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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

そんな煽りはもう通用しない

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『ヤフー・トピックスの作り方』という本を買った。誠ブログの管理人が、誠ブロガー専用のFBグループで紹介していたのが面白そうだったからだ。

著者の奥村倫弘さんとは直接お会いしたことはないが、内容から察するに硬派のジャーナリストと言えそうな方だ。

僕は告白すると、Yahoo!ニュースやYahoo!トピックスを、適当にニュースをピックアップして広告収入を稼いでいるサービスではないかとバカにしていた。僕同様の人は、本書の第1章を読めば、ぜんぜん違うということが分かるだろう。

第3章を読めば、アクセス数が記事の価値でないことも分かるし、第4章を読めば、「Yahoo!トピックスに載せる方法」なんて惹き文句にだまされることもなくなるだろう。そういう意味では、このブログに通じるところも多い内容とも言える。

※写真はAmazonから転載しました。クリックするとAmazonアソシエイトに飛びますので、そういうのがお嫌いな方はクリックなさらないでください。 

 

回話題にしたいのは第2章「13文字の作り方」という部分だ。

Yahoo!トピックスのPC版では、見出しの制限文字数が13文字となっている(正確には、全角を1文字、半角を0.5文字と数え、13.5文字まで)。

その見出しのつけ方の考え方について書いている。これを読んで、最近疑問に思っていたことの理由がはっきりと分かった。

ある元コピーライター(プチ成功者系の人だ)の教える見出しのつけ方が最近通用しなくなってきたと感じていたのだが、何故だろうと思っていたのだ。

 

13文字にしている理由は、主にYahoo!ジャパンのトップページのレイアウト上の制限である。ただ、人間が一目で目に入れられる文字数は13文字までという研究成果もあるので、見易さの上でも優れた文字数だと著者は言う。

いろいろと細かいテクニックについても書かれているが、重要なのは以下述べる部分だ。

何にでも制約条件があることはいいことで、13文字という制限があるために、記者は見出しに工夫をするようになる。「余計な情報が削ぎ落とされ、何が重要なのか非常に明確になる」と言うのだ。

そうすると何が起こるか。

情緒的な表現は必要ありませんし、驚きを盛り込む表現も必要ありません。それでもなお、クリックしたくなる見出しがあるとするなら、それは見出しに対応する記事やコンテンツそれ自身が力を持っているからだと言えます。(前掲書 P78)

こうも言っている。「福田首相が辞任を表明」という見出しでいいところを、「あの有名政治家が辞任を表明」とする愚について述べた箇所だ。

主題を伏せてクリックさせるこうした手法を見かけたときは、リンク先で得られる満足度が低いことを情報の伝え手自身が確信しているということです。(前掲書P79)

 

こで、元コピーライターの教えてくれたキャッチコピーの書き方をご紹介する。煽り系キャッチコピーでクリック数を稼ぎたい人には必須のテクニックなので、ぜひ憶えてほしい。

ポイントは3つだ(下図)。

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細かいことはいいだろう。3番目だけ補足すると、先に引用した「主題を伏せてクリックさせるこうした手法」の一種と言える。

はじめて聞いたときは、コピーライター氏のノウハウに舌を巻いた。確かにこれならクリックされそうだ。

僕は、元来素直なほうなので、試してみた。たしかに最初の頃はクリック数が増えたように思えた。しかし、しばらくするうちにほとんど効果がなくなった。

その理由は、お分かりだろう。上のほうに書いたこれだ。

 「こうした手法を見かけたときは、リンク先で得られる満足度が低いことを情報の伝え手自身が確信している」

僕自身、リンク先にそれほどひどいことを書いたつもりはないのだが、知らず識らずのうちにこうしたコピーに頼るようになっていたのかもしれない。

それよりもクリックする側のことを考えたらわかりそうなものだ。この手のコピーに期待して、クリックしたら高い確率でゴミ記事に当たる。もうみんな学習してしまったのだ。

高い確率で時間の無駄になる行為をわざわざする必要はない。

これはコピーライティングだけではない。感動とか感謝だとか縁だとか絆だとか、成功哲学でもてはやされている言葉を売りにする連中もそろそろやばいだろう。

みんな気づきつつあるのだ。感動や感謝や縁や絆を本当に大事にする人は、自分ではそんなことを言わないということを。

 

は、誠ブロガーの荒木亮二さんもつい最近誠ブロガーのオフ会で同じことを言っておられた。

煽り系のタイトルでクリックを稼いでも、内容がゴミなら、二度と読みに来なくなる、と。

それ以来、煽り系のタイトルは、よほど内容に自信があるときや、それ自体がパロディーとして笑いを呼びそうなとき以外は慎むようにしてきたが、13文字の制限というのは思いつかなかった。

さっきも同じことを書いたが、重要なことなので改めて書く。制約条件はクオリティーの向上に寄与する。

自分にいろいろとルールを課すことが大切だ。そして自分で課したルールにはストイックになることも。これ以外に職人芸を磨く道はない。

 

ころで、多くの方が本記事の見出しの文字数を既に数えたと思う。もちろん13文字だ。 

このブログは、仕事それ自体を楽しむ人を増やすことを目的に書いています。

なお、僕はこういうことを見聞きして、こういうことを感じたということを書いているだけなので、牽強付会なところもあるでしょうが、大人の心で見逃してやってください。

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