妄想のすゝめ
みなさん、腹の立つこと、うんざりすること、あきれること、などなど多くないですか?
僕は多いです。そんなときには、僕は妄想力を駆使することにしています。
これは楽しいうえに役に立つ。みなさんにも是非お薦めしたい。
こんにちは。ビジネスストーリー作家を名乗り始めた森川滋之です。どうぞよろしくm(_ _)m
といっても、ビジネスストーリー作家なんて何だかよく分からないだろうと思うので、第一回の今回は、簡単な職業紹介となぜ「妄想力」なの?という話をします。
● "ビジネスストーリー作家"は僕の造語?
"ビジネスストーリー作家"というのは、普通にありそうな言葉だけど、僕の造語である。
その証拠が、図1。
▲図1."ビジネスストーリー作家"検索結果(Google)
Googleで"ビジネスストーリー作家"で検索すると、2230万件もヒットする。そんなに候補があるのにもかかわらず、1ページ目すなわちトップ10で僕のサイトが7件ヒットしている(検索日時は、2011年12月24日11時35分)。
特別なSEO対策をしているわけではない。こうなるのは実に単純な理由なのだ。
図1は小さくて見えづらいと思うが、他の3件のどれを見ても"ビジネスストーリー作家"という言葉は使われていない。2ページ目以降も同様。
つまり、Web上で"ビジネスストーリー作家"という言葉を使っているのは、僕だけなのだ。
まあ、ネットなど利用していない作家は山ほどいると思うが、本を出していて、肩書きが"ビジネスストーリー作家"だったとしたらひっかからないわけがないので、僕の造語だと断言してもいいだろう。
もちろん世の中にはビジネスストーリー(ビジネス物語など他の呼び方も含めて)は山ほどある。
ただ、"ビジネスストーリー作家"を名乗る人がいないのは、そういうものを書くのは、コンサルタントだったり、普通のライターだったりするためだ。
言い換えれば、"ビジネスストーリー作家"を職業だと思っている人は、僕以外にいないということだ。いかにも食えそうもない肩書きだし......。
僕の造語であり、しかもそれを職業としているのが僕だけならば、僕が勝手に"ビジネスストーリー作家"とは何かを定義してもいいということになる。
● ビジネスストーリー作家とは?
定義だと大上段な感じもするので、僕のやっていることを説明するにとどめる。
一言でいえばビジネスストーリーを書いているわけだけど、本や雑誌に書くだけではない。
実はこちらのほうがメインなのだが、企業向けに仕事もしている。
商品の導入成功事例、新製品のコンセプト、ビジネスや経済などの用語を解説したメルマガなどなど、こういうものを物語仕立てで書いている。
仕事の流れはワンパターンである。
調査や取材をして理解したことを、物語化して書く。物語は事実ベースのフィクションの場合もあれば、バリバリ実名が載っているノンフィクションもある。これは、企業向けだろうが、本や雑誌に書こうが、一緒である。
まあ、こんな仕事をやっている。
実績などは、HPにまとめたので、興味のある方は見て欲しい。
▼ビジネスストーリー作家森川滋之公式サイト
http://www.s-morikawa.jp/
● ビジネスストーリーは「妄想」が命
ビジネスストーリーを書くためには、取材や調査が大事なのは、あまり説明を必要としないだろう。
では、いい取材や調査に重要なことは何だろうか?
