EVで景気は後退する?
GDP世界第3位だった日本が、ドイツに追い越され、4位に後退したことは既に大きく報道されています。
「日本の去年1年間の名目GDP ドイツに抜かれ世界4位に後退」(NHK)
日本の経済規模は、1968年にGNP=国民総生産で当時の西ドイツを上回って、アメリカに次いで世界2位となりました。
その後、2010年にGDPで中国に抜かれ、世界3位が続いていましたが、去年、人口がほぼ3分の2のドイツに逆転され、4位となりました。
ん?ドイツの景気が良いの?と思ってしまいがちですが、決してそういうことではなさそうです。むしろ、日本がひたすら後退している、と読むのが正しそう。
「ドイツ経済、遠のく景気浮揚 24年もマイナス成長の見方」(日本経済新聞)
10〜12月期の実質GDPはドイツを含むユーロ圏で前期比ゼロ%と横ばいだった。成長率は年率換算でプラス0.1%にとどまり、3%台の高成長を保った米国経済とは対照的に景気後退の瀬戸際で低空飛行が続いた。欧州経済の足を引っ張るのがドイツの低迷だ。国別ではフランスが前期比ゼロ%と横ばいで、イタリアは0.2%増といずれもマイナス成長を回避した。
ドイツは前期比で0.3%減になり、前年同期比でも0.2%減だった。ウクライナ危機に伴うエネルギー不安が高まっていた昨冬と比べても成長しなかったことになる。
EUの中で、特にドイツの景気が悪い要因のひとつは、天然ガスをロシアに頼っていたために、輸入できなくなったということがあります。
しかし、もう一つの大きな要因が、EVへの大幅シフトにあるようです。
「欧州の新車販売、昨年12月は1年5カ月ぶり減少-ドイツでEV売れず」(Bloomberg)
欧州自動車工業会(ACEA)が18日発表した12月の新車登録台数は前年同月比3.8%減の105万台。域内最大の市場であるドイツでEV購入奨励策が終わり、販売台数が急減した。
新規生産の自動車をEVにシフトさせた結果、奨励金や補助金が無くなると、買う人が減った、というシンプルな図式であるようです。これはドイツだけでなく。
「米ハーツ、テスラ含むEV2万台を売却 ガソリン車に回帰」(REUTERS)
米レンタカー大手ハーツ・グローバル・ホールディングスは11日、電気自動車(EV)約2万台を売却し、ガソリン車に回帰すると発表した。EVの衝突や損傷に関する費用が高額になっているためという。
また、EV充電ソリューションプロバイダーのエネリバーのサイトには、充電スタンドの寿命について説明されています。
「EV充電器の寿命はどのくらい?電気自動車のバッテリーも劣化する?」
EV充電器の寿命は一般的におよそ10年とされています。しかし、これは使用方法や環境条件などによって大きく変わります。例えば、海に近い場所では潮風の影響で劣化が早く進みますし、不特定多数の人が利用するものは損傷が早い傾向にあります。逆に、使用方法を守り適切に利用することで、その寿命を最大限に延ばすこともできます。
つまり、不特定多数の人が利用する充電スタンドは、10年さえ持たない可能性が高そうです。ガソリンスタンドとは全然違う。
そもそもEVを走らせる間は、エコではありますが、電気を作るのにどうなんだ、とか、総合的に考えると、本当に環境に良いのか、といった疑問は拭えません。
「新しいものが良い」そうではなさそうですね。
2020年12月17日。当時、トヨタ社長だった豊田章男さんが、EVへのシフトに懸念を発表されていました。
EVは部品点数が少なく、安く作ることが出来る、と聞いたことがあります。それを具現化しているのが中国勢。
「「中国EVの攻勢」にドイツ自動車産業が震えた日「ヨーロッパの病人」の心臓部に迫る時代の転換」(東洋経済オンライン)
ベルリンを拠点とするEV市場の独立系アナリスト、マティアス・シュミット氏は、「ヨーロッパの人々は、中国勢がヨーロッパでどのような業績を上げることになるのかと、恐怖で身動きできない状態になっていると思う」と話した。
安けりゃ良い、の理論では中国勢は強いでしょうね。僕は買わないけど。
EVに大幅シフトした結果、景気を交代させてしまったドイツ。さて、日本はどうなるでしょうか。僕は買わないけど。