事は評価基準を決めるということだ。
売上、利益など明確に定量的な指標であれば、絶対的な数字を決めればいいが、見れば分かるようにどれも定性的な指標である。なので、何らかの形で数値化することが必要となる。
ここで、勘違いしやすいことについて書いておく。それは、数値化と定量化の違いだ。
定量化とは、数字で測定できるものについて、明確に値を決めること。売上などはそのような指標なので、年商10億円とか、売上前年比120%とか、明確な数字を決めることができるし、数字を決めることが定量化である。
数値化は、本来数字で測定できないものについて、数字で表現できるようにすることである。5段階や10段階の評価基準を決めることが数値化の例である。あるいはリスクの発生確率のような本来は良くわからないものを「えいや!」で決めるのも数値化の例に挙げていいだろう。
ブランド評価においては、「認知されているか」というような定性的な(もっと言えば曖昧な)評価になるため、これを何とか数値化しなければならない。
たとえば、5段階で評価するというのが常套手段だ。一例を挙げる。
- 任意に選択したターゲット100社聞いて、10%未満が知っている
- 同じく、10%以上25%未満が知っている
- 同じく、25%以上50%未満が知っている
- 同じく、50%以上75%未満が知っている
- 同じく、75%以上が知っている
実に単純な例だが、実際には地域と組み合わせたりなどもう少し複雑な評価基準になるだろう。
こういう評価基準は、なるべく一人では決めないことが重要だ。できるだけ関係者を集めて、衆知を集めて決める。その決定過程で状況が共有されて、ブランディング活動の方向が揃うのである。
目標もみんなで決める。昨年度の実績では2だったので(状況の共有)、今年度は3を目指す(方向性の共有)というような感じだ。
●使う指標は自分軸との関係で決める
指標の中には「必要か?」という判断をするものが、5つある。
これは、自分軸の「何を」をベースに判断する。
私のクライアントの建築部品製造業者では、「耐久性」は必要ないと判断した。自分軸(商品軸)を見る限り、高い信頼性は求められるが、たとえば気温が60℃になっても歪まないなどというレベルは求められていないからだ。
「耐久性」は「信頼性」とは違うもので、たとえば高さ1mから落としても壊れないPCとか、氷点下45℃でも使用できるタブレット端末など通常あり得ない強度をブランド価値とする場合に使用する指標である。
ルイ・ヴィトンなどは、耐久性もブランド価値に含めているようだが、他のカバンの高級ブランドはそのような部分では勝負していない。
自分軸にないブランド評価まで高い点を求めても、それには全く意味がないのである。
次回は、「構築・展開」と自分軸の関係について書く。