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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

最低価格保証なんてやめればいいのに

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「最低価格保証」なんてまだやってたんだ!?

今朝の情報番組を見ていて、家電量販店ってまだまだ参入する余地があるんじゃないかと思った次第。

M&Aによる大型化が進む中、売上№1を目指すというのは難しいかもしれないが、利益率№1ならいけそうな気がする。

今回は、マーケティング的な観点で、家電量販店という業態について考えてみる。

 

ずは、最低価格保証の実態について。

「めざましテレビ」によれば、最近はスマホで価格サイトの実勢価格を見せて値引きを迫る人が増えているとのこと。

ところが、家電量販店の最低価格保証というのは、近隣店のビラを見てから値付けをするというもので、スマホの画面など見せても、実際には値引きはしてくれない。

しかしお客としては納得いかない。そのため店員が対応に困っているとのこと。

価格サイトに簡単にアクセスできるようになったので、という話だが、僕は2006年ぐらいにノートPCに価格ドットコムの画面を映して、値引き交渉をしたことがある。

場所は、有楽町の某量販店。今はどういうか分からないが、当時の説明はこう。

「うちは、ポイントを値引き分に含んでいるので、価格ドットコムの最低価格より、実態としては安くなっているんです」

よっぽどポイントなんかいらねえ、と言いそうになったが、あきらめた。「最低価格保証」などと謳っているが、インチキとまでは言わないにせよ、スローガンみたいなもんなんだね、と思うことにした。

それ以来、価格サイトを見せて値引き交渉をするなんてことはやめていたのだが、今になってそんなことが流行っているとは・・・。

 

側の言い訳は、ネット上の価格は除くというものらしい。「他店」というのは、あくまでリアルの店舗だというのだ。

ネット店舗はいろいろとコストがかからない分、安くできる。だから店の言い分は分からなくもない。ただ、それはあくまで売り手側の都合であって、買い手の我々には関係ない。

誰だって「最低価格保証」と謳っていたら、一番安い値段を求めるはずだ。価格サイトの値段を見せて交渉しようという気持ちになるのは当然だ。

最低価格保証の店で買い物したあと、ネットでもっと安く売っていたら、すごくがっかりして、自分はなんてバカな買い物をしたのだと自己否定してしまうではないか。

というか、とてもくやしい

最低価格保証などなければ、そんなくやしさを味わうこともなかったのに・・・。

リアルな店舗同士の話と考えるのが当たり前というのは、売り手側の都合だし、それに賛同する人は普段の仕事で売り手側にいて、自分も消費者だと忘れている人(モノを売るのが苦手そうだ・・・)だろう。

一方で店員はどうだろうか。家電量販店の店員もピンキリだけど、家電が好きで、知識もあり、さらにお客に提案できる人は、「最低価格保証」などは迷惑だと思っているに違いない。

最低価格保証なんてものがあるから、お客と変な価格交渉をしなければならない。そんな時間があれば、オーディオやPCやモバイルや携帯プレイヤーなどを愛するお客に、もっといい提案をできるのになあ・・・。

 

て、材料は出揃った。

売上№1は無理でも、利益率№1の家電量販店を作る方法を書いてみる。

家電量販店業界に進出しようと思っているお金持ちはぜひやってみてほしい。成功の保証はできないが、こんな量販店があったら、必ず買いに行くつもりだ。

ますは「最低価格保証」などやめる。

そして、マニアックな知識を持ちながら提案もできる店員を集める。

「最低価格保証に嫌気がさしている店員」に呼びかければいい。うちは知識と提案力が発揮できる店だと言えばいい。そうすれば集まるはずだ。

どこにでもそんな店員はいるものだ。南行徳のY電機にだっている。ミニコンポがほしくなったときに、たまたま捕まえた店員がそんな人だった。一番安いのを買うつもりだったのに、ワンランク上のものを買うことになった。でも、いまだに満足している。

対象顧客は、知識と提案力とアフターケアを求めている人だけに絞る。広告は、その点の訴求に集中する。

周辺機器の品ぞろえと欠品のないことには気を遣う。PCやデジカメなどを買うときには、周辺機器も一緒に買うものだが、重要な周辺機器が欠品だと、それだけで別の店で買おうと思ったりすることもあるからだ。

ポイントによる「囲い込み」はやめて、その分価格から引けば、価格勝負でも戦える。たまったポイントで思わぬ買い物ができるのは確かに嬉しいのだが、最初から安いほうが実はもっと嬉しいものだ。

 

?それってK'sデンキのやり方では?

と思った人は鋭い。実際、僕の周りの営業やマーケのコンサルの間では、K'sの評判がすこぶるいい。ヤマダという巨人がシェアを伸ばす中、けっこう健闘している。東北では特に強いようだ(http://todo-ran.com/t/kiji/10224)。

ただ、K'sの良さは行ってみないと分からない。行ったことのない人は、K'sがそんな店とは知らない。口コミがあって初めて行くという人が多い。

つまり、特化と訴求が今一つ不足している。潜在顧客はいるのだ。彼らを呼ぶためには、K'sよりもっともっと顧客を絞り、店員を尖がらせる。

そうすれば、売上シェアは取れなくても、利益率は上がるはずだ。

それに、何よりも顧客ロイヤリティが違ってくる。

ポイントや価格で顧客を「囲い込もう」と思ったら、ヤマダの土俵で戦うことになる。それでは、コストリーダーであるヤマダには絶対に勝てない。ヤマダの思う壺だ。簡単にひねりつぶされる。

利益を取りに行く。そのためにはロイヤリティの高い、ファンともいえる顧客を増やす。

そのような顧客に対応するためには、スター店員、カリスマ店員も必要だ。従来の家電量販店のスタイルに嫌気がさしている優秀な販売員をどんどん集めればいい。

リピーターが当たり前なら、広告宣伝費を大きく削減することができる。他店と同じ価格でも、利益が違ってくる。

 

に描いた餅と思った人もいるだろうが、マーケティングの基本から考えると、このような「勝ち方」は、セオリー通りだと言える。

いずれにしろ、「最低保証価格」を謳っている店では、僕はあまり買いたくない。ダメな店員にあたる率が往々にして高いからだ(休日だと、そもそも店員を捕まえることすら困難だ)。

そんな店で、ネットより1000円以上も高い買い物をしてしまったら、くやしくて夜も眠れないではないか。

それは価値を価格に求めるからではない。価格しか価値のない店で、価格で失敗したからだ。

 

記事に共感した方は、ぜひ下記のサイトにもお立ち寄りください。

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▼マーケティングで最も大事なことは自分軸を持つこと。
 Who、What、Whyの3Wメソッドで、行き詰まりからの起死回生を!

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