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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

『幸福の商社、不幸のデパート』~将来に漠然と不安を持つ人は必読

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将来に漠然と不安を抱えている人は必読の本を読んだ。

まさにそのようだった私は、読了した翌日、久しぶりに爽やかに早起きできた。

水野俊哉さんの『幸福の商社、不幸のデパート』のことである。

私はタイトルを見たときに、デパート業界に関する批判本かと誤解したのだが、そういう本ではまったくない。

著者の水野さんの実体験に基づき、幸せとは何かについて考察した本であり、どんなに絶望的な状況でもあきらめなくていいというエールを送っている本である。

水野さんは、2000年代前半のITバブルのときに、IPO一歩手前までいった青年実業家だった。

その当時の華やかなパーティーの様子や、社長同士や怪しい人物たちとのつきあいの場面は、経験した者ならではの描写で、リアリティがある。マンガやドラマでしか見たことのなかった世界が現実にあったんだ!という感じである。

それが、社内の裏切りに会い、あっという間に没落。3億円の借金を抱える身となる。華やかなときの描写に比べると、不幸の描写はむしろ淡々としている。私には、その淡々とした感じが逆に恐ろしく感じられた。本当の恐怖体験を語るときは淡々となるものだからだ。

いずれにしろ3億円の借金というのは、5年返済としても月500万円、一日あたり20万円弱の借金である。

返すあてはまったくない。しかし、4年で借金はすべてなくなったという。いったいどんなカラクリを使ったのだろうか?

「水野君、世の中、知ってるか知らないかで天と地ほどの差が生まれるよね」

これは、水野さんが借金返済のときに支援を受けた企業再生コンサルタント川原慎一氏のセリフである。水野さんが借金をなくした秘訣がすべてこの言葉に集約されている。

人間は、自分の中で膨ませた悲惨な未来の想像に自ら恐怖して、自殺することさえある。しかし、世の中の現実を知ってみれば、最悪のシナリオが実現するほうがマレなことだと分かる。

最後は、幸福も不幸も人の心の中にある、という一見ありきたりな、しかしこれ以上ない真理でしめくくられる。天国も地獄も見てきた水野さんの言うことなので、強い説得力がある。

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☆☆☆

著者の水野俊哉さんにはじめてお会いしたのは、2009年の春、私が『奇跡の営業所』を上梓した直後だった。そのときは、まだバブルな雰囲気が残っていたが、『奇跡の営業所』をたいへん気に入ってくださって、「SPA!」の編集部に紹介してくださった。

そのときには、何で初対面の私にこんなに親切にしてくださるのかよく分からなかった。

その後、作家として次々とヒット作を飛ばしているのを陰ながら喜んでいたところ、昨年の終わりごろにまたお会いする機会があった。以前お会いしたときの印象とはかなり違って、もはや虚飾のまったくない、(あまり男性にこの表現は使いたくないのだが)とても爽やかな人になっていた。

作家として成功するとともに、どんどん澱のようなものが抜けているように感じた。そして、以前親切にしてくださった理由も何となく分かるようになった。元々、優しい人なのだ。

 

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