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オオクワガタとサービスサイエンス -ブリーダーを事前期待でセグメンテーションしてみる

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 様々なコトづくりに関して連載しているこのコーナーで久しぶりに"オオクワガタとサービスサイエンス"に関する連載をスタートしています。

過去に数回、ITmedia エグゼクティブ勉強会にて「オオクワガタとサービスサイエンス」をテーマに勉強会を開いたことがあります。好評につき本年7月にも夏休み前の緊急企画としてセミナーを開催予定でしたが、新型コロナウィルスの影響を考慮して泣く泣く延期となりました。

本連載では、最近のセミナーの内容に最新のサービスサイエンスの研究内容も含めて連載しています。

連載7回目となる今回は、ブリーダーを事前期待でセグメンテーションしてみたいと思います。

◼️ブリーダーの事前期待を洗い出す

 前回、事前期待にはその持ち方で「共通的な事前期待」「個別的な事前期待」「状況で変化する事前期待」「潜在的な事前期待」の4つがあることをご紹介しました。今回は、オオクワガタブリードサービスへのブリーダー諸氏の事前期待がどのようなものであるのか考えてみたいと思います。

まず最初にブリーダーの「共通的な事前期待」は、どのようなものでしょうか?これまでの取引経験から産地や血統、飼育履歴などについては誰もが確認したい情報となります。逆にこれらの情報が不明の個体は、多くのブリーダーから敬遠されます。

「個別的な事前期待」は、個体に関する様々な事前期待が考えられます。大顎の形やスタイル、場合によっては幼虫や成虫のサイズなどがその対象となります。生体ゆえに取引方法で手渡しを希望されるような場合もあります。

そして、「状況で変化する事前期待」はケースバイケースですが、取引の過程で場合によってはアップセルやクロスセルでご提案する場合や真夏の日によっては保冷剤対応からチルドへ変更するようなケースです。

最後に「潜在的な事前期待」ですが、例えば知らない産地の魅力を提案することで、これまで興味のなかった産地の魅力に気づかれる場合もあります。

ブリーダーの事前期待を洗い出す.png

◼️ブリーダをセグメンテーションする

 続いて、これらの事前期待をもとにオオクワガタのブリーダーをセグメンテーションしてみたいと思います。セグメンテーションの分類軸の例には、以下のようなものが考えられます。

  • 低価格⇆高価格
  • 産地へのこだわり⇆産地はこだわらない
  • 大きさへのこだわり大きさはこだわらない
  • 血統へのこだわり血統にはこだわらない
  • 採集情報のこだわり採集情報はこだわらない
  • 累代へのこだわり累代はこだわらない
  • 逆三角形の個体スマートな個体
  • つや消し個体光沢の個体
  • 幼虫時データへのこだわりこだわらない

このような軸から最も顧客像をイメージしやすい軸を選び、マッピングして見ます。

下記の例では、価格と産地、大きさを軸にセグメンテーションしています。この作業を通してあり得ない顧客像や厄介な顧客像も浮かび上がります。

ブリーダーをセグメンテーションする.png

◼️セグメンテーションを整理する

 セグメンテーションした結果から各顧客セグメントを改めて定義して、必要なサービス品質、提供情報と対応のポイントを整理してみます。この作業を通して今後の対応方針を決定することができます。

どんなブリーダも最初は⑤ビギナーからスタートします。このカテゴリーのブリーダー(お客様)は毎年一定数誕生しますが、手厚いサポートで頭の満足だけでなく心の満足を得ていただけるように注意します。やがて③コレクター④ギネス志向に成長して行きます。

最終的には先ほどの図で行くと右上の象限、すなわち①拘りのプロ②リッチコレクターへ成長する場合がありますし、何らかの途中で離脱してしまう場合もあります。

①拘りのプロ②リッチコレクターの方々とのお付き合いは、緊張しますが、私も学ぶことが多く、切磋琢磨する間柄となります(クワ友)。

セグメンテーションを整理する.png

いかがでしたでしょうか。

皆様の提供するサービスでも事前期待で顧客をセグメンテーションして見てください。これまでにない発見があるかもしれません。

次回からは、さらにお客様の心をつかむための心理ロイヤルティについて考えてみたいと思います。

(つづく)

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