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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

気が楽になる仕事術~緊急な仕事だけやればいい

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僕は時々、「あんたの書いてるもんは冗談なのか本気なのかよく分からん」と言われます。だいたいまじめに書いているつもりなのですが、今回は冗談に取られそうなので先に断っておきます。大真面目です。

 

●僕は仕事術の本を真に受けて神経がやられた

 

まあ、こういうのは個人差があるもので、仕事術の本の通りに生きているという人を否定するわけじゃないんです。それどころか、勤勉で肉体的にも精神的にもタフな人にはずっと憧れています。

ただ、僕みたいな心の弱い人もたくさんいると思うので、そういう人のために書いておきますと、仕事術の本(ライフハックみたいなやつ)をあまりまじめに受け取ると、昔の僕のように神経症になる可能性があります。下手すると鬱になる人もいるのではないでしょうか。

楽をするために仕事術の本を買ったのに、読んだらやれないことばかり。これは俺って本当のダメ人間ではなかろうか?

こういった自己嫌悪が大きなストレスになり、気が付いたら神経症(今は不安障害とかって言うみたいですね)。レキソタンとかデパスとか、おなじみの薬のお世話になるというわけです(えっ! なじみじゃない?)。

 

●重要度大で緊急度小の仕事をやる時間を取ろうなんて言われても

 

僕がやられたのは、これだけではないと思うのだけど、下図のような考え方。

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よくあるやつです。どんなタスク管理術の本にも載っていそうな。

まずタスクの一覧表を作成し、一つ一つのタスクを重要かどうか吟味する。次に緊急かどうかを吟味する。

すると、すべてのタスクが上図のマトリクスの中のどこかに落とし込まれるわけです。

それぞれの枠内での指針は書いてある通りなので、それに従って粛々と仕事を進めればいい――はずなんですが、ちょっと待てよ。「重要度大で緊急度小の仕事をやる時間を作れ」なんて言われても......。

これってだいたい無理なんです。緊急の仕事はやはり先に終わらせなければいけない。

しかし、この手の本にはだいたいこう書いてある。「重要度大で緊急度小の仕事というのは、未来の仕事を効率化するための仕事である。これをやる時間を取れないといつまでたっても楽にならない。」

というわけで、緊急の仕事を抱えまくっている我々は、鶏が先か卵が先かなんて論争が頭をよぎりながらも、いつまで経っても楽にならないということになります。

こうして、神経をやられるわけです。

 

●こう考えれば楽になる

 

楽になるために読んだ仕事術の本で神経をやられる。

こうなる人は、本が正しくて自分が間違っていると思いがちなんだけど、実は本が間違っているのだと思えば打開策も浮かんできます。

で、僕は今は下図のように考えています。

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「残念な人」シリーズの著者が見たら、「本当に残念な人だ」と言うに違いないでしょうが、でも、これで僕は楽になったし、締め切りも常に守っているしで、全然問題ないわけです。

若干解説しましょう。

要するに、緊急のことをどんどんこなせばいいということだけです。それも気の向いたことから。

よく仕事に優先順位をつけろと言いますが、僕に言わせればナンセンスです。

実を言うと仕事に優先順位をつけるというのは、とても難しいことだからです。

以前、あるシステム開発プロジェクトが暗礁に乗り上げ、マネージャーだった僕は客先に交渉しに行きました。そのとき、部長から指示がありました。「お客さんに、タスクの優先順位を1番から順につけてもらえ」と。

「できっこねえだろう」と内心思いましたが、部長命令です。そのままお客さんに頼んだら「できっこねえだろう」と叱られました。

ギャグのようですが本当の話。タスクの優先順位などつけている間に終業時刻になってしまいます。

仕事は基本的に、緊急かどうかで判断すればいい。

重要度小で緊急度小のものは、めったに緊急度も上がらないので放っておけばいい。

重要度大で緊急度小のものは、ほとんどが緊急度が上がってきますからそのときやればいい。中には重要度が小になるものもあるので(意外と多いものです。時間が解決してくれるというやつ)、そうなればますます放っておけばいい。

ここで重要なのは、仕事の重要度なんて自分では考えていないということです。時間が経てば、自然に振り分けられるのです

「凡事徹底」という言葉もあります。これなんかは仕事に重要度をつけるという考え方とは正反対ではないでしょうか。

僕はこの考え方で本当に困っていないし、タスク管理に対するストレスもなくなりました。なぜなら、実質仕事が減るからです。

 

●マネジメントにおいても同じ

 

それは、若手社員とか個人事業主の考え方だろう、マネジメント層は違うはずだという反論もあるでしょう。

そんなことはありません。まったく一緒です。

マネジメント層においては、緊急の仕事が個人プレーヤーとは違ってくると思えばいいのです。

たとえば社長が会社の将来を考えて事業を計画するなんていうのは、もちろん最重要ですが、最緊急の仕事でもあるはずです。それがなければ、他の社員の働きはまったく無駄になるおそれもあるわけですから。

マネージャにとっては今すぐ決めないと部下が動けないようなことが最優先のはずなので、それ以外の仕事は、それこそ部下に任せちゃえばいいのです。

まあ、どうしても仕事に優先順位をつけるという考え方を捨てたくない人は、こう思ってください。仕事の優先順位は、緊急度の順だと。

 

●自分軸がないからしんどくなる

 

結局はいつも言うように自分軸なんですね。

自分に軸がない人は、仕事術の本の奴隷になります。そのとおりにできないときには、まだまだ自分の努力が足りないと思って、自分を責め、疲弊していきます。

自分に軸がある人は、仕事術の本を批判的に読めるようになります。批判といってもネガティブに読むということではありません。カントの「純粋理性批判」のように、それに対してじっくりと考えるぐらいの意味です。

僕だって重要度と緊急度のマトリクスというベースになるアイデアは共有しているのです。その上で、自分に合うように考えてみたら、自分なりのタスク管理術ができちゃった。これが批判的に読むということです。

批判的に読むためには、自分の拠り所が必要です。拠り所がなければ、そもそも自分に合わせるといっても、合わせる自分がありません。その拠り所が、自分軸なのです。

もちろん、僕のやり方を批判的に発展させてもらって構いません。もし、僕のやり方で納得してしまったとしたら、早く自分軸を作ったほうがいいという兆しかもしれませんよ。 

 

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