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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

コンデジでも月面写真は撮れる

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月面を写した写真を見て、あれって一眼デジカメ+高倍率の望遠レンズでないと撮れないんだろうなあと漠然と思っている人は多いのではないだろうか?

恥ずかしながら、僕はそう思っていた。

ところが、コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)でも撮れるんです。

論より証拠。写真を見てください。

2012112101.jpg

これは昨晩、SONYのCyber-shot DSC-HX5Vで撮影したもの(詳細な撮影データはあとで載せる)。

このカメラは、2010年に発売され、現在では生産中止になっている。つまり、最新のカメラではない。それでも撮れる。たぶん古いコンデジ(光学3倍ぐらいの望遠ではつらいが)でも、それなりにちゃんとした三脚(数千円で買える)があれば撮れる。

ちなみに僕の三脚は、SLIK U7700という製品だ。定価は12,000円ぐらいだが、先ほどAmazonを見たら1,932円という出品があった。価格.comを見ても、1,980円で買える店が並んでいる。僕が5年前に買ったときも、マップカメラで3,000円代だった憶えがある。

なので、今持っているコンデジと2,000円ぐらいで買える三脚があれば、上のような写真は誰でも撮れる。腕などまったく関係ない。設定だけの問題だ。

ただ、そのためにはカメラのリテラシーが必要だ。だが安心してほしい。そのリテラシーは大したことはない。

 

カメラのリテラシーはたった3つ

 

カメラは奥が深い。ただシャッターを切れば、誰でも写真は撮れるのに、プロと呼ばれる人たちがいるのがその証拠だ。

「写真は構図7割、明暗1割、加工1割、カメラ・レンズ性能1割」。僕の友達で、ローカルな写真展ではあるが、何度も入選している男の言葉だ。

良い写真が撮れるかどうかは、ほとんどセンスと経験の領域だという意味だろう。

センスの領域について語る資格は僕にはないが、そのセンスを支えるリテラシーについてはいちおう語れる。

リテラシーとは、もともとは「読み書き能力」という意味。(日本は例外として)先進国でも読み書きができる人が普通になったのはつい最近のことだから、あなどれないことではあるのだが、初歩という意味と捉えていいだろう。「ちょっとした壁のある初歩」がリテラシーのニュアンスである。

その意味では、コンピュータ・リテラシーという言い方はきわめて適切である。コンピュータに精通している人には何でもない初歩レベルのことも、壁を感じる人には難しい。ただ、分かってみれば何でもない。まさにリテラシーである。

これが、絵画や音楽だと、リテラシーを身につけるためには途方もない努力が必要だ。デッサンができるようになるまで何年もかかる。楽器も弾きこなせるまでに何年もかかる。その上でようやくセンスの領域に入っていく。

その点、カメラのリテラシーはたった3つだ。数時間、試行錯誤すれば誰でも身に着く。そこから先がセンスなのは同じだが、リテラシー段階はすぐに終わる。

その3つとは、手ぶれ防止、ピント合わせ、露出補正。これだけ。順に見ていこう。

 

手ぶれ防止

 

手ぶれというのは、プロでも必ず起こす。あなたがゴルゴ13(注)でもない限り、手ぶれは必ず発生する。

カメラをかじったことのある人が、手ぶれをいかに発生させないかに腐心するのはこのためだ。

三脚が使えるシーンであれば、必ず使う。ただ、三脚でもシャッター押す時にカメラが多少動くので、それを防止するためにセルフタイマーを使う(静止している対象にしか使えないが)。ケーブルレリーズというシャッターを押すときの衝撃を緩和するアクセサリーを使う人もいる(無線のレリーズもある)。

三脚が使えない、あるいは持参していないのであれば、手すりやベンチ、テーブルなどで支える。

それもないときは、できるだけ脇を締めて、肩の力を抜く。首にかけるストラップがあれば、ストラップをピンと張るようにして撮るのも手である。

手ぶれ防止機構がついているカメラであれば、できるだけ使うようにする。

動きを出すために手ぶれ効果を狙った写真もあるが、それ以外では手ぶれはみっともない。

(注)ゴルゴ13の射撃の腕前を見る限り、彼は手ぶれはほとんどない。その彼でも銃身のブレを防ぐために、羽根で触ったぐらいの力で動作する引き金を発注したことがある。プロ中のプロはここまで手ぶれを恐れるという好例である。

