WWDCで出た「法人向け」についてアップルが整理していること
昨日のWWDCキーノートは、僕個人的には大変楽しめました。そして、今まで見たWWDCキーノートの中で、もっとも時間を短く感じたものでした。あっという間の2時間。
その中で、法人向け(Enterprise)について語られたのはおそらく2分程度。「なんだ、やっぱり法人のことは考えていないのか」そう思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、アップルはそれよりずっと前に、法人向けについて整理しているサイトがあります。(英文)
僕が書いた本は「iPad on Business 」ですが、アップルの言葉では「iPad in Business」と、iPadがもっと仕事の中に入り込んだ表現ですね。
Progressive IT organizations worldwide are prioritizing productivity and innovation by empowering employees with iPhone and iPad. Apple provides comprehensive tools to manage iOS devices on corporate networks so IT can focus on helping employees transform how they work.
冒頭に、アップルが一番言いたいことが書かれているように感じています。
先進的かつグローバルなITを活用出来ている組織は、iPhoneとiPadを従業員に貸与する際に権限を与えることで、生産性と革新性を優先しています。アップルは従業員がどのように活動するか、変化(変革を意味すると思う)を支援することに集中出来るよう、企業ネットワーク上のiOSデバイスを管理するための包括的なツールを提供します。
ここに書かれている、「従業員に権限を与える」ということが、これからのIT活用にとって重要なキーワードではないかと思います。
日本の多くの企業では、個々の社員が「責任を取る」ということをしなくて済む仕組みづくりをしてきました。もちろん、あくまで終身雇用の時代。社員が途中で退職をすることが、ごく珍しい時代。
現在は、新卒は3年以内で辞める人が多く、40代になれば転職の2回や3回くらいしてても当たり前、といった時代になっています。昭和の時代とは大きく違ってきています。
アップルが書いているように、個々の社員に権限(もちろん責任も)を与えることで、もっと動きやすくなるように考えています。
例えばiCloudを考えれば分かりやすいのですが、多くのシステム会社やITベンダーは、iCloudは個人用途のみで使うものであり、iPad導入を提案する際には、それを使わないように勧めることが多いようです。しかし、iCloudは法人でも使えることを知らないようです。安く上げるだけがITではありませんが、何でもサードパーティ製を提供するばかりがYESでもないと思いますね。また、何でもかんでも開発したがるベンダーも違うと思っています。
昨日のWWDCキーノートでは、法人向けについて深く話すことはありませんでしたが、アップルはコンシューマ向けがきちんと出来ているからこそ、法人でも安心して活用出来るのだと思います。アップルでは、すでにこういう情報を公開していることをご紹介しておきます。