オオクワガタとサービスサイエンス -アフターデジタルの世界
様々なコトづくりに関して連載しているこのコーナーで久しぶりに"オオクワガタとサービスサイエンス"に関する連載をスタートしました。
過去に数回、ITmedia エグゼクティブ勉強会にて「オオクワガタとサービスサイエンス」をテーマに勉強会を開いたことがあります。好評につき本年7月にも夏休み前の緊急企画としてセミナーを開催予定でしたが、新型コロナウィルスの影響を考慮して泣く泣く延期となりました。
本連載では、最近のセミナーの内容に最新のサービスサイエンスの研究内容も含めて連載しています。
連載3回目となる今回から少しづつサービスサイエンスの内容について足を踏み入れて行きたいと思います。まずは、誕生の背景からアフターデジタルの世界観まで俯瞰したいと思います。
◼️世の中の変化ーお客様のニーズやビジネススタイルの変化
◼️改めてサービスについて考える
サービスビジネスといっても様々なタイプのサービスビジネスが考えられます。コモディティ化した製品では製品そのもの(モノ)だけでの差別化が難しくなっています。アフターサービスのように継続的に利便性を提供し収益を得るビジネスモデルが重視されてきました。モノに付随するサービスだけでなく、ソフトウェアパッケージもASP やSaaS 、クラウドの形で提供され始めており、サービスの重要性は、ますます高まっています。
◼️サービスサイエンスの背景
サービスサイエンスは、Wikipediaによると下記のように紹介されています。
サービス科学 (サービス・サイエンス、英: service science) とは、経営工学、社会工学、システム科学、生産管理、サービス・マーケティング、マーケティング・サイエンス、法律学、経営戦略などをはじめとする様々な学術分野が融合し、サービスについての研究を行う新しい領域の学問である。
出典:Wikipedia
人や構造物が発揮する機能で、お客様の事前期待に適合するものを「サービス」という。
出典:「顧客はサービスを買っている」諏訪良武氏
ここでの定義のポイントについて整理しておきたいと思います。
①そもそもサービスの本質は、「機能」の発揮である。
②サービスは、「人」だけでなく「構造物」も提供する。
③お客様の「事前期待」に合うものをサービスと呼ぶ
◼️アフターデジタルの世界観
最近のアフターデジタルという概念が注目を集めています。サービスサイエンスの世界でもこの概念を踏まえた議論が必要だと思っています。これまでの世界観は、当たり前ですがまずはリアルの世界が前提でした。つまりリアル(店や人)で接点を持つ人がたまにデジタルでもつながる世界です。
一方、アフターデジタルの世界観は、デジタルで常につながっている人が、たまにリアルの場での接点を持つようになると指摘します。言われてみれば、オオクワガタブリードサービスは、既にアフターデジタル前提のつながりをブリーダーの皆様としているように思います。
◼️サービスサイエンスの拡張
このアフターデジタルの世界をサービスサイエンスの考え方を元に整理してみるとどうなるでしょうか?これまで主にリアルの世界での接客やオペレーションを対象としてきたサービスサイエンスの概念を拡張することができるのではと感じています。これまでは、ホテルや店舗の顧客接点の現場を中心にサービス品質や顧客の事前期待を議論していました(サービス品質や事前期待については今後紹介していきます)。
しかし、アフターデジタルの世界では、初めからデジタルで常につながっていることを前提としたサービスの設計が重要になります。リアルでのサービス提供以上にサービス品質で議論されている「共感性」や「好印象」が求められ、より「個別の事前期待」に応えること(パーソナライズした対応)が求められてくると考えられます。
このアフターデジタルにおけるサービスサイエンスの実践については別途記載したいと思います。
次回からは、まずサービスサイエンスの基本的な考え方について掘り下げていきたいと思います。
(つづく)