 

ピント合わせ

 

手ぶれ写真はみっともないが、ピントが合っていない写真は恥ずかしい。

僕は仕事の撮影でピントが合っていない写真を撮ってしまい、それでカメラの勉強をしなおしたという、とてもイタい経験をしている(人間、追い詰められないと勉強しない)。

仕事と言っても、集合写真を撮る程度のことなので、いつもAutoでストロボを焚かないようにして撮っていた。枚数さえ撮れば、それで問題なかったのだ。

失敗した原因は、オートフォーカス(AF)とマニュアルフォーカス(MF)の切り替えスイッチがあって、それがいつの間にかMFのほうになっていたことだった。普段は絶対さわらないスイッチなので気がつかなかった。MFでピント合わせをしなかったので、すべての写真がピンボケになったorz。

ああ。恥ずかしい。

さて、Facebookなどの掲載写真を見ていると、ピンボケ写真がすごく多い。

プロやハイアマチェアのレベルで見たピンボケはかなり厳しいもので、僕などが見るとこれってピンボケなの?と思うようなものもある(拡大すれば、たしかにピンボケなのだが)。

しかし、Facebookのは僕が見てもあきらかにピンボケしている。例の失敗から、ピンボケ写真にトラウマができてしまった僕は、かなり気持ち悪くなってしまう。

動いているものの写真ならまだしも、懇親会かなんかの集合写真でそんなのが多い。

よほどピントが問題になる写真以外なら、まずはAFにしよう(普通はなっているはずだ)。

そしてデジカメなら、ピントを合わせたいところを真ん中にもっていき、シャッターを半押しする(AFロックという)。半押しのまま、構図を適切なものにして、シャッターを押しこむ。

このAFロックをやらない人がとても多い。これは必須だ。AFロックができないシチュエーションもあるが、それ以外では必ずやる。

なお、三脚で構図を固定すると、ピントを合わせたいところが真ん中に来ないことがある。この場合は、真ん中でないところにピントを合わせる機能があるはずなので、マニュアルを読んでほしい。

コンデジのマニュアルは紙でもついてくるが、そちらは入門編で、本物のマニュアルはPDF(添付のCDかメーカのサイトにある)で提供されていることが多い。自分のカメラを使いこなせるようになりたい人は必ずそれを読むことだ。

なお、スマホの場合は、液晶画面上でピントを合わせたいところに指でタッチすると、そこにピントが合うようになっている。

プロでもAFを使うことがほとんどのようだ。MFはAFでどうしてもピントが合わないときにだけ使うのが無難だ。

とにかく、僕に見分けがつかないレベルで結構ですので、Facebookに投稿する人はピントを合わせてください(僕の過去の写真についてはゆるしてくださいm(__)m)。

 

露出補正は積極的に

 

リテラシーの最後は露出補正だ。

露出について分からない人もいるかもしれない。その場合は、下の記事をまず読んでください。

▼「明るいレンズ」って???――これだけは知りたいカメラの初歩
http://blogs.bizmakoto.jp/toppakoh/entry/5767.html

さて、デジカメであれば、普通露出補正の機能はついているはずだ。詳しくはご自分のカメラのマニュアル(本物のほう)を見ていただきたい。

プロは露出計というものを持ち歩いているらしいが、我々はそこまでは要らない(必要になったら買えばいい)。

今のデジカメの液晶パネルはかなり大きいので、それでだいたいのことは分かる。

露出補正に関してはいろいろなセオリーがある。本を読んでいると難しく感じるが、自分のカメラで露出を上下に変化させてみれば一発で分かる。結果が液晶パネルにすぐに反映されるからだ。なので、セオリーを勉強しなくても、液晶パネルを見ながら一番いいと思ったところで固定すればOKだ。

