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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

物覚えが悪いと嘆いている人のための訓練法

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営業力向上のためのメルマガを書いています。その読者から、物覚えが悪いのだけど、いい勉強法がないかという相談を受けました。

「掲載不可」ということでメールで返事を書いていたのですが、肝心の勉強法を書こうと思ったときに、相手のメールアドレスが携帯かスマホのものだと気がつきました。かなりの長文なので、変なところで改行されると(メーラーが勝手に改行するのです)読みづらいだろうと思いました。

そこで、その勉強法をここに書き記して、相手にはここのリンクを送ることにしました。

 

●多少物覚えが悪くても困らない

 

世の中には、数秒前のことも忘れてしまうなどという疾患もあるようで、そのような方は本当にお困りと思うのですが、通常言うレベルでの物覚えの悪さであれば、ほとんど困ることはありません。

実際、僕は本当に物覚えが悪く、日常レベルで支障をきたすことも多々あります。特に、人の名前を覚えられないのは致命的レベルです。

しかし、今まで物覚えが悪いことでビジネスに大失敗したことはありませんでしたし、試験などでも好成績を収めてきたほうだと思います。

相談者も、物覚えが悪い上にマニュアル通りにしか話せないので営業が辛いということを書いておられましたが、相談の文章を読んでいる限りでは、物覚えが悪いというよりも、自分の考えをまとめるのが苦手なのだと思いました。

おそらく「マニュアル通りにしか話せない」のが問題であって、「物覚えが悪い」のはあまり問題ではないのです。

たとえば、営業力向上のためのメルマガを共同で書いている営業コンサルタントの吉見範一氏もけっして物覚えが良いほうではありません。僕以上に人の名前を覚えられません。そんなことでよく35年以上トップ営業を続けてこられたなと思うこともしばしばです。

しかしながら、人の名前を覚えられるかどうかなんて営業成績とはあまり関係ないのです。保険や自動車などBtoCの営業であれば多少関係あるのかもしれませんが、BtoBでは訪問先が少ないので、3回も通えばさすがに覚えます(覚えるまでは直前に名刺を目に焼き付けるようにしますが)。そのぐらいの(つまり平均以下の)記憶力で十分です。

では、吉見氏や僕は何に優れていたかといえば、それは自分の考えを瞬時にまとめる能力です。俗な言い方をすれば「頭の回転が速い」というやつです。

 

●記憶力で勝負するのは得策ではない

 

頭の回転が速ければ、必要最低限の記憶だけで自分の考えを組み立てることができます。営業で言えば、自由自在に営業トークが組み立てられるということで、そもそもマニュアルに頼る必要がなくなります。

そして、そのほうが人間味が出るので、営業成績も良くなります。

一例を挙げましょう。営業の話ではないのですが、共通点はあります。

最近行っていないのですが、銀座8丁目に知る人ぞ知る、安くて美味しいワインを飲ませてくれる(一応は)イタメシ屋があります。

僕は記憶力が悪いので、ワインの薀蓄を覚えようという気持ちはありません。ただ、美味しいワインが出てくればいい。なお、基本的にグラスで飲む店です。

ここのマスターは年間5000杯ぐらいは試飲すると言っていました。ワインに関してはプロなので、お任せすればいいわけです。

そこで僕はいつもこのように言います。「今日は6杯飲みます。最初は白、残りは赤。赤はだんだんボディが重くなるようにしてください」

こういう客を喜ぶわけです。勝手に薀蓄を嬉しそうに語ってくれるし(そして実際に役に立つ話です)、ブログ用の写真なんかも撮って撮ってという感じです。時には、「これは取っておきたかったんだけど、適当な重さのがなかったので、泣く泣く封切りしましたよ」みたいなサービスまで。

僕のワインの知識は、白と赤とロゼがあるということと、ボディの軽重というものがあるということ、その程度です。でも、楽しめるし、歓待してもらえます。

ところが、彼女連れでワインの薀蓄を語っていた客には、マスター辛く当たっていましたね。まあ、僕が聞いていても半可通の薀蓄で、この店でロマネコンティとか頼んじゃダメでしょうという感じなんです。だって、少しでも安くて美味しいワインを飲んでもらおう、そして自分が発見したワインを褒めてもらおうということで、このマスターは年5000杯も試飲しているわけですから。

そして、僕は知識は全くないけれど(記憶できないので)、しかし、マスターが喜んで客に最高のサービスをするにはどうしたらいいかということを一生懸命考えて、さきほどのセリフを見つけたわけです(最初に見つけて以降は、こればっかりですが)。

また、注意してほしいのですが、このセリフで僕は僕の考え(要望)を瞬時に明確に伝えています。

こういうことを僕は「頭の回転」と言っています。特別なことではないけれど、的確なことを言えればいいのです。

ちょっと例が営業から離れすぎましたが、人間相手のことだから同じことです。

相手が何を求めているかを瞬時に判断して、それにあったトークをすれば、いい関係になれます。

しかし、記憶に頼る人にはこれはとても難しいことに見えるようです。ましてや、彼女の前ではロマネコンティとか言っておけばいい、なんてマニュアルに頼るようでは最悪の結果になります。

 

●頭の回転を鍛えるほうが(僕は)楽だった

 