これが意外なことだと思うが、僕は"妄想力"だと考えている。
未熟な頃は取材に行っても、良い質問が思い浮かばなかった。
最低限の調査をし、通りいっぺんの質問を用意していくのだが、いざ執筆の段になると、これも質問しておけば良かったということだらけになりがち。
これがある程度時間に余裕のある書籍の執筆なら追加取材をすればいいのだが、納期の厳しい企業向け記事や雑誌記事だとそうもいかないことがある。やむを得ず、やっつけのお粗末な記事を書くことになったこともあった。
追加取材をしないで、ある程度以上の水準を満たすためには、アウトプットを取材中にある程度イメージできないといけない。
ただ、これは単なるイメージ喚起力、すなわち想像力ではダメで、妄想としか言えないものが一瞬で浮かんでこないといけない。
妄想と想像の違いは何かを考えるにあたって、テレビで関根勤さんがよくやっているものを思い出して欲しい。
関根さんは、妄想が得意である。お題があれば、一瞬のうちに、キャラクターの名前、シチュエーションなどを設定して、ストーリーを作ってしまう。
あれなんです。想像はどちらかというと時間的に停まっている感じがあるのだけど、妄想は時間が動く。まさにストーリー。
関根さんの技量まではいかなくても、あれに近いことを、現場でやれないと良い取材ができない。
必ずしも言語化できなくていい。というか言語化していると現場では遅い。走馬燈のように妄想することが必要。それができるようになると、その場で良い質問ができるようになる。
取材というのは、浮かんできた妄想を、少しずつ現実に起こったことに近似していく作業と僕は思っている。
● 妄想で楽しく生きる
こういう仕事をしているので、僕が妄想が得意そうだということは何となく伝わったのではないかと思う。
ここが重要なところで、僕はみなさんに「妄想のすゝめ」をしたいのである。その僕が妄想が苦手だと話にならない。信じる者は救われる。妄想の大家だと思ってください。
たとえば、電車の中でも、近所のスーパーでも、会社でも、客先でもどこでもいい。どこへ行っても腹が立つこと、うんざりすること、あきれ果てること、などなどいくらでも転がっている。
いちいち腹を立てても、まともに相手にしても、ストレスがたまる一方である。
このようなときには、その原因になった相手を主人公にした妄想ストーリーを作ればいい。
見ず知らずの人なら勝手に名前をつければいい。年齢なんかも想像する。家族構成なんかも考える。知っている人なら設定は現実からいただく。
たとえば、高速道路でトラックに無理な割り込みをされたときはこんな風にやる。
派遣でトラックを運転している青木浩一(仮名)34歳は、3つ年下の奥さん英子との間に長男太一が生まれたばかりで張り切っていた。稼がねばという気持ちで無理なシフトをしいてもらっている。正社員の労務管理は厳しいが、派遣はゆるいのだ。
今回の仕事は、焼津で水揚げされたサバを東京の水産会社に運ぶこと。これがまた、福岡から静岡まで家具を運ぶ仕事をやったあとに路上で2時間だけ仮眠してすぐというむちゃくちゃなもの。
焼津から東名高速に乗ったが、さすがに眠くなる。子供が生まれたばかり。事故るわけにはいかない。沼津SAでちょっとだけ仮眠を取ることにした。
ところが30分の仮眠のつもりが、目が覚めたら1時間半が過ぎていた。
やばい。サバは足が早いのだ!
「サバが腐る、サバが腐る」とうわごとのようにつぶやきながら、浩一はトラックを急がせた。
追い越し車線をかっとぶ浩一は、綾瀬バス停付近でトラックを追い越そうとしてモタモタしている習志野ナンバーの軽自動車に勢いを止められる。
「サバが腐る、サバが腐る」 荷台がサバの腐臭や腐った汁でいっぱいになったのを想像した浩一。つぶやきはいつの間にか叫びに。
当然のごとくパッシングとホーンの嵐。ようやくトロい軽が左車線によける。前が空いた浩一は、フルスロットルで飛ぶように走り去っていった。
軽自動車を運転していたのが僕であることは言うまでもない。
妄想なので、事実誤認があってもいい。派遣のシフトがどうかなんて、やったことがないから実は僕は知らない(ただ、実際の取材では、このような妄想が浮かんだら、派遣のシフトは実際にはどうなのかを確認する。こういうのが良い質問であり、それは妄想なしでは浮かばないのだ)。
理不尽に怒る顧客や上司、通行人に何やら怒鳴っている酔っ払い、満員電車で人の背中を机に文庫本を読むOL、などなどがいたらもうチャンス。怒りを妄想に変えて、楽しむことができる(ただし、にやつかないほうがいいのは言うまでもない)。
つまり妄想力が身につけば、ストレスは激減し、しかもビジネスに必要な力も身につくのである。
このブログでは、本や新聞や雑誌やテレビなんかで僕がひっかかることがあったら、それを妄想化していく。あなたは読むだけで、いま一番求められている力である"妄想力"を身につけることができるであろう。
(注)今回のロジックがまったく分からなくても大丈夫。僕もよく分からない。大事なのは妄想力の養成だ。