ここで重要なのは、測光モードである。

通常は以下の3つのモードがあるはずだ。

  • カメラが自動で判定する――マルチ
  • 画面の一点(通常は中央)で露出を判定する――スポット
  • 画面全体で平均して露出を判定する――アベレージ

 "――"の後は、愛機S9100での呼び方。これはメーカーによって呼び名が違うのだが、以下の説明用に使わせてもらう。 自分のカメラに合わせて解釈してほしい。

AUTOモードだと、通常はマルチになっているようだ。スナップ写真を撮るときには、だいたいこれで問題ない。

しかし、暗すぎたり、明るすぎたりするときもあるはずだ。

そのようなときは、マニュアル露出モード(これだけはコンデジにもあるはずだ)にして、測光モードを切り替えてみてほしい。

測光モードを切り替えた結果は、液晶パネルに反映される。やってみれば違いが分かるはずだ。

月面写真だと、マルチやアベレージでは月が真っ白になってしまう。周囲の真っ暗な空と合わせて適正露出を判断するからである。

スポットに切り替えると、月の表面が見えるようになるはずだ。それから露出補正をすると、液晶パネルでもかなりくっきり見えるようになる。

まだまだ明るいと思ったら、絞り値を大きくしていく。

そうすれば、冒頭の写真のような月面写真が必ず撮れるはずだ。

 

まずはネオ一眼で撮ってみた

 

以上、カメラのリテラシーを説明した。

僕は、これらのリテラシーを駆使して、まずはネオ一眼(FinePix 9100)で撮影してみた。

デジタル一眼でないと月面写真は撮れないという(自分の中の)概念を突き崩すためだ。

2012111903.jpg

まだ頑張れそうだけど、悪くはない。もうちょっと絞り値を上げれば、もっとくっきりしただろう。ちなみにフォトレタッチソフトで若干の修正をした(アンシャープマスク)。

撮影データは以下の通り。

 撮影日時:2012/11/19 20:57
 カメラ:FinePix S9100
 絞り値:F8
 シャッター速度:1/38秒
 感度:ISO-400
 露出補正:-2段
 測光モード:スポット
 プログラム:絞り優先 
 ホワイトバランス:晴天
 焦点距離:300mm(35mmフィルム換算)

ここまで(リンク先も合わせて)読んでくださった方には、上の撮影データの意味もお分かりだろう。

デジタル一眼がなくても、月面写真は撮れるのだ。

 

コンデジでも撮れるはず

 

さて、本当は以上で満足して、ブログに書くつもりだった。

ところが、ある人がネット上でネオ一眼を批判していた記事のことを思い出したのだった。

主旨は、ネオ一眼は見た目は一眼だが、中身はコンデジと変わらない(機能は一眼、性能はコンデジ)ということだった。

僕もそう思う。なので、以前の記事では、まずはカメラの機能をマスターするために中古の安いネオ一眼を買おうとお勧めしたのだった。

それはいいとして、これって考えたら、ネオ一眼で月面写真が撮れるなら、コンデジにだって撮れるということではないか!

で、やってみたのが冒頭の写真です。

こちらはフォトレタッチソフトでの修正は一切していない(注)。

なんとコンデジのほうがずっときれいなわけであるorz。

撮影データは以下の通り。

 撮影日時:2012/11/21 19:16
 カメラ:SONY DSC-HX5V
 絞り値:F13
 シャッター速度:1/50秒
 感度:ISO-200
 露出補正:-0.3段
 測光モード:中央重点測光
 プログラム:マニュアル露出 
 ホワイトバランス:晴天
 焦点距離:250mm(35mmフィルム換算)

S9100は2006年秋の発売。DSC-HX5Vは2010年春。3年半の開きがある。

メーカーはデジカメで不必要な競争をしていると批判する向きもあるが、でも明らかに進歩しているわけだ。

グッジョブ! 日本のメーカー。

でも、不必要な高解像度はやっぱりいらないぞ。ポスターを印刷することなんてないですから(1000万画素を超えるというのはそういうこと)。

(注)厳密にいうと、2枚ともトリミング――写真の一部を切り取ること――だけはしている。ただ、これは普通の望遠レンズでの月面撮影であれば一眼でもする作業だ。

 

記事に共感した方は、ぜひ下記のサイトにもお立ち寄りください。

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