オルタナティブ・ブログ > ビジネスライターという仕事 >

ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

超有望市場は「そういえばクラスに1人か2人いたな」

»

今、中学校の1クラスって何人ぐらいなのでしょうか?35人?

我々が中学生の頃は、45人が標準でした。

まあ、このぐらいの違いだったら一緒でしょう。

「誰に」を考えたときに、そういえばこういう人がクラスに1人か2人いたな、と思えれば、そのセグメントは超有望市場です。

要するに、対象層が世の中の3%前後で、クラスに一人のようにばらついていればベストだということです。

●3%は多いのか、少ないのか

国内市場だけで考えても、3%というのは実は膨大です。

360万人います。

とはいえ、0歳から最高齢までのすべての年齢層がターゲットになるわけはないので、実質はこの半分ぐらい。だとしても、180万人います。

本が180万部も売れたら大変なことです。

でも、冷静に考えると、クラスで1人しか買っていないということです。

※もちろんCDなどは年齢によるセグメンテーションがかなり狭いので、100万枚の売れ行きでクラスの3分の1以上が持っているなどということは起こりえます。

●音楽評論家渋谷陽一氏の実感

音楽(主にロック)評論家で渋谷陽一という人がいます。「ロッキング・オン」という雑誌を創刊した人です。

彼が書いた記事で印象に残っているのは、次のような内容のものでした。

日本でもビートルズがブームだったように言われているが実感はない。当時中学生だった渋谷少年は、ビートルズを愛聴していたが、クラスで話が合うやつは一人もいなかった。

つまり、ビートルズ全盛期にビートルズを聴いていた日本の中学生は、クラスに一人ぐらいだったということです。

渋谷少年は当然ながら疎外感を感じます。それが原動力となって、学生時代からの音楽雑誌への投稿、そしてロッキング・オンの創刊につながっていきます。

●疎外感のある人たちを結びつけるとブレイクする

クラスに一人か二人。

なぜ、これがいいかというと、疎外感があるからです。

たとえば、誠ブログにもタイトルがありますが、「腐女子」。イメージとしては、クラスに一人か二人という感じがします。そして、少なくともネット上での彼女たちの発言からは多かれ少なかれ疎外感を感じることが多い。

オタクならもうちょっと人数は多いかもしれませんが、××オタクと、限定子をつけるとすぐにクラスに一人か二人になるはずです(「腐女子」も限定子のついたオタクと考えてもいいのかもしれません)。

こうなると、あっという間に疎外感ができます。

さきほどの渋谷陽一氏もそうだったのですが、クラスに一人か二人しかいないと自覚している人たちの行動パターンは似ています。

外に情報と仲間を求めるのです。どうせ、クラスの連中に話をしてもムダだし・・・。

そうすると、その手の情報誌は一定の部数でコンスタントに売れますし、関連するコミュニティは、東京ビッグサイトを満員にするぐらい人が集まります。

クラスに一人しかいないような少数派(マイノリティ)を集めれば、ビッグビジネスができるということなのです。

●3%ルールを守れば、何でも流行るのか?

別にコンテンツは、アニメや小説や画像でなくてもいいのです。

最近、面白いなと思ったのは、歴女。

若い女性の間で武将などがもてはやされているそうです。アニメ絵のイケメンの武将を見ると、ぼくなどは爆笑してしまいます。あんな武田信玄や北条早雲はいないだろうって・・・。

でも、本気で歴史が好きな女子なんか、やっぱりクラスに一人か二人で、あとはお付き合い程度という気がします。

しかし、誰が歴史で仕掛けようと思ったのでしょうか?すごい着想だと思います。

3%ルール、まさに恐るべしです。

「誰に」を検証するときには、クラスに一人か二人という感じかどうかをチェックしてください。それよりも多くても少なくても適切ではない可能性が高いです。

とはいえ、何でも流行るのかというとそれは分かりません。もう少し検証の必要はありそうです。

たぶん、コンテンツのクオリティが高く、ある種のエリート意識(回りの連中はわからないんだろうけど、私は・・・という気持ち)がくすぐられるものである必要はありそうです。

--

 

Comment(2)