いまなぜ、「コトづくり」か? 〜「社会の変化」を考える②〜
いまなぜ、「コトづくり」なのか?このブログでは、「コトづくり」が必要とされる背景について「企業」「個人」「社会」の変化から考えています(いまなぜ、「コトづくり」か? 〜「企業」「個人」「社会」の変化から考えてみる〜)。
前回のブログ(社会の変化①)では、社会」の変化に見られる「共有(シェア)の文化」について紹介しました。今回は、「社会」の変化に見られる「超高齢化社会」について考察してみたいと思います。
日本は、2007年に実は65歳以上の老齢人口が全体の21パーセント以上(高齢化率)を占める「“超”高齢化社会」に、世界で最初に突入した国であり、これは「コトづくり」を考えるうえでも見逃せない変化だと考えています。
一般的には、高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)によって以下のように社会が分類されます(高齢化社会)。
- 高齢化社会: 高齢化率7% - 14%
- 高齢社会: 高齢化率14% - 21%
- 超高齢社会: 高齢化率21% -
日本の国勢調査の結果では1970年の調査で高齢化社会(7.1%)、1995年の調査で高齢社会(14.5%)になったということがわかっています。また、人口推計の結果では、2007年に超高齢社会(21.5%)になったといわれています。
『シルバーICT革命が超高齢社会を救う』 小尾敏夫 岩崎尚子著によると、高齢者に向けたICTは日本に大きな経済効果ももたらすという。国内におけるシルバーICTビジネスの市場は直接効果で6兆6000億円、間接効果で14兆円規模になるという。さらにこの市場は毎年1兆円程度ずつ拡大しているらしい。その内容は多岐にわたり、具体的には、介護ロボット、GPS位置情報、テレワーク、テレビ会議、電子政府サービス、電子カルテ、遠隔医療、スマートフォンの高齢者用コンテンツ、スマートホーム、スマートシティなどでのビジネスが生まれるという。
- 「自分の力で立ちたい、歩きたい」
高齢で脚力が低下した方や下肢の不自由な方、そしてそれらをサポートする医療・介護の現場で働く方々をアシストするロボットスーツが既に商品化されています。ガンダム世代としては、いよいよモビルスーツの時代が来たのかと思わず感慨深くなります。
どのような仕組みで歩行をアシストしているかというと、人が動こうとするとその意思は微弱な電気信号となり体内の神経を通じて、脳から筋肉へと伝達され、その微弱な生体電位信号を皮膚表面に取り付けたセンサーによって検出し、電位差を処理するという。検出された生体電位信号を解析し、信号に応じて筋肉が動くと同時にモーターを動かし、脳からの生体電位信号に応じて動く「随意的制御」とあらかじめ人間の動きを記憶した「ロボット的制御(自律的制御)」による2つの制御機構により、安定したアシストを可能にするという(大和ハウス工業Webサイトより)。我が家でも晩年、祖母が寝たきりの生活をしていたが、脚力が低下した方や下肢の不自由な方にとって”自分の力で立ちたい、歩きたい”とは切なる願いだと思う。
- 「住みなれた場所で自分らしい人生を送る」
当社が提供している高齢者ケアクラウドは、移動に制限のあるお年寄りのケアにクラウドを活用するというICTならではのコトづくり事例であり、総務省在宅医療介護情報連携活用基盤整備事業として支援を受けています。
今後、地域やNPOとの連携など拡大が期待されており、お年寄りが住みなれた場所で自分らしい人生を送るためのサポートを実現するソーシャルクラウドサービスです。
このサービスは、「高齢者を皆で支えあう社会へICTで貢献」をコンセプトに、「在宅医療・介護」「地域・NPO」「生活産業」といった高齢者を支える関係者をICTで支援するサービスであり、高齢者一人ひとりと社会(医療・介護・地域・流通・親子など)が経済的循環性も保ちながらつながることを目指しています(サービスプラットフォームとコトづくり〜高齢者ケアクラウド〜)。
- 課題先進国ニッポン
労働人口の現象や過疎化/限界集落(地域社会としての機能を失った集落)、少子高齢化など、一足先に社会問題に直面する日本を世界中が注目しています。しかし、日本は課題先進国であるが故に新しいビジネスにどんどんチャレンジすべきかもしれません。
世界一の高齢社会であることを逆手に取り、この分野でICTを活用した新しい「コトづくり」を進めることで国内はもとより、グローバルに新しい市場を切り開くことができるのではないでしょうか?2020年にはロボットスーツでオリンピック出場を目指す高齢者が出現するかもしれません。
(つづく)