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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

11月27日 王者としての自覚~儒教的資本主義?(#553)

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経営者は、会社のリソースを意のままに動かす権限を持っているが、同時に愛情と公正さと十分な配慮を持って、最適に活用し、経営体を永続させなければいけない――松下幸之助さんはこのように言います。

これは、徳治主義といわれるものとまったく同型で、きわめて儒教的な考えではないかと思います。

1980年代から90年代にかけて、韓国・台湾・香港・シンガポールなどの国が一代経済発展をしたとき、アメリカの研究者たちはこれは儒教が関係しているのではないかと指摘していました。

この意見には反論もあるようですが、少なくとも欧米型の資本主義と東アジアのそれとは大きな違いがありそうです。

上記に日本が含まれていませんが、これは日本がいち早く経済成長に成功したからで、これらの国以上に日本は儒教的な資本主義かもしれません。

民主主義・開明主義の代表である福沢諭吉が儒者としても当時の日本トップクラスだったこと、日本の資本主義を作ってきた渋沢栄一が論語の研究者としても有名だったこと、また戦後の経営哲学を創り出した松下幸之助さんが明治生まれで儒教的道徳をそのベースに色濃く持っていた、などのことから日本の資本主義や会社経営の考えた方は欧米とはかなり異なるものとなり、後発の東アジア諸国にも影響を与えた――というのは私の考えですが、大きく的を外してはいないと思います。

以下のような点が、儒教的(?)資本主義には特徴的ではないかと思います。

  • 株主第一ではなく、ステークホルダーすべてに気を配った経営
  • 終身雇用をベースとした家族的経営
  • 会社を売買するという発想が希薄(M&Aでも、「会社を買う」という考えは希薄)
  • (上と関連するが)IPOよりも永続を上位とする
  • プロ経営者よりも従業員社長がふつう

以上は、日本でも崩れてきているもの、他の東アジア諸国にはあてはまらないもの、逆に欧米でも当てはまる会社があるもの、それぞれでしょうが、特徴的であるということでは変わっていないように思います。

少なくとも、上記に当てはまる会社が多かったときのほうが日本が強かったのは明らかで、グローバル化の進展に伴い、主にアメリカになし崩しにされた結果、日本が弱くなったというのがネガティブかもしれませんが私の考えです。

逆にアメリカの強い会社は、日本的情報という意味では違いますが、上のような特徴を備えてきているように思います。

ちなみに終身雇用というのは、大恐慌の時代に松下電器がはじめたものです。それまでに、そんな慣行はなかったのですが、それで松下が成功したので、日本中が真似をしたというものです。

日本の商家が終身雇用だったのではないかという人もいますが、それは歴史的事実ではない、単なる誤解です。ずいぶんと新しいものなのです。

今日の一言)日本式(儒教的)経営はもっと見直されていい。

 

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見込み客には会えるのに、なかなか提案や見積に進めない営業マンっていますよね?

ほとんどの場合、初回訪問で持っていく商談ツールに問題があるようです。

まさかとは思いますが、会社から与えられた商品パンフレットなんかで説明してはいないですよね?

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本年の一日一言は、『松下幸之助 成功の金言365』を毎日1ページずつ読んで、自問自答するという趣向です。

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