いまなぜ、「コトづくり」か? 〜「社会の変化」を考える①〜
いまなぜ、「コトづくり」なのか?このブログでは、「コトづくり」が必要とされる背景について「企業」「個人」「社会」の変化から考えています(いまなぜ、「コトづくり」か? 〜「企業」「個人」「社会」の変化から考えてみる〜)。
前回のブログ(個人の変化②)では、個人の変化に見られる「2つのシフト」について紹介しました。今回は、「社会」の変化に見られる「共有(シェア)の文化」について考察してみたいと思います。
もともと図書館の本や観光地の自転車など、モノの共有(シェア)は行われていましたがデジタル社会の進展により新たな進化を遂げている。日本でもカーシェアリングやシェアハウスが一般的になりつつあります。
日本でもベストセラーとなった「シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略」レイチェル・ボッツマン, ルー・ロジャース (著),NHK出版の原著である「WHAT'S MINE IS YOURS」の紹介VTRは改めて見ても大変興味深い内容です。
自分の家の余ったスペースを貸し出す「AirBnB」は、すでに数十万人を超える「住人」を「宿主」に変えている。カーシェアサービス「Zipcar」を利用して自分で自動車を所有することをやめた人が”ジップスター”と呼ばれているという。
何十万というDVD,本、ビデオゲーム、服、おもちゃが毎秒のように物々交換されています。何万人という人たちが、ガーデニングのお相手探しプラットフォームに参加しています。そして、自分で作物を育てたい人とシェアできる土地を持っている人を結びつけているという。
昔ながらの共有、物々交換、貸し借り、取引、贈与、交換が、デジタル・テクノロジーとピア・コミュニティによって「コラボ消費」に生まれ変わりつつあります。
この欧米を中心に拡がりつつある新しい概念である「シェアリングエコノミー(共有型経済)」は、ソーシャルメディアの発達により可能になったモノ、お金、サービス等の交換・共有により成り立つ経済のしくみのことを指します。
ある調査会社によると将来成長が予想される「シェアリングエコノミー」のアイテムとして、以下のようなカテゴリーが候補に挙げられています(参考記事)。
- 自動車、バイク・自転車、ボートなど移動手段
- 家庭用品、イベント関連器具、スポーツ関連グッズなど、普段使わないもの
- ガレージ、駐車スペース、オフィススペース、空室など、物理的なスペース
私の車は、既に13年目を迎えますが、次買い替える時は”所有”するのではなく、”シェア”の仕組みを利用するかもしれません。移動手段だけでなく、このリストにある普段使わないものや物理的なスペースなどは、確かに”シェア”するだけで十分かもしれません。文化的な発想や考え方の転換も必要ですが従来不可能だったマッチングをICTの力でサポートすることでさらにこの「共有(シェア)の文化」が加速する可能性があります。
そして「WHAT'S MINE IS YOURS」の紹介VTRの最後には次のようなメッセージが流れて来ます。
「所有」から「アクセス」へ
そして「より多くのモノ」から「かけがえのない体験」へ。
モノが飽和した社会では、「より多くのモノ」を所有することよりも確かに「かけがえのない体験」にアクセスすることを望む人が増えるのかもしれません。これは、まさに「モノづくり」の社会から「コトづくり」の社会への転換を予言したメッセージではないでしょうか。
もしかしたら、オリンピックに向けたこの7年間である部分ではモノを所有する拘りがなくなり、「共有(シェア)の文化」が当たり前になるかもしれません。
それは、社会や人々、企業にとってきっと素晴らしいことだと思います。
(つづく)