Win-Loseを求める人間は意外と弱く、Lose-Winでいいやという人間はずるい。Win-Winにはいい意味のあつかましさが必要~『7つの習慣』【7】(#125)
他人に裁かれるより自ら裁く機会を与えられた方が、人の精神は高められる。(S・R・コヴィー)
●解説
『7つの習慣』の「第四の習慣 Win-Winを考える」を読みました。
交渉が下手だと思っている人はもちろんのこと、組織の盛り上げが苦手だと思っている人も、この第四の習慣は丸ごと読んでください。しかも、それ以前の章も読んでいるのが前提です。
私は、『ハーバード流交渉術』も読み、そのセミナーにも参加しましたが、基本的には同じです。ただし、『7つの習慣』のほうが、今読み比べてみてもずっと分かりやすく、腹に落ちました。
『ハーバード流交渉術』は、テクニックと事例がメインです。考え方も書いてありますが、ビジネススクール的な用語で書かれているので心にはいってきません(少なくとも私には)。ビジネススクールなどに行くインテリ&エリート向けの本だと断定して差し支えないでしょう。
コヴィーは、一般の人を集めたセミナーや企業セミナーをやっているので、ずっと分かりやすく、心に残る用語を使います。現場で生きている感覚のある人は、こちらのほうがいいでしょう。BATNAなんていう意味不明(ハーバードの関係者でも納得いく解説をしてくれたことがない)の用語は出てきませんし。
また個々のテクニックよりも、もっと根本的な考え方を説明します。事例が多いのは、どちらも同じですが、根本的な考え方を実際の事例で示してもらうほうが、現場で応用が効くように思います。
テクニックの事例は、ちょっと環境が違うと使えないことが多い。その点、根本的な考え方なら、応用できます。
ということで、今回は一番重要ということではなく、すぐに役に立つと思われる言葉をご紹介することにしました(冒頭の言葉)。
これは、Win-Winには合意が必要であるが、その際にルールを守っているかどうかをお互いに監視し合うしくみではなく、自分で自分を律することができるようなしくみを作るべきだということです。
部下や子供と何か合意したときに、監視するしくみも一緒に作る人が多いのですが、これは以下の2つの理由から、あまり賢い方法とはいえません。
- 監視されているほうのモチベーションを下げる。場合によってはウソの報告をすることさえある
- 監視しているほうは、かなりの労力をつぎ込まざるを得なくなる。下手をすると逐一指示しなければならない羽目になる
あなたがリーダーであるならば、このようになっていないかチェックし、なっているのならWin-Winの合意のしかたを学ぶ必要があります。
余談ですが、世界征服が少人数では難しいのは、2番目の理由があるからです。
●裏解説
今回読んでいて思ったのは、Wiin-Win、Win-Lose、Lose-Win、Lose-Loseなど(このほかに「Win」と「Win-WinまたはNo Dea」lというのもあります)という言葉は知っていたようで、実はあまり分かっていなかったということでした。
私が納得したのは、下のマトリクスです。
Win-Winの合意に達するためには、相手に対する思いやりはもちろんのこと勇気も必要となります。
Win-Winの合意ができる人は、いい意味のあつかましさがあると思います。それが嫌味にならないのは、いいことをしているという自信を感じるからです。
勇気がなければ、自分が負けるLose-Winを採りがちです。こういう人を見るとイラっとしませんか?
それは、本人は謙虚と思っているかもしれないが、回りからみると立ち向かわないずるさが目を引くだけだからです。
Win-Loseの人は、実は心が弱い人が多い。自分が低く見られることに対する強迫観念が強いのです。
まるでテストの成績がよくないと、親から愛されない子供のようです。勝たなければ誰も認めてくれない・・・。
こういう人を志の高い人の集まりに誘うと、だいたい言うことが決まっています。
「まだ、準備ができていないんで。準備ができたら参加します」。分かりました。一生準備していてください。
準備とは何なのでしょうか?
それは周りの人から認めれる準備です。最低でもバカにされない準備です。しかし、そんな準備は一生かかっても終わりません。
そして、年齢が高くなるにつれて、ハードルも一緒に高くなっていきます。
Win-Loseを求める人間にとっては、一生が準備期間になるか、自分が勝てる人間を相手にするか、どちらかしか道がないように思います。
行動しないで準備ばかりしている坂本龍馬――あったら怖い(笑)。ところで彼が勝ち負けにこだわる性格なら、薩長同盟はありえたでしょうか?
なお、重要な補足をしておきます。
コヴィーは、常にWin-Winが正しいとは言っていません。場合によっては、他の選択肢を採ることも必要だと書いています。
たとえば自分の子供が死にそうなときに、悠長にWin-Winなんて言っている人はいません。
ただ、彼が提唱する相互依存(私は相互支援と呼んでいます)の世界では、Win-Win以外の選択肢は、現実的でないと言っています。
『7つの習慣』の著者スティーブン・R・コヴィーが来日するということで、キャンペーンをしています。
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1008/20/news059.html
ブログで紹介してくれるなら、一冊進呈するということで、先週土曜日より『7つの習慣』の読書録を書いている次第です。
次回は、「第五の習慣 理解してから理解される」からです。お楽しみに。
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