ところで、世の中の人は、頭の回転は生まれつきで、記憶力は鍛えられると思っているようです。

しかし、あくまで僕の個人的見解であり、脳科学に基づくというようなものではありませんが、経験上逆ではないかと思います。

僕は記憶力についてはたくさんの本を読み、全部試してみましたが、まったく向上しませんでした。しかし、頭の回転は、脳を使えば使うほど速くなると思われます。

もっと言ってしまえば、物覚えが悪いと思っている人は、頭の回転の方に賭けるしかないのではないかと思ったりもします。

そこで、頭の回転を速めるための訓練法をお伝えします。

 

●新書を一冊個条書きにしよう

 

先ほど、「自分の考えを瞬時にまとめる能力」がある人を、頭の回転が速いと書きました。

奇抜なアイデアが次々と湧いてくる人も頭の回転は速いのでしょうけど、日常レベルではそんなことは必要ありません。

考えをまとめるというのは、文章を書けるということです。うまい文章である必要はありません。分かりやすければいい。

分かりやすい文章の定義も様々です。ここでは、話の骨格がはっきりしているということにしておきます。

そうであれば、タンタンと文章が書ければいいのです。

この"タンタン"というのは、僕の造語です。漢字で書けば、"短単"です。一文一文を短く、また1つのことだけを書くようにしようという意味です。

巧い文章にはなりづらい。でも、確実にわかりやすくなる方法です。

この究極の形が、個条書きです。

実は、自分の考えを瞬時にまとめられない人の共通点は、個条書きが苦手だということなのです(森川調べ。なお、これは要約が苦手ということでもあります)。文章の幹と枝葉の区別がつかないんですね。

しかし、こんなことは訓練次第です。僕は、子どもの頃に要約や個条書きをする訓練を散々やらされました。今では無理やりやらせてくれた先生に感謝しています。

また、あまりにも文章がひどい部下にも、この訓練をやってもらいもらいました。実際効果はあるようです。

これからやろうという人にお勧めするのは、新書を1冊個条書きにすることです。

毎日1ページ、10分でいいです(慣れてくれば1ページ3分~5分で終わるようになります)。1年経たないうちに1冊分の要約が完了します。

そのときには、やり遂げた自信と実際に頭の回転が速くなっている(自分の考えを瞬時にまとめられるようになり、文章力も向上している)ことを実感するでしょう。

また、その本に関してはほぼ完璧に習得できているという、確実な成果も残っています。

 

●実例を示します

 

とはいえ、何をしていいのか分からない人もいると思います。そこで実例を示します。

手元にあった『コーチングの技術』(菅原裕子著、講談社現代新書)から1ページ分引用して、実際に個条書きをしてみます(漢数字は算用数字に直しました)。

テニスではなく「バウンド・ヒット」を

 1988年の夏、私と同僚たちは、コロラドの大自然の中、コーチングを学ぶためにあるホテルの研修棟附属のテニスコートにいました。とはいえ、テニスのコーチになろうとしていたわけではありません。私たちが勤める会社の年中行事であるマネジメントセミナーの、その年のカリキュラムが「コーチング」だったのです。
 ビジネスにおけるコーチングの本質を学ぶために、私たちの会社はある講師を招いており、いよいよそれを実践するためにテニスコートに出たのです。それに先立って、私たちは講義を受けていましたが、実際に体験するまでは何を聞いたのかさえ印象に残っていませんでした。
 コートに出た私が最初に試みたのは、「テニスをすること」でした。そもそもコーチングを学ぶためにテニスをやること自体気が進みませんでしたが、これもプログラミングの一部です。やらなければ終わりません。とにかく、何とかうまく切り抜けたいと思っていました。
 私はラケットを構え、テニスをしようとボールを追って走ります。ところがボールはラケットに当たりません。たまたま当たっても、かする程度か、そうでなければあらぬ方向へ飛んでいってしまいます。(前掲書 P12~P13)

実際の本では、「へ飛んでいってしまいます。」の部分は次のページですが、このような場合は、一文の終わりまでを含めてください。

では、箇条書きにしてみましょう(正解があるわけではありません。あくまで一例です)。

  • 1988年、私はコロラドで、会社のマネジメントセミナーとして「コーチング」を学んだ
  • ビジネスコーチングの本質を実践するために我々はテニスコートに立たされた
  • それまで受けた講義はあまり印象に残っていなかった
  • コーチングを学ぶためにテニスをやることは気が進まなかったが、とにかく早く終わらせたいと思っていた
  • 私は「テニスをすること」を試みたが、まったくうまくいかなかった

こんな感じで、枝葉は切り捨てて、最低限の情報だけ残していきます。1つ1つが"タンタン"となっていればOKです。そうなっていれば、個条書きだけ読んでも、話は伝わります。

 

最初は上手にできなくても構いません。続けるうちに必ず上達します。

そして、こうやって人の考えをまとめることができるようになれば、自分の考えも簡単にまとめられるようになります。

そうなれば、物覚えが悪いからダメだと思っていたのだが、そうではなかったとはっきりと分かると思います。

まあ、ダメでも失うものはありません。本1冊がほぼ完璧に把握できたという成果は必ず残ります。

ということで、完璧に把握したい本を選んで、チャンレジしてみてください。

 

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