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スマートデバイス導入プロ集団のイシン社長です。仕事に関係ない話題も多いです。

IT業界の「人月」暴落の原因ってなに?

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愛機MacBook AirのUSBの調子が少しばかり悪いので、アップルストア銀座に業務以外で行けるという嬉しい金曜日を迎えた大木です。(あ、これも業務と言えば業務?)

最近なんとなく聴いているポッドキャストが減ってきた気がしたので、iTunesで新しいポッドキャストを探していたら「りんごは踊る、されど並ばず」というポッドキャストが!登場されている方々は、なんとトマト屋さんとか、よーよーさんとか、僕が聴いているポッドキャスターの皆さんが登場しておられます。じゃあ聴いてみるかと気楽にダウンロード。最初から一気にダウンロードして、移動時などに順番に聴いていました。その第6回(緊急企画)で知ったのが、スラッシュドット・ジャパンの「ITエンジニア派遣の「人月0円セール」が行われている?」という記事でした。

内容を読んでみると、正直言ってさほど新しい話ではありません。「新入社員を教育もしないでお客様先に常駐させようとしたら、そりゃお金はもらえないでしょ」という話です。これ、前職、前々職でもよく耳にした話です。「業務委託」とか契約形態はどうあれ、お客様先に常駐する必要がある業務もあるので、それはそれでいいのだと思います。ただ、そこに何も教育していない(プログラミングとか技術だけでなく、社会人のマナー教育もなし。名刺交換のマナーも知らない)新入社員を「すみません、新人なんで」ということで、しばらく無償で常駐させる。で、お客様先で、お客様からお金をもらっているエンジニアが、その時間内でOJT(Tかどうか、という議論もありますが)をして、しばらくするとその新入社員のぶんも請求し始める、という、みなさんもご存じの図式です。

僕は、人月で仕事をすることが悪いとは思っていません。顧客企業が、いつどんな時にも、自分たちが開発したいシステム、自分たちが実現したいものを明確にしてから取り掛かることができる、とは限りません。走りながら考えるというのは、特に今の時代においては十分にあることです。ですから、「とりあえずエンジニアの方に来てほしい」という依頼があっても当然だと思います。
また、働く側としても、日々成果を求められる請負開発よりも、常駐で保守・メンテナンスをしたり、依頼されたコードを修正したり、という仕事のほうが向いている方もいるようですから、やはりアリなのですよね。
ただ、ここでの問題は、この無償で常駐させている新入社員は、その「元請け企業の正社員、あるいは契約社員なのか?」ということです。過去に見てきた事例としては、下請け、孫受けの社員だったりすることも多々あります。僕自身も、とある孫請けを中心にやっている会社の社長から4月初めに電話があり「大木さん、うちの新入社員を安く置かせてもらえませんか?」という相談を受けたことがあります。システム開発の現場にプログラミングも知らない人に来てもらっても困るわけですが、そういうやり取りが普通になされているわけですね。

よく「人月単価が下がってきた」と愚痴を漏らす経営者がいると聞くのですが、実は自分たちで単価を下げているんじゃないの?って思ったりします。自らが、教育をするとか、自社の社員のスキルを上げる努力をするとか、どの業界でも当たり前に行なわれているようなことを怠ってきた「ツケ」なんじゃないか、なんて感じる次第です。

もちろん、どの業界にも、どの職場にも努力をしている方はいらっしゃいますので、「業界全部が悪い」なんて暴言はあり得ないとは思います。しかし、こういう人たちが悪い意味での価格破壊と同時に品質劣化(成果の劣化かも)を起こしているんじゃなだろうか、と感じます。

今回、よーよーさんの問いかけのおかげで、またいろいろと考える機会をいただけた次第です。異論、反論あるかと存じます。ぜひ、コメントやソーシャルメディアで教えていただければ幸いです。

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